FUTURE OF WORK

リモートワークに「潤い」もたらす、5つの些細なアイデア:米マーケティング業界の経営層たちの場合

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米国の人気シンガーソングライターのドリー・パートン氏は、1日5時間しか眠らない。そして日の出よりずっと前に起床する。同氏の活動は実に幅広く、米国エンタメ業界における女王とも呼べる存在だ。ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)で連載を行うベストセラー作家でもあり、昨年は2本の映画を撮影。さらにモデルナ(Moderna)のワクチン開発に100万ドル(約1億400万円)の寄付も行っている。12月に行われたマリ・クレール(Marie Claire)のインタビューで、同氏は次のように語っている。

「一番いい仕事ができるのが、朝の3時から7時。世の中が静まり返っている頃ね。でも私は、この時間帯に仕事がはかどる。ちょっとした農家のような気分よ」。

パートン氏のようなスケジュールで働いている人は多くはないだろう。だがこの数カ月、通常と異なるスケジュールで働いていた人は少なくないのではないか。コロナ禍で広まった在宅勤務は、当初は良いものに感じられた。通勤がいらないというのはありがたいものだ。しかし、ことマーケティング業界の経営層にとっては、これまでにない新たな課題が突きつけられる形になった。おそらく以前よりもひっそりとしたオフィス。だが今や、そこへ戻ることを心待ちにしている人も少なくない。

1. 1日に2時間、仕事以外に好きなことを

マーク・バティスタ氏もまた、昨年の在宅勤務で忙殺されるようになった幹部のひとりだ。同氏はニューハンプシャー州のヨーク・クリエイティブ・コレクティブ(York Creative Collective)のアイデア・イノベーション部長であり、同社のマーケティングエージェンシーのGYKアントラー(GYK Antler)のマーケティングディレクターとして、ティンバーランド(Timberland)やレッドブル(Red Bull)の仕事を手掛けてきた。「現在、9時から17時はひたすらZoom会議だ。そして会議前後にはメール処理もしなければならず、また会議のZoom設定も毎回しないといけない」と、同氏は苦労を打ち明ける。

新型コロナウイルスの感染拡大から3カ月が経過したころ、同社の経営陣は、1日に2時間ほど、仕事以外に自分の好きなことをするよう社員に奨励した。運動や考え事、おむつの交換。辛いのであれば別の部屋で泣いたり、気分転換したりしても良い。「奇妙な状況だった。社員はかつてないほど働いていると主張しながら、在宅勤務でありがたいと言っている。矛盾している」と、バティスタ氏は思案した様子で語る。

2. 以前と同じ生活パターンを意図的に

サイモン・バーグ氏もまた、社員の線引きを明確にしようと苦戦していた。同氏は、ガーディアン(The Guardian)やバイス・メディア(Vice Media)といったクライアントを抱えるニューヨークのコンテンツソフト企業、セロス(Ceros)のCEOだ。「勤務の開始時刻、終了時刻について強く意識している」と同氏は語る。「パンデミック以前と同じ生活パターンを意図的に保った。起きて、シャワーを浴び、髭をそって香水をつける。決して必要なわけではないが、そうしている」。

一方、同氏は生活のルーティンをなくすことのメリットにも気づいたという。「コロナ禍で身に染みて分かったことがある。それは、『逆境によって創造性が発揮されることがある』ということだ。その点では、在宅勤務は必ずしも悪い環境ではない」。

3. 仕事の前後に音楽でリフレッシュ

クリス・ソイカ氏は、いきなり通勤がなくなったことに最初は戸惑ったという。同氏はジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson)やベライゾン(Verizon)といったクライアントを抱えるブルックリンのインディーズショップ、マッドウェル(Madwell)の最高クリエイティブ責任者だ。「でも最近は、朝、会議などの前に音楽を聴きながら考え事をするのが、自分のアウトプットに非常に良い影響を及ぼすことが分かった」と同氏は語る。「パンデミック以前はいつも、帰宅するときに音楽で仕事モードから抜け出した。音楽を聞きながら、妻やペットの犬のことを考えていた」。

そこでソイカ氏は、仕事をはじめる前と後に30分の時間を設けて、電車通勤をイメージした。音楽を聞きながら思索し、できなかったことに思いを巡らす。

4. 同僚と良かったことを話し合う

利用者の「生活の質の向上」を社是に掲げるサービス企業においても、日常のルーティン管理が目下の課題となっている。

「私は、パンデミック以前からワークライフバランスを常に意識してきた。出社をしたら、プライベートからきっちりと切り離されていることが重要だ。でも今や、これは不可能だ。在宅勤務でワークライフバランスを保つのは容易ではない」。そう語るのが、メレディス・コーポレーション(Meredith Corp.)の瞑想アプリ「マイライフ(MyLife)」の共同創業者であり、ゼネラルマネージャーを務めるジュリー・キャンピストロン氏だ。

キャンピストロン氏は以前、朝8時30分に出社し、すぐに業務を開始していた。ところが現在は、シャワーすら浴びずにパソコンの前に座るのが普通になっているという。パンデミック下では、もはや一般的となった生活パターンだ。

同氏もまたバティスタ氏と同様に、社員に向けて「仕事だけが人生ではない」ということを強調せざるを得なかったという。同社の社員は毎日、Zoom会議や社員同士の連絡などを通じて、1日のなかで良かったことをお互いに話すよう奨励されている。これは、「社員間の感謝する気持ちを高める」として、パンデミック後も継続していく予定だと、キャンピストロン氏は話す。

5. 社員たちと絶えず連絡を取り合う

一方、ニューヨークのフィットネスのスタートアップ企業、ネオ(NEOU)の共同創業者でありCEOのネイト・フォスター氏は、新型コロナウイルスに感染したことが、ワークライフバランスを改めて見直すきっかけになったという。「当たり前だったことに感謝の気持ちを持つようになった」と同氏は語る。

現在、同氏は40名の社員と絶えず連絡をとりながら、モチベーションを高めることに力を入れており、それこそが同社における「もっとも重要な日常業務」だと述べている。

「社員の声に耳を傾け、小さなことも見落としのないよう注意を払う」と同氏は語る。「この習慣を将来も続けていけたらと思う。オフィスに戻ろうとも、在宅勤務を続けようとも、大切な習慣であることに変わりはない」。

[原文:Emulating commutes, appreciating the ‘little things’ C-suite execs share how they’ve adapted daily routines

TONY CASE(翻訳:SI Japan、編集:長田真)