「クライアントは時々、滅茶苦茶なメディアプランを出す」:あるテレビ広告バイヤーの告白

米調査会社マグナ・グローバル(Magna Gloval)は今年9月、2018年度、デジタル広告費は市場の51%以上を占め、初めてテレビ広告費を上回る見通しだと発表した。テレビ広告バイヤーは大きなプレッシャーを感じているに違いない。

匿名性を保証する代わりに本音を語ってもらう、DIGIDAYの告白シリーズ。今回は、メディアプランナーの依頼を受けて、テレビスポットバイイングを実行する、大手メディアエージェンシーの若手テレビ広告バイヤーに話をうかがった。この人物が言うには、クライアントは少ないテレビ広告予算を押しとおし、あり得ないバイイングを強いてくるため、プランナーとバイヤーはそれを甘んじて受け入れるしかないという。

以下、対話の詳細だ。読みやすいように若干編集してある。

――業務において、とくにストレスを感じる部分は?

クライアントは時々、どう考えてもありえない、滅茶苦茶なメディアプランを出してくるんです。プランナーとクライアントの間で何がどうなっているのかはわからない。私は一連のプロセスの最後、末端にいて、スポット枠についてテレビ局と直接交渉をする。だから、どうしようもないプランが来ても、それがプランナーのせいなのか、クライアントのせいなのか、それとも両方のせいのかは、知りようもないし、誰に対して怒ったらいいのかもわからないのよ。それが一番のストレスね。

――具体的に言うと?

たとえば、夜のニュースに大量のスポットCM出稿を求めてくるんだけど、あの市場にはインベントリーがないから、手の施しようがない、とか。スポットの値段設定があまりにも低くて、そんな低予算ではクライアントが希望するすべては買えない、とか。こっちとしては、しかたなくクライアントのプランに合わないことをするか、クライアントが望まないものを出すしかなくなる。いろいろと課せられる制限のせいでね。

――そうした制限の原因は?

クライアントはできるだけ安く、最大限のものを得ようとする。デジタルの選択肢がずらりと揃っているいま、クライアントはテレビ広告費を減らしている。なのに、最大のインパクトを得たいという思いは変わらない。彼らはいま利用しているチャンネル(媒体/経路)をひとつとして手放したくないし、テレビをいまも重要なチャンネルとして見ているの。要するに、クライアントが然るべき金を出すのを渋っている、それだけのことよ。

――そうした事態は、よく起きる?

以前の会社では、いつものことだった。あるクライアントたちとの仕事では、文字どおりほぼ毎回だったね。いまの会社では、それほど多くないけれど、それでもたびたびある。

――それに対して、あなたができることは?

そういう状況になったら、上司に相談する。プランナーが持ってきた案ではどうにもならないということを、全力で説明する。ひょっとしたら、上司がクライアントを多少譲歩させて、クラアントが予算的に多少余裕のある案を出し直してくるかもしれない。でもどっちにしろ、私は与えられた金しか使えないし。正直、プランナー連中にはっきりと言いたいよ、「おたくら、全体が見えてないの? なんでまた、これがいいと思ったのよ?」って。本当にイライラするんだけど、なんだかんだいっても結局、私はそのダメなプランで話を進めるしかない。

――非難を受けるべきは、誰だと?

たいていは、プランナーのせいだと思う。まず、クライアントが不完全なプランを出す。プランナーは、たとえそれが使えない案だとわかっていても、「わかりました、これでやれ、ということですね」と引き受ける。で、そのしわ寄せがこっちに来る、と。

――プランナーがクライアントと戦略を立てる場に、自分も同席するべきだと思う?

プランナーは絶対に、バイヤーの意見を求めるべきだとは思う。私ならこうする、ああするのに、と感じることはよくあるし、実際、それはクライアントのためにもなると思うの。もっといいバイイングができるし、クライアントは投資に対してもっといい見返りを手にできるわけだから。ただ、ミーティングにばかり出ることになると、そっちに時間を取られて本業が疎かになるから、それはそれで困るけどね。

――この合併の時代、失業の心配は?

少なくとも、私の仕事に関しては、心配していない。うちは複数のクライアントと同時に仕事をしているから、クライアントがひとついなくなったくらいでは、大した影響はない。そういう意味では、どちらかというと、安心感がある。もちろん、大口のクライアントを失うとなると、話が違ってくるけど。

――給料はいくら? 適正な額だと思う?

年収6万3000ドル(約715万円)。適正な額じゃないかな。

Ilyse Liffreing(原文 / 訳:SI Japan)