YouTubeやFacebookなどのインフルエンサーと提携を望む広告主は大変だ。マーケティング担当者は、そのクリエイターのオーディエンスがどのくらいいるか、包括的(フォロワー数、閲覧数、いいね!の数)には知っているかも […]
YouTubeやFacebookなどのインフルエンサーと提携を望む広告主は大変だ。マーケティング担当者は、そのクリエイターのオーディエンスがどのくらいいるか、包括的(フォロワー数、閲覧数、いいね!の数)には知っているかもしれない。しかし、視聴時間やオーディエンスのデモグラフィックなど、重要な指標については、まだ把握できないからだ。
そうした、より詳しい情報は、アカウント所有者にしかわからない。つまり広告主は、インフルエンサーとのマーケティングキャンペーンについて、予測を立てるのが難しいだけでなく、そもそもどのインフルエンサーと協働すれば良いかも判断がつかないのだ。
「広告主に売り込みに行く際、私は自社データや私以外の4人のオーデイエンスデータを見せない」と語るのは、スモッシュ(Smosh)やスクリーンジャンキーズ(Screen Junkies)など、YouTubeの人気チャンネルを管理するディファイメディア(Defy Media)でチーフマーケティングオフィサーを務めるアンディ・ツー氏。「私は彼らのデータにアクセスできないし、彼らもまた同じだ。広告主は私たちを額面で判断するしかない」。
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不安を感じている広告主
インフルエンサーのデータが透明性に欠けていることは問題だが、これはビジネスチャンスだ。サードパーティデータ企業にはエンゲージメント率や年齢、性別、所在地などの統計情報を含む、より詳細な情報を提供することで成長中のチュブラーラブズ(Tubular Labs)やオープンスレート(Open Slate)などがある。これらの企業は、YouTubeとFacebookのAPIへ接続し、また特定キャンペーンの顧客データに関する、より詳細な研究や調査も行っているが、たいていはすでにキャンペーンが開始されている状態で行われる。
「彼らは皆、硬い殻を破ろうとしていて、いまわずかに殻が欠けはじめたところだ」と、話したのはPR会社エデルマンデジタル(Edelman Digital)のグローバルチェアであるケビン・キング氏だ。「しかし、企業がそれぞれ別のプラットフォームと、より良好な関係を築いているので、評価を行いやすくなっている。将来はいくつもの企業と提携して、必要な情報を得るようになるだろう」。
さらには、Webサイトやテレビと比べて、ソーシャルネット動画では取得可能な質的データが少ない。細かな統計は存在するが、オーディエンスの興味や情熱についての詳細な情報が欠けている。これらすべてが要因となり、広告主は皆インフルエンサーのマーケティングを行う、絶対的な価値を不安視してしまうのだ。
求められるさらなるデータ
「メディアプランニングの側としては、これは大きなチャンスだ」と、ツー氏は語る。「チャンネルのエンゲージメント数や閲覧数は開示できる。しかし、サイコグラフィック(心理学的属性)を使って、オーディエンスがそのうえにある製品カテゴリーに深い情熱を持っていると示すことはできない」。
インフルエンサー市場への投資は加速しており、広告主も洗練されてきている。たとえば、広告会社オムニコム(Omnicom)グループのマーケティングアーム(The Marketing Arm)はインフルエンサーのマーケティングキャンペーンを行うため、インフルエンサー90万人のネットワークを作った。マーケティングアームのデジタル戦略ディレクターであるジェイク・シュナイダー氏は、「このネットワークに参加するインフルエンサーは、主流派のセレブからオンラインの動画投稿者まで幅広く、オーディエンスのタイプによって分けられている」と語る。
「クライアントは賢くなってきており、『これによって何が得られるのか』と問いはじめている」と、シュナイダー氏。「こういった質問が出てくれば、統合された場でのさらなるデータ収集を後押しすることになるはずだ」。