今週のトピックは、Amazonが販売するスピーカー型の音声アシスタント端末「Amazon Echo」などに搭載されている音声認識プラットフォーム「Alexa(アレクサ)」が音声認識レースで、一歩先に抜け出したとみられることだ。
今週のトピックは、Amazonが販売するスピーカー型の音声アシスタント端末「Amazon Echo」などに搭載されている音声認識プラットフォーム「Alexa(アレクサ)」が音声認識レースで、一歩抜け出したとみられることだ。
今月初旬に米ラスベガスで開催された世界最大のコンシューマエレクトロニクス展示会「CES 2017」でAlexaの存在感は秀でていたと各メディアが報じている。
CESに出展した、Cerevo代表取締役CEOの岩佐琢磨氏はブログで「家電から車まで、何もかもがAmazon Alexaに蹂躙された」と書いた。
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あのレベルで生音声を集められてしまうと、もう戦えるプレイヤーはGoogleぐらいしか残っていない。Google Homeが白旗をあげたそのとき、Alexaのグローバル・デファクトスタンダードが完成することだろう。8年ほど前、日本のオーディオ関連会社すべてがiPod/iPhoneに白旗を上げたように。もちろんGoogleは強大な体力を誇るゆえ、巻き返してスマートフォンにおけるAndroid/iPhoneのような二強となる可能性はまだまだある。しかし、少なくとも本年のCESを見る限りではAlexaが圧勝したことに異を唱える人はいないはずだ。会場をざっと見回しただけでも数百を超える機器がAlexa Enabledとなり、車から冷蔵庫まで、徹底的にVoiceControlを押し出していた。
フォード、フォルクスワーゲンはCESでAlexa搭載の車種を発表した。大手メーカーではSamsung、LG 、Ford、GE、 LenovoなどがAlexa搭載の製品を展示した。
フォード車に搭載されたAlexa(Via フォード)
MIT Tech Reviewによると、Amazon Echo/Alexaのシニア・プリンシパル・サイエンティストのニッコ・ストロム氏は「数百万台が米国の家庭にあり『ほこりを被っていない』。我々が開発を行うための、おびただしい量のデータがやってきている」と語った。
多くの製品がAlexaを使えば使うほど、Alexaは生音声データ量で優位に立ち、そのデータでAlexaがパフォーマンスを向上させるという好循環を楽しめる。音声認識のモデルを先に完成すれば、市場占有を進め、競合を封じ込める状態になる。
対抗できるのは音声アシスタント「Google Home」でAmazonと競争するGoogleか。「Ok google」や文書などの音声認識、You Tubeなどで音声データを確保できるとみられる。
音声認識プラットフォームは音声で物事を進められる利便性がユーザーからは認められる(関連記事:メディアパブ)。
だが、見方を変えると、ユーザーがコンピュータに触れるタッチポイントやコンピュータの扱い方を多様化することになる。この数年、モバイルに力が寄ってきたが、今後はさまざまなポイントでパーソナルアシスタントを活用してコンピュータを使うように変化する可能性がある。
その他の注目トピックは以下の通り。
■電通、山本氏が新社長へ
電通は17日、社内調査の結果報告書を発表。不正な取引は、広告主96社から請け負った997件で、広告代金で計1億1482万円分。過大請求していた代金を返金するなど、広告主への対応は今後検討する。
電通は19日、引責辞任する石井直社長(65)の後任に山本敏博常務執行役員(58)を充てる人事を発表した。
■ザッカーバーグ氏「VRに30億ドル投資する」
マーク・ザッカーバーグ氏は17日(米国時間)、FacebookのVRユニットOculus(オキュラス)をめぐる訴訟で証人として出廷し、証言のなかで「Facebookは今後10年でVRに30億ドル(約3400億円)投資する」と語った。NYタイムズが報じ、話題を集めている。
■日経、Viibarとの提携で「デジタル動画」に本腰
業務提携内容は次の通り。1)「NIKKEI STYLE」のコンテンツ開発および広告販売、2)動画広告商品の共同開発および販売、3)企業動画のコンテンツマーケティング支援となる。
■北米のOTT市場はビッグ4支配?
リサーチ会社eマーケターによると、Netflix、 Amazon、Hulu、YouTubeがどのビデオ(動画)のフロンティアで支配的だ。従来のテレビネットワークから、ストリーミングサービスのサブスクリプションが出ている。
■世界アプリ市場は昨年も成長、中印が台頭した:App Annie
モバイルアプリ市場調査会社App Annie(アップアニー)が17日に公開した『2016年アプリ市場総括レポート』によると、全世界におけるアプリダウンロード数は15%増加し、総利用時間は25%増加。「アプリエコノミー」の世界的な成長傾向が続いていることが裏付けられた。中印の台頭がより鮮明になった。動画やモバイルでのショッピングもトレンド。
■ライブ動画の利用状況が弱含みか:UBSの研究機関
スイスのプライベートバンクUBSの研究機関によるライブビデオに関する調査をeマーケターがまとめたところでは、ネットユーザーがどのプラットフォームでライブビデオを見たかと問いに対し、「利用した」との回答がFacebook動画、Twitter以外は弱含み。
■Google AMP、新興国向け版リリース
Googleはモバイルウェブ高速化プロジェクトAMPの簡易版「AMP Lite」をリリース。ネットワークが遅く、低質のデバイスが普及する新興国向けの仕様。
Written by 吉田拓史
Photo via Amazon