最近は何でもかんでも「アドエージェンシー(広告代理店)」だ。巨大会計事務所もアドエージェンシーだ。資産300億ドル(約3兆)のコンサルタント企業もアドエージェンシーを名乗っている。
マスコミ界の異端児扱いされてきた大手マスコミのVice Mediaもそうだ。かと思いきや、少しばかり反社会的で、ちょっとプログラミングができて、テクノロジーオタクな20代の集団でさえ(ダメダメな)アドエージェンシーを名乗っている。
正直クリエイティブなアドエージェンシーとそのほかを見分けるのが困難になってきている。確かなのは自身がそれを名乗るかは別として、作るものがクリエイティブなら立派なクリエイティブエージェンシーだということだ。
このコラムの著者、マーク・ダフィ(54)は、広告業界辛口ブログ「コピーランター(コピーをわめき散らす人)」の運営人。米大手Webメディア「BuzzFeed」で広告批評コラムを担当していたが、2013年に解雇を通達された、業界通コピーライター。
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最近は何でもかんでも「アドエージェンシー(広告代理店)」だ。巨大会計事務所もアドエージェンシーだ。資産300億ドル(約3兆円)のコンサルタント企業もアドエージェンシーを名乗っている。マスコミ界の異端児扱いされてきた大手マスコミのVice Mediaもそうだ。かと思いきや、少しばかり反社会的で、ちょっとプログラミングができて、テクノロジーオタクな20代の集団でさえ(ダメダメな)アドエージェンシーを名乗っている。
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正直、クリエイティブなアドエージェンシーと、そのほかを見分けるのが困難になってきている。確かなのは自身がそれを名乗るかは別として、作るものがクリエイティブなら立派なクリエイティブエージェンシーだということだ。
とはいえ恐ろしいことに、たとえいい仕事をしていなくてもクリエイティブエージェンシーを名乗ることができるのが我々の業界だ。ああ、もはや「クリエイティブ」という単語に意味はないのかもしれない。
では、ここで「自称」クリエイティブエージェンシーと本当のクリエイティブエージェンシーの見分け方を紹介しよう。
その1:オフィス
まずはオフィスを見てみよう。内装、デザインなどなどだ。
その会社のロビーに常識を覆すところはあるか? ミーティング用ティピー(ネイティブアメリカンのテント)はあるか? トイレのドアの上におちゃめなサインはあるか? 「オフィス内ドローン」はあるか?
その2:マーケティング
もうひとつ注目すべきは、そのエージェンシーが自分たちを広告や広報や自社サイトでどう宣伝しているかだ。名前も重要だ。いかにもエージェンシーっぽいものではなく……ポルノ風な名前(ウェックスリー女子学院、ネイキッド、マザーとか)にきちんとなっているか? ロゴもちゃんと動物とか伝説上の生物になっているか? 作品紹介に「勇敢」とか自己PRで「恐れを知らない」とか本気で書いているか? 「我々は世界で唯一の文化目標を推し進めるために働くエージェンシーだ」とか正気で自称しているか? 公式の集合写真を真っ裸(もちろんだが芸術的に)で撮っているか?
その3:スタッフ
お次はスタッフを見てみよう。先ずはクリエイティブディレクターから。頭にはきちんと小さめの帽子をちょこんと乗せているか? ドレスシューズはいつも欠かさずちゃんと靴下なしで履いているか? はたまた58歳になったいまでもオフィスで「イカした」格好(ラッパー風にパーカーと腰パンでバッチリ決めてるとか)をしているか? 女性顔負けにバッチリ化粧を決めてるか?
これまで、いろいろと書いてきたが、エージェンシーがクリエイティブかどうかを見極めるのに一番適しているのは、そこのクリエイティブ本部で1日過ごしてコピーライターとアートディレクターをじっくり観察することだ。注目する点は以下のとおりだ。
変な……というよりは、正直馬鹿らしいメガネをかけているヤツらがそこら中にいるか? 元坊主のスタッフが毎週、眼が覚めるような説教を垂れているか? 女性スタッフの影も無い(いたとしても、せいぜいひとりくらいだな)男だらけの職場環境か? ……ちなみに言っておくが、これは「自称」クリエイティブエージェンシーの話だ。
ものすごく大きな「ふざけんじゃねえよっ!」という叫び声が毎日10回以上聞けるか(理由は大体「ど素人感丸出しのクライアントフィードバック」か「バカバカしいにもほどがある営業の口出し」だな)? クリエーター連中はアル中か? もちろん、多くの人は酒をたしなむ。だがクリエイティブエージェンシーに勤めるヤツらのなかには、毎晩意識が吹っ飛ぶほど酒を浴びる連中がいる。どうやって見分けるかって? 昼の2時くらいに千鳥足で職場に入ってきて仕事を始めるかどうかだ。詳しくは「オーガステン・バロウズ」で検索してみくれ。
この記事に書かれていることの半分以上に心当たりがあると言う人……残念ながらキミの務める会社は、単なる「自称」クリエイティブエージェンシーだ。自分のウェブサイトをアップデートして適宜売り込みすべし。
Mark Duffy(原文 / 訳:柳沢大河)
Photo by Thinkstock / Gettyimage