エージェンシーで働く、黒人従業員の告白:「反論してはいけないと言われたことがある」

以前と比べると人種と年齢に対するエージェンシーにおける差別はあからさまではなくなっているかもしれない。しかし、だからといって、差別自体が消えているわけではない。

匿名を条件に業界の裏側を赤裸々に語ってもらう「告白」シリーズ。今回はメディアエージェンシーで働く若い黒人女性に、職場での扱われ方、また彼女のメンタルヘルスに影響を与えたマイクロアグレッション(自覚の無い細かい差別的言動)について語ってもらった。

以下、会話の詳細だ。一部、読みやすさを優先し、編集してある。

――職場において、あなたはどのような偏見を体験してきたか?

年齢についての偏見でなければ、人種についての偏見にさらされ、人種についてでなければ、年齢についての偏見にさらされる。メッセージのやりとりのなかで、私個人に向けて話される言葉遣いにおいて、しばしばマイクロアグレッションが起きる。そこにはネガティブであったり偏見な考えが底流している。

(同僚たちが私に)明確な指示をしてくれないときに、私はもう一度別の表現で伝えてくれるように頼む。詳細をもう少し話してほしい、もしくは説明をしてほしい、といった具合だ。しかし、同僚は大したことではないと言ったり、私の反応が意地が悪いものだと言ったりする。私は、ただわかりやすい指示、もしくは建設的なフィードバックが欲しいと言っただけだ。上司もこのやりとりに参加しており、私が「敵意のある(hostile)」対応していた、と述べた。

――「敵意を持っている」と言われたことで、どのように感じたか?

「敵意のある」という言葉が有色人種の人にとってどのような意味を持つか、(私の上司と同僚は)理解していないと思う。黒人の友人と話しているときでも、彼らが「敵意のある」もしくは「攻撃的(aggressive)」という言葉を聞くと、ビクッとしてしまう。私にその言葉が向けられた瞬間に、私は泣いた。

――現時点で多様性が欠けていることが、マイクロアグレッションが起きる理由だと思うか?

まさに、そう思う。エージェンシーたちは多様性を増す方向性に進んでいると思うが、同時に職場でのマイクロアグレッションが起きている。

――マイクロアグレッションが起きたとき、どのように対応するのか

「敵意のある」という言葉が使われるのはこういうときだ。私は自分自身を守るために立ち上がった。多くのマイクロアグレッションはマイクロマネージング(過剰に業務のやり方などを細かく指示すること)になる。「あなたがこれをできるかどうかは分からないので、私はあなたにこれを任せることができないように思う。なので私がすべて管理する」といった具合だ。

私が何かをできないというよりは、私が何かをできないと思い込んでいる。私は自分自身のために立ち上がる。しかし、何かが起きたとき、すぐに反論をするのではなく、まず私はほかの人たちに意見を求める。私がプロフェッショナルな振る舞いをしており、私の意図が明確で簡潔であることを確実にしたいからだ。だからこそ、人に「敵意のある」と形容されると怒りを覚える。というのも、ただ反論したいために声をあげているわけではないからだ。実際、私はこのような状況を以前経験したことがあるような有色人種の人々、もしくはこの状況で何を発言するべきかを知っている人々に相談をしている。しかしそれでも、自分を守るために立ち上がるのはいけない、と言われてしまう。

少なくともこのエージェンシーで起きている問題のなかでは、マイクロアグレッションは大きなもののひとつだ。人々はコントロールすることができない。偏見を持っているときに、誰かの第一印象がそれに影響されることを避けられないのだ。

――ほかの従業員も被害に合っているのか。ほかの人々にアドバイスを求めているか?

人々はマイクロアグレッションを目撃している。女性や、有色人種がそのターゲットになりやすく、有色人種の女性は確実だ。MAIPプログラムを受けたことがある。そこではこういった状況にどのように対処するかを教えられた。

私のメンターにもエージェンシーにおけるダイバーシティについて話をしたことがあり、メンターたちはアドバイスをくれる。ほかの人々と話していても、彼らもマイクロアグレッションを体現している。そんな人々がくれるアドバイスなら有効であるべきなので、私は多くの場合混乱している。私が反論をしたときに何かアグレッシブな要素があるのではないかと感じてしまい、反論するのをやめるべきだという気分になる。

――マイクロアグレッションが何か知らない人物が、それを行った場合、あなたは説明しなければいけないような状況に陥るのか?

そうだ。ときごき私は彼らに理解してもらうために、別の言葉を探さなければいけない。正直に、私のエージェンシーは多様な環境にいること、異なる文化を理解することを人々に促すという点では良い取り組みをしている。けれども最終的には、一人ひとりがこういった取り組みに参加ししようとすること、主体的になること、がなければいけない。私が先導を切る。黒人の人々がいつもほかの人たちを教育しなければいけなかった状況に戻っているような感じがして、非常に疲れる。

――職場の関係以外に、マイクロアグレッションはあなたに影響を与えるか?

私のメンタルヘルスに害を与えていると思う。夜眠れないことがある。ほかに言い方が思い付かない。私の会社のカルチャーについては、もともと広告業界では思っているほど多様性はないとはわかってはいた。人々が私を見る目やゴシップ話であったり。そういったことが私に影響を与える。常に地に足をつけていないといけないと感じる。地に足をつけていないといけないのは全員同じなのだけれど、私について知ろうともしない、興味がない同僚たちと一緒に働かなければいけないとき、自分の仕事をするのがものすごく難しくなる。彼らは年齢であったり、肌の色であったり、ジェンダーであったりが理由で偏見を持っているかもしれない。「そもそも私のことが嫌いなのかな」と思ってしまう。

――人事部と話はするのか?

そんなつもりはなかったが、「敵意がある」と形容されて状況は変わった。(人事部が関わらずには)状況の改善はあまり行われなかった。チームでの居心地が非常に悪くなりはじめたので、私は人事部と話をはじめた。

――どのような結果だったか?

私たちは引き離された。いまも同じチームにいるが、その同僚とは違う業務を行っている。

――どのような結果になれば良いと思っていたのか?

トレーニングだ。それが私が望んでいたことだ。最終的に、コミニケーションとコラボレーションをお互いにすることで、仕事を行いながら同じ環境で共存することが重要になる。人々のなかには「自分の言動は何も変える必要がない」と考えている人もいる。それは間違いだ。私があなたの仕事のスタイルに適応しなければいけないのと同じで、ほかの人も適応しなければいけない。

Kristina Monllos(原文 / 訳:塚本 紺)