コンサルティング企業がアドエージェンシーを「滅ぼす」:あるマーケティングコンサルタントの告白

デジタル広告の領域に深く入り込むにつれて、経営コンサルタントは、表向き認めようとはしないが、メディア購入予算の決定でひと役を買うようになっている。

これは、米DIGIDAYの告白シリーズで匿名を条件に率直な意見を語ってくれた、あるマーケティングコンサルタントの見解だ。この人物は、「エージェンシーを滅ぼしかねない」独自のメディア購入サービスをコンサルティング企業が密かに確立しようとしていると信じている。

以下はそのコメント。なお、わかりやすくするため、多少編集が加えられている。

――エージェンシーは以前から、さまざまな脅威から予算を守ってきた。コンサルティング企業に対しては何が違うのか?

メディア購入の方法に関して、エージェンシーはクライアントに対してインプレッション単価(CPM)の低さについて言い聞かせる。オンラインメディアの買い方としてはよくない方法だと誰もが認めているにもかかわらず、こういうことが起こる。コンサルティング企業はクライアントに対して「CPMは忘れよう。受注1件当たりの経費の話をしよう」と言い、「そのためにいくら払うつもりがあるか?」と尋ねる。広告主がデジタル化を進めているのは、それが費用の節約になり、デジタルを利用しているオーディエンスに安くリーチできると、メディアエージェンシーに思い込まされてきたからだ。それを転換し、コンサルティング企業が実施したがっているように、パフォーマンスベースのメディアにすると、突然たくさんのお金が入るようになる。クライアントは、たとえば、ビューあたり1ドルとか、獲得のために100ドルとかを喜んで払うからだ。

――コンサルティング企業での利益相反は、いまにはじまったことではないが、より強いプレッシャーがないのはなぜか?

マーケターは、経営コンサルタントとエージェンシー、それぞれに対して異なる倫理基準のセットを持っている。大手のコンサルティング企業は、自身がエージェンシーになったときに強みを発揮する。彼らにとって大手の広告主の監査は容易なことで、同時に「ここの人たちには、このスキルセットが欠けている。でも、安心して。わが社にメディア戦略と分析を担当する部門が新設されて、あなたに必要なものを提供できる」と言う。経営コンサルタントには利益相反がない。彼らはひとつのクライアントの専属にはなりたがらないからだ。2018年、マーケターたちは、利益相反という言葉の定義を再検討しなければならない。

――マーケターたちが戦略に関してより大きな責任を果たすようになると、利益相反は無視できないくらい大きくなるのだろうか?

正直に言おう――マーケターは自分の仕事を容易にする方法を探している。ワンストップパッケージを提供できる大手コンサルティング企業のひとつと彼らの要求が合致しているなら、それはとてつもなく魅力的だ。だが、経営コンサルタントが、ブランドコミュニケーションの中心に働きかけるクロスセルサービスを開始したら、販売は難しくなる。なぜなら、これこそ、ブランドマーケターが組織内でやっている作業のなかで、仲間内や業界の目にもっとも明確に映る表現だからだ。データやテクノロジーに強いことだけしか証明されていないコンサルティング企業と手を組んで、危険を冒すようなことはしないだろう。

――2018年にはこれがどういう形で進んでいくと思うか?

デジタルテクノロジーやパフォーマンスから、ブランドや広告スペースに焦点を切り替える大手コンサルティング企業が増えれば増えるほど、マーケターやエージェンシーにとっての脅威は大きくなる。これ(クリエイティビティー)が関係の重要な核となっていて、コンサルティング企業は、エージェンシーの買収という形を借りてここで事業を展開しているので、脅威や対立の可能性は大きくなる。コンサルティング企業とエージェンシーはすでに、アドテクの選択を巡ってマーケターに影響を与えようとし、大手テクノロジー企業が提供する大きな利益につながる手数料を巡って互いに競い合っている。

――そうした利益相反をマーケターが解決しようとしないのはなぜか?

我々は先日、さまざまなプロジェクトで3つのコンサルタントに対して2000万ドル(約22億円)近くを支出しているあるブランドのチーフマーケティングオフィサー(CMO)にコンサルティングを提供した。この額は彼らがエージェンシーに対して支払った額を超えている、と私が指摘したところ、このCMOは「そのとおり。だが、(コンサルティング企業は)どこも私の予算を使ってはいない。CMOとコンサルティング企業とのやりとりは通常、最高経営責任者(CEO)や最高財務責任者(CFO)があいだに入っているからだ」と答えた。マーケティング予算はかなりの額だと思っているかも知れないが、実はその予算は、マーケティングプランを実行するためにすでに一つひとつがヒモ付けされている。デジタルトランスフォーメーションや顧客中心技術の実装など高額な費用がかかる案件は長年、CMOに回ってくる前に、CEOやCIOの予算から支出されてきた。

――透明性を重視するマーケターが監査を要求するケースが増えると、利益相反を無視することが難しくなるのでは?

上級マーケターは予算の使い方に本当に神経を使っている。彼らは先読みをして、すべてをチェックしている。これによって真空地帯が生まれ、そこをコンサルティング企業が埋めることになる。彼らは広告業者のために監査を行っているからだ。そして彼らがそういうサービスを提供するとき、アクセンチュア(Accenture)やデロイト(Deloitte)のような企業は言う。「我々はパフォーマンスを向上させたり計測したりするのが本当に得意だ」と。コンサルティング企業はいまのところ、メディアの世界で大きな役割は果たしていないが、やがてはそうなるだろう。マージンが低いのに大量取引のビジネスだからだ。彼らがその方向へ動くと、エージェンシーを滅ぼしてしまうだろう。

Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)