絵文字は、いまやデジタルマーケティングのいたるところで使われている。そのため、ほかのメディア同様に、絵文字がブランドキャンペーンに与える影響を計測したいという需要が高まってきた。
そして、この需要に応えるため、次々と新しい企業が生まれている。取るに足らないもののようにも見える絵文字市場の背後にある、科学やデータを活用しはじめようとしている企業がたくさん存在するのだ。従来のデジタル広告の計測法を絵文字やGIF、スタンプに応用する方法を探ろうとしている企業もある。スナップス(Snaps)、エモジ(Emogi)、スウィフト・メディア(Swyft Media)などだ。
絵文字は、いまやデジタルマーケティングのいたるところで使われている。そのため、ほかのメディア同様に、絵文字がブランドキャンペーンに与える影響を計測したいという需要が高まってきた。
そして、この需要に応えるため、次々と新しい企業が生まれている。取るに足らないもののようにも見える絵文字市場の背後にある、科学やデータを活用しはじめようとしている企業がたくさん存在するのだ。従来のデジタル広告の計測法を絵文字やGIF、スタンプに応用する方法を探ろうとしている企業もある。スナップス(Snaps)、エモジ(Emogi)、スウィフト・メディア(Swyft Media)などだ。
絵文字の普及はメッセージングアプリやTwitterなどのソーシャルメディアによって推進されてきた部分がある。メッセージングアプリでは、多くの人が視覚的記号を使ってコミュニケーションをし、ソーシャルメディアでは、絵文字が共通言語になっている。
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絵文字やGIF、スタンプを入力するためのバーチャル・キーボードを手がけるスウィフト・メディアの共同創設者エバン・レイ氏はこう説明する。「これは現在、ブランドにとって大きな問題だ。メッセージングアプリを非常によく利用するユーザーは10億人以上いるが、従来型のモバイル広告に費用をかけていたのでは、彼らにアプローチすることはできない」。
絵文字ユーザーをリダイレクト
スウィフト・メディアはフォード・モーターやデルなどのブランドと協力して絵文字やスタンプによるキャンペーンを実施してきた。これらは、投資対効果を慎重に検証することを望む大口の広告主だ。
ディスプレイ広告や動画を用いる従来のデジタルキャンペーンならば、ページビュー数の追跡、コストの計測、販売やブランドリフト効果を計測する技術が十分に成熟している。そうした方法で絵文字キャンペーンを計測するのは、いまのところ難しいが、技術が向上すれば状況は変わりうる。
レイ氏によると、スウィフト・メディアではダウンロード数やシェア数のような基本的要素を追跡しつつ、同時にリターゲティング・データも集めているという。広告主は絵文字キャンペーンを、以前の絵文字キャンペーンに興味を示したユーザーにリダイレクトできるというのだ。たとえば、スウィフト・メディアは、フォードがメッセージングアプリ上で実施したスタンプ・キャンペーンにいくつかのインサイトを提供し、その結果、140万のスタンプが共有され、3400万インプレッションにつながった。フォードがこのスタンプにかけた費用は、1000インプレッションあたり2ドル(約220円)だった。
絵文字マーケティングは、1000インプレッションでわずか1.50ドル(約170円)しかかからないと、レイ氏は説明する。Facebookでは、レートが常に高く、1000インプレッションあたり5ドル(約560円)だ。レイ氏は、誰かが個人のメッセージで友人たちとブランドを共有すれば、それが実質的な支持になると語る。
顔文字アンケートで広告を評価
もちろん、Facebookはよりターゲットを絞り込んだメディアであり、絵文字キャンペーンを展開するプレイヤーたちは、ターゲット化された環境になるための技術を開発しようともしている。
消費者が広告を評価できるように、顔文字ベースのアンケートを広告に組み込める感情分析プラットフォームを提供している企業エモジ。このプラットフォームは、デジタルディスプレイ広告や動画広告に表示され、ユーザーが「嬉しい」「悲しい」「どちらでもない」の3種類の顔文字からブランドに対する気持ちを選んで送信すると、広告が消える仕組みになっている。
ユーザーがインターネット広告に対して顔文字で反応を示すと、エモジがそれらを分析し、その結果を利用してオーディエンスを構築する。たとえば、笑顔マークを返してきたユーザーは、フォローアップメッセージのターゲットに適しているという具合だ。
エモジは、IBMのようなブランドが、電子メールマーケティングやモバイル向け動画広告のための技術を実装する手助けも行っている。さらに、ブランドについてオンラインで言及があったときに、どんな絵文字が使用されているかを基に、ブランドイメージを追跡する分析手法も開発した。
有り無しでは、有りが断然いい
ソーシャルメディア解析企業のスプレッドファスト(Spredfast)は、コカコーラやスターバックスといった広告主のために、ブランド絵文字を提供する前と後で、Twitterキャンペーンがどう変わったかを調査。すると、すべてのケースにおいて、Twitter上のキャンペーン・ハッシュタグの共有数が増加していたという。
メッセージマーケティング・プラットフォームを提供するスナップスは、キャンペーンにおいて絵文字がシェアやビューを生み出すのに、どのように役立っているかを追跡して、絵文字やスタンプを使ったキャンペーンを各ブランドが管理および計測する作業に手を貸している。同社の最高経営責任者(CEO)を務めるクリスチャン・ブルキュレリ氏は、「我々は、(絵文字が)規模の拡大や実際のROI(投資利益率)を牽引していること、メディアのバイイングが効果的だったことを示すことができる」と語った。
広告主も、ブランドリフト効果や商品販売への影響のような通常の成功のサインを計測している。「6桁前半の投資(数十万ドル)が、数百万ドルのメディア価値をもたらしうる」とブルキュレリ氏は言う。
とはいえ完全にROIは測れない
広告代理店のベテラン担当者たちによれば、それでも、すべてのブランドが絵文字に対する投資からの見返りを気にしているわけではないという。ブランド絵文字は、ブランディングキャンペーンでは役に立つことが多いが、店舗へ顧客を誘い込む要因にはなっていないからだ。
絵文字は、ブランドに関する物語の構築をベースにして、ブランド認知を高める役割を担う。トライバル・ワールドワイド(Tribal Worldwide)の北米地域担当プレジデントであるリチャード・ゲスト氏は次のように述べている。「絵文字によるROIの上昇分を特定するよう考案された調査というものを、我々はまだあまり目にしたことはないし、そうした調査を行うことにそれほど強い関心を寄せているわけでもない。それは、優れたデザインやアートディレクションのROIを計測しようとしないのと同じだ」。
Garett Sloane(原文 / 訳:ガリレオ)