クライアントにとって、自社が提携している広告代理店に支払うコミッションの透明性は、重要な問題だ。広告手数料や報奨金、そして投資資金の内訳の情報開示が充分にされているのか、疑問をもっている。
この問題について、元メディアコム(Mediacom:WPP所属のメディアエージェンシー)CEO、ジョン・マンデル氏が2015年の初め、全米広告主協会(ANA)のカンファレンスにて発言した。マンデル氏は、クライアントには見えない、コミッションに関する不透明性を指摘。これに対し、ANAは現在、このような支払い手数料の内訳に関する調査を行っている。
2015年10月27日、アメリカのフロリダ州にて開催されたDigiday Agency Summitでも、ANAの副組合長、ビル・ダッガン氏(TOP画像)に話を聞くことができた。同氏は、現在の状況をマーケターと広告代理店との関係において「もっとも不透明な時期」だと表現した。
クライアントにとって、自社が提携している広告代理店に支払うコミッションの透明性は、重要な問題だ。広告手数料や報奨金、そして投資資金の内訳の情報開示が充分にされているのか、疑問をもっている。
この問題について、元メディアコム(Mediacom:WPP所属のメディアエージェンシー)CEO、ジョン・マンデル氏が2015年の初め、全米広告主協会(ANA)のカンファレンスにて発言した。マンデル氏は、クライアントには見えない、コミッションに関する不透明性を指摘。これに対し、ANAは現在、このような支払い手数料の内訳に関する調査を行っている。
2015年10月27日、アメリカのフロリダ州にて開催されたDigiday Agency Summitでも、ANAの副組合長、ビル・ダッガン氏(TOP画像)に話を聞くことができた。同氏は、現在の状況をマーケターと広告代理店との関係において「もっとも不透明な時期」だと表現した。
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以下で、ダッガン氏と話し合った内容を紹介する。
◆ ◆ ◆
アドテクの複雑さは、クライアントにとっての不透明性につながったのか?
確実にそうだろう。アドテクはその技術によって複雑性、不透明性、そして混乱を招いている。「Lumascape(ディスプレイ広告の業界地図)」を見て欲しい。
プログラマティックバイでは、クライアントが1ドルを支払うごとに、35〜40セントのお金がパブリッシャーの懐に入る。そして、そこにはクライアントとパブリッシャーの間に立つ、無数の中間業者がいる。
多くのマーケターたちは、誰が中間業者なのか、取引の目的は何なのか、また残りの60〜70セントのなかから複数の中間業者には、どのような内訳で支払われているのかを分かっていないはずだ。
「Lumascape(ディスプレイ広告の業界地図)」を見たときの最初の感想は?
この無数にある企業のなかで、実際にクライアントとパブリッシャーに本当に必要な企業はどれほどいるのか? 本当に存在の価値がある企業は、実際にはどれほど存在するのだろうと疑問をもった。
トレーディングデスクを行っている広告代理店は、二重の収入を得ているのか?
そういう広告代理店も少なからずある。この不透明さの問題は2008年頃に、トレーディングデスクの導入によってはじまった。
いまやトレーディングデスクは多くの大手広告代理店が用いているビジネスモデルだ。しかし、その導入に際して、クライアントへの説明やオプションもなかった。代理店の都合で導入していったのだ。
広告代理店として利益を得て、トレーディングデスクでも利益を得ている場合、その広告代理店は二重の利益を得ていると判断されるだろう。
トレーディングデスクによって、すべての広告代理店がダブルの報酬を受け取っているといってよいのか?
この問題は長い間、業界で議論されているが、本当の所は分からない。業界の人間は、それが「普及している」と認識しているらしい。報酬に関わる言葉として、何十回も聞いているが、本当には分からない。
この分野に、より多くの告発者は必要だと思うか?
告発者とは言葉が強すぎるが、情報を共有してくれる人がいてくれると良いと思っている。
広告代理店は、クライアントのために公平なエージェントとしての従来の役割を離れているという認識があるか?
ANAの広告財務管理会議(Advertising Financial Management Conference)にて、グループM(Group M)のCEOであるアーウィン・ゴットリーブ氏は、700人のオーディエンスの前で「広告代理店はビジネスモデルを考え直さなくてはならない」と発言した。
現在、広告代理店はクライアントのためのエージェントとして活動しているが、なかには主導権を握ってしまう広告代理店もいる。仮に何かが起きたときに大事なことは、透明性をもち、広告代理店のビジネスモデルにクライアントが口を挟めるという環境を作ることだ。
広告代理店は、よく在庫の買い上げがすべての問題の根源だとするが?
在庫の買い上げに優れている人材もいれば、それが下手な人材もいる。広告代理店の仕事ができなくなってしまうため、金額さえ安ければ良いという問題でもない。
アドブロックの問題は、マーケターたちの責任だと思うか?
アドブロックの問題は、業界で働くすべての人間に責任があると思う。
広告代理店では、常に才能の不足が問題になっているが?
広告代理店は才能あふれる人材を留めるため、魅了することができないと聞いたことがある。一方で、Googleは世間に現れてここ10年ほどしか経っていないが、良い人材の確保ができているようだ。Twitterやほかの企業もできている。
多くの広告代理店から泣き言を言われたこともある。どうやったら競争ができるか、広告代理店はその方法を模索しなければならない。
Tanya Dua(原文 / 訳:小嶋太一郎)