「 ブランドセーフティ は、パブリッシャーの責任だ」:メディアスミス共同創設者 D・スミス氏曰く

メディアエージェンシー、メディアスミス(Mediasmith)の共同創設者デヴィッド・スミス氏にしてみれば、競合他社について気を揉むのは時間の無駄でしかない。業界のベテランであるスミス氏は9月第3週、共同設立者カレン・マクフィー氏とともに、メディアスミスの持ち株についてマネジメントバイアウトを行なうと発表した。

CEOには元COOのジョン・ケイト氏が就任し、スミス氏はチェアマンとして残り、マクフィー氏は業界を引退するという。「プログラマティックやデータ分析といったものの一部はクライアントの内部に戻っているか、商品化されていると思う」とケイト氏。「我々には、戦略的視点と経験を活用し、大きな違いを起こすことができる。それに、我々は現在、エージェンシーに期待されるものをいますぐに提供できる状況にある。新規のアイデア、専門知識だ。デイヴはこれまで弊社のブランド価値を大いに高め、業界に数々の実績を残してきた。今後、弊社はアウトバウンドへの注力を増し、業界における存在感をさらに高めていく」。

このたび、米DIGIDAYはスミス氏にインタビューを行ない、メディアスミスの競合他社、バイアウトを行なう理由、今後の展望について話をうかがった。

――マネジメントバイアウトを決めた理由は?

タイミングと適材適所、それだけの話だ。今回マネジメントバイアウトを行なうチームは、我々のエージェンシーを数年間に渡って毎日、効率的に動かしてきたチームにほかならない。したがって、そのチームに株を譲るのはきわめて合理的だ。何かしら衝突があり、その解決のためではないかと考えている人が多いが、それは違う。あくまで現体制の継続だ。非常に理に適っている。

――最近目にしたなかで、もっとも興味深いトレンドは?

ここ数年、クライアントが作業をインハウス化する傾向が続いていた。しかし、彼らはそれが場合によっては非常に困難であることに気づきつつある。さらに、そこには乗り越えねばならない大きな課題があることにも気づきつつある。その結果、それぞれの分野を得意とするエージェンシーを再び起用するという回帰傾向が見られる。

――多くが知りたいのは、そのトレンドが生じたそもそもの理由だと思うのですが、それについては?

信用喪失がきっかけだ。ANA(全米広告主協会)公認の調査によって、クライアントはあちこちでリベートを取られており、しかもその率は思ったよりも高いことが明らかになり、それで信用は一気に地に落ちた。

――それで?

クライアントは気がついた――そうか、これはプログラマティックであり、すべて機械が決めているのか。そこで、プログラマティックをインハウスでやるようになった。ただし、エージェンシーはたいてい、自ら機械のツマミをいじっていた。人任せにしていなかった。ところが、クライアントはマネージドサービスに頼った。彼らは結局、プログラマティックを外部のネットワークかトレーディングデスクに委託した。つまり、エージェンシーからDSPに乗り換えた。そして、エージェンシーのほうがDSPよりも自分たちのことを考えてくれていたことに気がついた。だから多くは戻ることにした、というわけだ。

――なるほど。ですが、信用性の問題は変わらないのでは? 事態は改善されている?

改善されているケースもあると思う。私らはそれで食べているわけだからね。要するに、トランスペアレンシー(透明性)の問題なんだ。規模の大きな持ち株会社が現在、新たなメディアエージェンシーブランドを次々に立ち上げている。彼らは再編の必要性には気づいているが、彼らの体制にはそもそも問題がある。彼らは縮小と効率化を行なっている。我々に効率化の必要はない。

――ブランドセーフティの問題はどうでしょう? クライアントは依然として、ブランドセーフティに金をかけたくないと思っていますが。

ブランドセーフティを余計な費用と考える向きもある。我々は透明性といった諸々を賭け金だと考えている。それと、ブランドセーフティに関する多くはパブリッシャーの責任だとも考えている。パブリッシャーは質の高いインベントリー(在庫)を見せるべきだ。パブリッシャーに必ず何かを提供させるようにするのは、ブランドの責任ではない。我々は金を払う側であり、質の高いものには喜んで金を出す。CPMが少々上がることになるのは知っている。だが多くの場合、CPMは上がるが、パフォーマンスも上がっている。我々にしてみれば、これはパブリッシャーの状況の問題だ。IAB(インタラクティヴ広告協議会)がANAなどと協力して動かすべきことなのだが、実際にはIABだけでやっている。

――パブリッシャーの現状は?

前進している。自らの買いに問題がなければ、より早く金が入る、ということにパブリッシャーは気づきつつある。今後、物事はより迅速に進むことになるだろう。

――持ち株会社については? 巨大企業が勝利するのではないかと、不安視している?

それは気にしても仕方がない。他人のことには干渉しない、それが鉄則だ。我々は持ち株会社が売り込むような3億ドル規模のビジネスは探していない。探しているのは、彼らが売り込むべきだったのに売り込まなかったビジネスだ。我々が気にするべきは、クライアントが何に関心があるのか、それだけだ。それに、我々の競合他社はほかにいる――ポイントソリューション、インハウス、Google、Facebookなどだ。

――コンサルタントは?

コンサルタントは、要するにクライアントのニーズにアプローチする別の手段だ。我々は業界トップ4~5社のコンサル会社とパートナー契約を結んでおり、彼らと仕事をしている。

SHAREEN PATHAK(原文 / 訳:SI Japan)