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Zoom 会議でのカメラ、あなたは「オン派」? 「オフ派」? : マネージャーたちが考えるエチケット

オフィスで行われる会議に参加するとき、紙袋を頭からかぶる人はいない。ならば、ZoomやTeamsの会議でカメラを「オン」にして当然なのだろうか?

いや、それとこれとは話が別かもしれない。だが、「社員が集まる以上、顔を見せるべき」という意見がゼロということは、まずあり得ない。

コロナ禍で定着したリモートワーク。そのマナーとは一体どういったものだろうか? 目も、ボディランゲージも見えなければ話に説得力がなくなるのだろうか? いわゆる『Zoom疲れ』が起きている今、姿を映さなくても良くて、ホッとするのは悪いことなのだろうか?

職場心理学の専門家の意見は?

ここで専門家の意見を紹介しよう。ルー・バンクス氏は職場心理学の専門家で、また文化コンサルタント企業、ライジングバイブ(Rising Vibe)の創業者でもある。彼は「カメラに映っていなければ、本当の意味で会議に参加したとはいえない」と唱える。

「人間はつながりを求める生き物だ。つまり、つながりを得られなければ、孤独感や不安から社会的苦痛を感じてしまう。それゆえ、カメラをオフにすることは、相手とのつながりを断ち切ろうとしているサインと捉えられ、自分に興味を持っているのか? 話を聞いてくれているのか? と、同僚や上司が心配になってしまうケースが多々ある」。

また、社会的苦痛には『批判的に見られることへのおそれ』もあるとバンクス氏は指摘する。

「批判的に見られるのをおそれるあまり、カメラをつけないで参加したいと考える人もいる」。その一方で「カメラをオフにすることにより、以前であれば会議中に許されなかったような行動も可能になった。たとえばメールチェックやスマホいじり、お菓子を食べるなど、まったく別のことに気を取られていても分からない」と、別の問題をあぶり出す。

カメラの「オン」を強制する理由

カメラの使用を強く推奨しているのが、ソフトウェア企業のSAPだ。ドイツ本社EMEAマーケティングトランスフォーメーションオフィスの責任者、マリン・リデン氏は「上司は手本としてカメラをオンにして会議に参加すべきだ」と主張する。

「会議ではカメラをつけるのが常識だと、部下に理解させる必要がある。また視覚的要素が加わることのメリットについて、もっと周知していくべきだ」と、上に立つ者の積極性を促す。

SAPでは、犬や子供がZoomに入り込んだからといって非難しないというルールを決めている。これも信頼感を高めるためのひとつの手法だという。「そういったハプニングがあっても、批判的にならないことを示すのは大切」と、リデン氏は話す。

また上司であっても完璧ではない姿を見せることで、逆に信頼感が高まることがあるという。

「特に幹部ともなれば、背景を美しく飾って、花を活けたり、身だしなみを整えたりしてZoomに参加することが多い。もちろん顧客との会議であれば、それでOK。しかし相手が社員では居心地を悪くさせかねない。たとえば朝の会議であれば、髪を整えていなかったり、部屋を片付けていなかったりする社員もなかにはいるだろう」。

会議でカメラをオンにするのは、身だしなみを整えさせるためだけではない。

マディ・トーマス氏は、ボストンの消費者に関するオンライン情報を分析する企業、ブランドウォッチ(Brandwatch)のシニアバイスプレジデントだ。世界中から人材が集まる同社では、英語が母国語ではない社員も少なくない。そういった場合、ボディランゲージなどの視覚的なコミュニケーションが重要になる。

とはいえ、例外もあるという。「映像があると逆に気が散る場合もある。たとえば、ワークショップで密に連携しているときなどだ」。

カメラの「オフ」を推奨する企業も

一方で、カメラをオフにするよう推奨するエージェンシーもある。

イギリスのPRエージェンシー、サークル(Cirkle)に勤務するエイミー・サール氏は、カメラをオンにするよう要求するのは好ましくないと主張する。

「ルームシェアをしていれば、業務時間帯がルームメイトと重なり、仕事がやり難いと感じている人もいる」とサール氏。「Zoom疲れから解放できるよう、アレコレさまざまな取り組みを行ってきた。たとえば今では、金曜日にはZoom会議を禁止している」。

気分転換となるようなやり方も取り入れているという。たとえばクライアントとお互いに散歩しながら、スマホで電話会議を行うというものだ。そうすれば画面を見ずに済む。

「スマホという選択肢を忘れてしまっている人も多い。実は私は、馬に乗りながらクライアントの電話に出たこともある。そのときはこう言った。『電話をくれてありがとう。ウマいことは言えないかもしれないけど』って。人間らしさを失わないこと、そして今、誰もが同時にたくさんのことをこなしながら生きていることを、私たちは忘れてはいけない」。

「なにより重要なのはコミットメント」

エージェンシーごとに、カメラについての規則はまちまちだ。

たとえばニューヨークに本社を置くTBWAシャイアットデイ(TBWA\Chiat\Day)でビジネスリードを務めるブルーナ・べチェリ氏は、社員に対しクライアントとの会議では必ずカメラをオンにするよう奨励している。これは全員の反応がわかりやすくなるためだ。

一方、ブランド体験エージェンシーのジャック・モートン・ワールドワイド(Jack Morton Worldwide)でタレントインクルージョン担当EVPを務めるナタリー・アッカーマン氏は、カメラに関する方針を適宜変えてきたという。

「当初はお互いの顔が見えるのは嬉しいものだったが、コロナストレスのなかでテレワークを続けるのはしんどいという実感が、皆のなかで芽生えてきた。カメラをつけっぱなしにしていると、脳への刺激が強過ぎるという研究結果もある。だからプレッシャーを少しでも減らせるならと、カメラをオフにしても良いことにした」と、アッカーマン氏は振り返り、次のように述べる。

「重要なのは、カメラをつけていようがいまいが、全員が積極的に参加していることだ。これは会議の主催者や進行役が負うべき責任だろう」。

[原文:Cameras on or off Managers debate virtual meetings etiquette

STEVE HEMSLEY(翻訳:SI Japan、編集:長田真)
Illustration by IVY LIU