デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(以下、DAC)は25日、分散型台帳技術ブロックチェーンを活用した、デジタル広告効果の透明性を改善するための実証実験を開始すると、プレスリリースにて明らかにした。なお、日本IBMと連携して実施されるこの取り組みは、日本初になるという。
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(以下、DAC)は25日、分散型台帳技術ブロックチェーンを活用した、デジタル広告効果の透明性を改善するための実証実験を開始すると、プレスリリースにて明らかにした。なお、日本IBMと連携して実施されるこの取り組みは、日本初になるという。
プログラマティック広告取引が拡大していくなかで、問題視されるようになった広告配信レポートに対する透明性の問題。紆余曲折を経て、現在では、従来の中央集権的なシステムに第三者となる計測ベンターを組み入れるという対応が一般的になってきた。
だが、その一方で、ベンダー間における測定方法が統一されていないという新たな課題も出てきている。それらすべての問題をブロックチェーンの信頼性を活かして、一挙に解決するのが、今回の取り組みの目的だ。
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「信頼性が飛躍的に高まる」
本取り組みでDACは、エグゼクティブ・アドバイザーとして、馬渕邦美氏(現フライシュマン匕ラード SVP&Partner、DACフェロー)を招聘。書籍『ブロックチェーンの衝撃』(日経BP社刊)の監修者も努めた同氏は、デジタルマーケティング及びブロックチェーンのプロフェッショナルな立場から、プロジェクトの座組、スタートから関わってるという。
「本来、デジタル広告のリアルタイムな売買の仕組みは、ブロックチェーンとの相性が抜群に優れている」と、馬渕氏は語る。「今回のプロジェクトでは、ブロックチェーンの非常に高いセキュリティーを活かして、デジタル広告が拡大するゆえに生まれた課題と言われている、その信頼性を飛躍的に高めることができる」。
また、このプロジェクトでは、ブロックチェーン基盤に「IBM Bluemix」のブロックチェーン・サービスを採用。トライアル結果にもとづいて、改善を重ね、今後AI活用なども検討しているという。このAIとは、プレスリリース上で明言はされていないが、おそらくIBM Watsonになるのだろう。
米広告業界で活用が広まる
謎の開発者「サトシ・ナカモト」が考案した仮想通貨ビットコイン。その中核技術となったのがブロックチェーンだ。これまでは、金融業界の文脈で語られることが多かったが、最近では、その他の業界でも活用が検討されはじめている。もちろん、広告業界も例にもれない。
アメリカでは去る3月21日、アドテク企業のメタX(MetaX)が、ブロックチェーン技術を利用した「アドチェーン」というサービスを立ち上げた。個々の広告クリエイティブにトラッカーを仕込み、ブロックチェーンを通して、アドフラウドを排除しようというものだ。
また、ナスダック(Nasdaq)は3月14日、ニューヨークインタラクティブ広告取引所(NYIAX)を2017年中にローンチすると発表。これにより、ブロックチェーン技術を使ったインベントリー販売が可能になるという。
日本初の取り組みとして
いまのところ、ブロックチェーン技術の広告利用において課題なのは、普及が進んでいないことだ。同じブロックチェーンの参加者がお互いに監視し合うシステムとなるため、バイサイドからセルサイドまで、さまざまなレベルの関係者が参加しないと、基本的に機能しにくい。
広告業界において日本初となる、今回のDACの取り組み。技術・インフラを提供するIBMのほかに、広告主として株式会社ニューバランス ジャパン、媒体社として株式会社メディアジーン(DIGIDAY[日本版]の運営会社)も協力する。最後に馬渕氏は、次の言葉で締めくくった。
「今後、このオープンプラットフォームを大きく育てることで、デジタルマーケティングのさらなる飛躍に貢献したいと、今回このプロジェクトに関わったすべての企業が考えている」。
Written by 長田真
Image by GettyImage