【一問一答】 AMS とは?:Amazonサイト内専用の広告サービス

Amazonサイト内に広告を掲載できるサービス、AMS(Amazon Marketing Service)。米国ではすでに大きな存在感を示すこの広告商品は、ここ日本でも2016年3月にローンチされ、キーワードでターゲティングできる検索連動型のフォーマットをはじめ、多くの注目を集めています。

しかし、Amazon広告にはAMSだけでなく、AAP(Amazon Advertising Platform)やAVA(Amazon Video Ads)など、複数の広告商品が存在しており、それぞれの区別がつきにくく、なかなか実態が掴めないという声も聞かれます。事実、それも影響してか、日本においてAMSに大きな予算を割いている広告主はまだ一部のようです。

デジタルマーケティングの未来に示唆を与える用語をわかりやすく説明する「一問一答」シリーズ。今回は、AMSとは何か? また日本市場においてどのような状況にあるのか? 国内エージェンシーへの取材をもとに解説します。

――AMSとは、あらためて何でしたっけ?

AMSは、Amazon Marketing Serviceの略称で、Amazonサイト内で展開される広告。2018年3月時点でのAmazonサイトのユークユーザー数は、モバイルとPCを合わせると、日本国内だけで月間約5500万人に及ぶといわれていますが、その膨大な数のユーザーに対して、特定のキーワードや興味・関心でのターゲティングをすることが可能なのです。Amazonサイト内の商品ページに誘導し、コンバージョンを発生させるため、広告主はAmazonに商品を出品している必要があります。

――AMSは、Amazonサイト内でしか展開されないのですか?

はい、そうです。もし、外部サイトに存在するAmazonユーザーにリーチしたければ、AMG(Amazon Media Group)で扱っているAAP(Amazon Advertising Platform)を利用する必要があります。

――AMSには、どんなフォーマットが用意されているのでしょう?

AMSの配信フォーマットには、Amazon内でユーザーが検索したキーワードに応じて、検索結果に表示される「スポンサープロダクト広告」、検索結果の上部に表示される「ヘッドライン検索広告」、そして指定したユーザーの興味・関心や商品カテゴリでターゲティングできる「商品ディスプレイ広告」の3つが存在します。

――やはり代理店を経由しないと、利用できないのでしょうか?

いいえ。AMSはセルフサービスとなっています。しかも、クリック課金で、小額から購入が可能なため、中小企業や個人事業主からの利用も多いようです。

AIを活用したソリューションの提供を中心に、エージェンシー事業も展開するエニーマインドグループ(AnyMind Group)のアドアジアジャパン(AdAsia Japan)で、シニアマネージャーを務める荒金正和氏によると、「日本でサービスを開始した当初は、代理店用のアカウントも存在しなかった。しかし、現在では本国での盛況ぶりも影響し、日本でも代理店アカウントの開設が可能になった。エージェンシーが運用するケースが徐々に増えている」そうです。

――なんでAMSは、こんなに注目を集めているのでしょう?

AMSのもっとも大きな強みは、ROAS(投資対効果)を明確に把握できる点です。デジタル広告において、投下した予算の売上貢献度を管理画面上で確認できるのは、現状ではおそらくAmazon広告だけでしょう。大手広告主のなかには、ROASを計測するために外部にその業務を委託することもあり、その点マーケターにとってAMSを活用するメリットは非常に大きいといえます。

「多くの媒体は実売まで追うことができない。しかしAMSに関しては費用対効果がわかりやすく、予算を投下しやすいという声が、広告主から多数寄せられている」と、荒金氏は語っています。「いまのところ、日本におけるAMS利用は、トライアルや小規模予算での実施がほとんど。だが、案件ひとつひとつの満足度は高い」。

――なるほど…でも、広告主の「満足度の高さ」の理由は?

AMSの配信対象となるユーザーは、Amazonサイト内で商品を検索しているため、購買意欲が高く、獲得効率が高いからです。米国でも、ほかのどの検索連動型広告やディスプレイ広告よりも、AMSのROASは高いという声が上がっているようです。

――とはいえ、デメリットもあるわけですよね?

デメリットではないかもしれませんが、サービスそのものではなく、広告主のAMSに対する認識のズレは、課題のひとつと考えていいでしょう。というのも日本の広告主の多くは、AMSに対して「ECに近いサービス」という認識をまだ強く持っているようなのです。そのため、広告宣伝費ではなく、販促費としてでしか予算を捻出できない状況にあるようです。

Amazonサイト内に広告を掲出し、Amazonサイト内で商品を購入させるという、同サービスの構造が、販促ツールとしてのイメージを強くしているのでしょう。

――販促費だと、なにが問題なのですか?

日本の広告主の場合、広告宣伝費でなく、販促費となると予算が小さいことが多いのです。そのため、広告宣伝費から捻出されるGoogleやFacebookに投下されるような、多額の予算を割くことが難しく、国内エージェンシーの多くはAMSの提案に苦戦を強いられているようです。

こうした状況のなか、電通デジタルのプラットフォーム部門でプランナーを務める菊池真生氏は「昨今のデジタルマーケティングにおいては、広告宣伝費と販促費を連動して考えた方が良いのではないか」と提案します。また同氏は、AMSに予算を多く投じている、先進的な外資系クライアントの多くは、広告宣伝費と販促費を分けていないと付け加えます。

――広告主側の認識に、変化が求められていると?

「広告主にとって、効果的にAMSを活用するための提案は、引き続き行っていかなければいけない。しかしそれ以上に、消費のEC化が進む中で、AMSで非常に良い結果を実感している広告主が増えていることを踏まえると、同サービスは今後さらに大きく成長していくのではないか」と、同じく電通デジタルのプラットフォーム部門でグループマネージャーを務める古城拓也氏は語っています。AMSに大きな予算を割いている大手のグローバル企業らの成功事例を皮切りに、EC化の波に乗ることができれば、今後、多くの広告主側の考え方が変わっていくことが予想されます。

経済産業省が発表した、「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、日本のEC市場は昨対比で5.79%成長。緩やかではありますが、堅調に成長しています。今後さらにこの傾向が強くなれば、広告主側もAMSのようなサービスに予算を多く投下せざるを得ないでしょう。そのとき広告主は、販促費だ広告費だといっている余裕はないかもしれません。

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Written by Kan Murakami