Amazonは2018年9月5日、同社が提供する広告商品名を簡易化すと発表した。今回の変更で、AMSや、AMG、AAPといったブランド名は、変更もしくは廃止され、「Amazon Advertising」に統一されることになる。今回の変更が、広告主に対してどのような意識の変化を与えるのか。
どんなに革新的なサービスでも、良さが伝わらなければ意味がない。
Amazonは2018年9月5日、同社が提供する広告商品名を簡易化すると発表した。AMS(Amazon Marketing Service)や、AMG(Amazon Media Group)、AAP(Amazon Advertising Platform)といったブランド名は、変更もしくは廃止され、「Amazon Advertising」に統一されることになる。また、それぞれの広告ブランドに紐付く商品名も、名称から機能が判断できるように簡易化されるという。
混乱を防ぐため
Amazonサイト内に広告を掲載するAMSをはじめ、ここ日本でも少しずつ需要が高まりはじめていたAmazon広告だが、複数の広告商品それぞれの区別が付きにくく、なかなか実態が掴めないという声も聞かれていた。実際、同発表によると、Amazon自身もその現状を把握しており、以前から広告主の混乱を防ぐため、複雑さを解消する取り組みを検討してきたという。
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現段階で発表されているのは、同社が提供する広告配信プラットフォームの名称変更だ。AAPの名を冠していた同サービスは、プログラマティックな特性がより伝わり易くなるようにという狙いのもと、「Amazon DSP」に変更される。
また、広告商品に関しても、キーワードと連動して広告を検索結果の上部に表示させる「ヘッドライン検索広告」は、今後「スポンサーブランド広告」に変更される。同商品は、AMSの傘下に紐づいており、国内外問わず利用が多い。こうした変更は、これから段階的に実施され、ホームページ上では、これらから数カ月間は従来のブランド名が混在することになる。

Amazon広告の商品紹介ページ。はやくも「Amazon DSP」に名称が変更されている。
Amazon広告の強み
ここ日本でも、AMSを中心に、小規模な広告主から大手企業まで、幅広い利用が増加傾向にあるAmazon広告だが、広告主からの印象は「ECに近いサービス」に止まっており、認知向上のために活用される例はまだ少ない。
その要因のひとつになっているのが、サービスの複雑性だ。Amazon広告は、直接影響する購買だけでなく、認知向上にも効果を発揮するとAmazonは主張しているが、ファネルを一貫してカバーできる分、商品の機能や種類は多くなり、結果的にAmazon広告そもそもの強みを理解してもらうことが困難になっていた。
今回の簡略化は、サービス名を変更することで、こうした状況を打開する狙いもあると思われる。Amazon広告の強みは、サイト内の検索広告をはじめ、購買データを元にしたDSPなど、それらを組み合わせた、フルファネルコミュニケーションが可能な点にある。
Googleは先んじて
一方Googleも、サービスのメッセージをユーザーにより明確に伝えるため、2018年6月26日に「DoubleClick(ダブルクリック)」の名前を廃止した。また、ロイターの報道によると、Googleの2018年第2四半期における広告事業の売上は、約280億8700万ドル(参照記事中の記述は、「売上高[326億6000万ドル]のうち86%は広告事業」となっている)で「前年比20%以上の伸び」。Amazonの2018年第2四半期における広告事業の売上は、22億ドルで「(前期比)132%増」となっているという。
Written by Kan Murakami