オーディエンスが見たいと思うコンテンツ、さらに言えば、エンゲージしてもらえるコンテンツを作るコツは、すべてのブランドが知りたいと思っている。フライトハウス(Flighthouse)の最高経営責任者(CEO)、ジェイコブ・ペース氏は、自社のTikTokページの動画の人気を高めるのに寄与した。その方法とは。
オーディエンスが見たいと思うコンテンツ、さらに言えば、エンゲージしてもらえるコンテンツを作るコツは、すべてのブランドが知りたいと思っている。
デジタルコンテンツスタジオであり、マーケティングエージェンシーでもあるフライトハウス(Flighthouse)の最高経営責任者(CEO)、ジェイコブ・ペース氏は、デジタル時代のコンテンツ制作に力をいれている。彼の施策が自社のTikTokページの動画の人気を高めるのに寄与したという。
ペース氏は、5月12日に開催された米DIGIDAYのイベント「DIGIDAY U」に登壇。「(TikTokは)間違いなく素晴らしいテストの場だ」と語った。DIGIDAY Uは、ブランドが実験的なチャネルで十分な成功を収め、永続的戦略の一部にしていく方法を探究するイベントだ。以下、登壇の内容の簡単なレポートをお届けする。
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フライトハウスのミッション:TikTokでの人気コンテンツの制作
01:ことの始まり
ペース氏は、広告エージェンシーでの勤務経験を通じて、のちにTikTokに買収されるリップシンク動画サービスのミュージカリー(Musical.ly)で何が起きているのかを知ることができた。ペース氏はその後、目に留まった会社を買収した。それがフライトハウスだった。フライトハウスは1年でTikTokのフォロワー数が約1500万人に達し、その頃からオリジナルコンテンツの展開を開始していた。
現在、フライトハウスはTikTokのフォロワー数が2700万人を超えるまでに成長している。ペース氏が「短編ゲームショー」と呼ぶ、ゲストが曲の歌詞を完成させたり、TikTokの人気ダンスをもとに相手のダンスを推測したりするスタントを得意としている。
ペース氏は、「誰もが楽しめるアプリのひとつだ」と語っている。
02:わかったこと
「多くが実験的な試みだった」とペース氏はいう。「4〜5種類のフォーマットを試したあと、色のついた背景の前で最低2人が短いゲームをするというスタイルにたどり着いた。今ではファンのあいだで成功している動画スタイルになっていると思う」。
短編のコメディの寸劇や台本のある番組はお蔵入りになった、とペース氏は話す。「誰もがそうであるように、これは創造と実験のプロセスだ」。
ペース氏は、TikTokは「素晴らしいテストの場だ」と語る。(すべてのコンテンツが全フォロワーに向けてプッシュされるわけではないので)たとえばYouTubeのような競合プラットフォームほど「怖くなく」、「プレッシャーなく使える」からだという。
ペース氏はいう。「ブランドがこのプラットフォームで成功を収め始めれば、それは、小さな成功に気づき、何か特別な効果があればそれを拡大できる良い機会となる」。
ペース氏は、TikTok上のコンテンツの再生回数と、動画自体のエンゲージメントを注視しているが、キャンペーンでどのKPIを見たいのかをブランドは念頭に置いておく必要がある。
「マーケターとTikTokの関係について、『自分はTikTokを使うには年を取り過ぎている』という前に、まずアプリを使ってみたほうがいい」とペース氏はいう。「ナビゲートがそれほど難しいプラットフォームではない」。
03:アドバイス
(柔軟な)プランを用意すること。そして、アプリを使ってみて、数々の実験をしながら、成功したときも失敗したときも、フォローアップに十分気を配ることだ、とペース氏は話す。
フライトハウスは、1000万を超えるフォロワーをTikTokで獲得した。「TikTokのBuzzFeedになる」という戦略を立てたあとのことだった。
「このアイデアは誰でも思いつく」とペース氏はいう。同社はオーガニックな成長戦略を維持しているが、特にD2C(direct-to-consumer)の分野で、より具体的にはコンバージョンの追跡の点で、ペイド戦略にもチャンスがあるとペース氏は考えている。
ペース氏は、特にA/Bテストにおいてペイドが果たす役割があると認識していると補足しつつ、「ペイドには慎重でありたいと思う」と述べる。「これまでブランドが有料サービスを使いすぎたために道を踏み外し、インターネット上で炎上しているのを見てきた」。
マーケティング部門はさらに、チームへの思いやりも忘れてはいけない。「クールな一匹狼」を気取ってTikTokやYouTubeの使い方を身につけようとするマーケターに対して、ペース氏は「自分の殻を破れ、努力しろ」と、持ちかける。逆に、チームを運営していて、さらなる人材を利用できるマーケターには、「大学から引き抜く」という方法もあると提案する。「力を貸してくれる野心的な子どもたちがたくさんいる」と、ペース氏はいう。
04:これからどこを目指すのか
できる限りたくさん実験をすることだ。「TikTokに関しては、文字通り、シークレット・ソースは存在しない」とペース氏はいう。「どんなものでも機能しうる」。
多彩な戦略を念頭におくこと、特に競合プラットフォームがそれぞれに似たような機能を公開するなか、「複数のプラットフォームを使うこと(が重要)」とペース氏は語る。
とはいえ、フライトハウスは 「TikTokではまだ強気でやっていく」という。「TikTokはその機能では最高のプラットフォームのひとつだ」とペース氏は語る。「概して、我々は、より多くの、より良いコンテンツを作ることと、プラットフォームの多様化を目指している。目標は多岐にわたっている」。
[原文:Case Study: How a content creation company set out to become ‘the BuzzFeed of TikTok’]
SARA JERDE(翻訳:藤原聡美/ガリレオ、編集:小玉明依)