オムニコムメディアグループ(Omnicom Media Group:以下、OMG)とアルバートソンズメディアコレクティブ(Albertsons Media Collective)は、今年1月のCESで発表した最初のパートナーシップを基盤として、コネクテッドTVへの投資を軸に関係強化を進めていることが、米DIGIDAYの取材で明らかになった。
オムニコムは6月下旬のカンヌライオンズで、コマースメディアに積極的な大手エージェンシーとしての地位を固めることを視野に入れた一連の新規契約を発表したが、大手スーパーであるアルバートソンズとの提携もその一環といえる。
チャネル全体のパフォーマンスが大幅に向上
6月21日にカンヌライオンズで両社が発表したこの契約の中心にあるのは、クロスチャネルの動画投資の強化を目的とした、複数のデータストリームを統合可能なマルチパーティークリーンルーム技術だ。クリーンルームプロバイダーであるスノーフレーク(Snowflake)の新技術によって実現されたもので、オムニコムのオペレーションシステムである「オムニ(Omni)」に搭載される。
オムニコムメディアグループ(Omnicom Media Group:以下、OMG)とアルバートソンズメディアコレクティブ(Albertsons Media Collective)は、今年1月のCESで発表した最初のパートナーシップを基盤として、コネクテッドTVへの投資を軸に関係強化を進めていることが、米DIGIDAYの取材で明らかになった。
オムニコムは6月下旬のカンヌライオンズで、コマースメディアに積極的な大手エージェンシーとしての地位を固めることを視野に入れた一連の新規契約を発表したが、大手スーパーであるアルバートソンズとの提携もその一環といえる。
チャネル全体のパフォーマンスが大幅に向上
6月21日にカンヌライオンズで両社が発表したこの契約の中心にあるのは、クロスチャネルの動画投資の強化を目的とした、複数のデータストリームを統合可能なマルチパーティークリーンルーム技術だ。クリーンルームプロバイダーであるスノーフレーク(Snowflake)の新技術によって実現されたもので、オムニコムのオペレーションシステムである「オムニ(Omni)」に搭載される。
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クリーンルームで処理されるデータは、アルバートソンズの消費者購入履歴に関するファーストパーティデータおよびビデオアンプ(VideoAmp)の測定データが中心で、パラマウント(Paramount)、ワーナーブラザースディスカバリー(Warner Bros. Disovery)、NBCユニバーサル(NBC Universal)といった複数の動画パブリッシャーがデータを提供する予定であり、今後もそのほかのパブリッシャーが追随するとみられる。
両社は今年第2四半期に、2つの消費財(CPG)カテゴリー(片方にはクライアントとしてペプシコ[PepsiCo]が参加)を対象にベータテストを実施し、このデータセットを使用することでチャネル全体のパフォーマンスが大幅に向上することを確認した。
OMGの最高アクティベーション責任者であるミーガン・パリューカ氏は、「動画広告の効果測定、プランニング、予算配分へのアプローチは劇的に進化しており、いまやリテールメディアのデータにこのような決定論的要素を組み込むことが可能になった」と述べ、「スノーフレークのマルチパーティークリーンルーム機能により、すべての主要テレビネットワークにおいて、パブリッシャー間のデータ重複排除が可能になる。実際にデータを移動させることなく、全体で相互接続を確立できるのだ」と語った。
また、アルバートソンズのリテールメディア担当シニアバイスプレジデントであるクリスティ・アルジラン氏は、「リテールメディアのこの部分にこそ、メディアの全体像を変え得るだけの力がある。我々には目標の設定、行動の実行、進捗の監視、そして結果の評価というループがある。これがOMGにとってクライアントへのサービス提供になくてはならない要素であることも知っている。こうしたアカウンタビリティループを、CPGという最大級の広告支出に関して確立することは、業界にとって本当に画期的だ」と述べた。
プライバシー保護と安全基準の順守も両立
一方で、「データの安全性とプライバシーの保護は、この取引のもうひとつの重要要素である」と、スノーフレークのメディア・エンターテインメントおよび広告担当グローバル責任者であるビル・ストラットン氏は語る。「我々は、アルバートソンズのデータ、およびほかのパートナーのデータが、明確に保護されていることを確実にしたい。また、コラボレーションの在り方を規定する、ガバナンスとプライバシーを高度なレベルで実現したい」。
主要な動画広告セラーの一部は、このチャンスを積極的に活用する動きを見せている。「テレビ業界は、プライバシーを順守したやり方でデータの相互運用性を実現し、クロスプラットフォームの広告計画の効率と効果を改善するうえで重要な役割を担っている」と、ワーナーブラザースディスカバリーでデジタル広告セールスおよびアドバンスト広告担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるジム・ケラー氏は述べた。
また、NBCユニバーサルの最高データ責任者であるジョン・リー氏は、今回のパートナーシップのクローズドループの要素により、業界は成果をより明確に定義できるようになると指摘する。「アルバートソンズメディアコレクティブとの業界全体規模の次世代パートナーシップにより、リアルタイムの購入者データを活用し、ループを閉じて、広告主から見たテレビ広告と動画広告のパフォーマンスをかつてないほど飛躍させることが可能になるだろう。加えて、プライバシー保護と安全基準の順守とも両立できる」。
「結局のところ、動画広告の売買に関わるすべてのプレーヤーに、今以上の説明責任を課すことがポイントだ」と、アルジラン氏は説明する。「CPG最大手、すなわちテレビ広告に最大の予算を拠出している広告主が、我々の広告インベントリー(在庫)に注目し、説明責任の改善について理解を深めつつあるのは、極めて興味深い展開だ」。
Michael Bürgi(翻訳:的場知之/ガリレオ、編集:島田涼平)