Facebookのプレミアム動画広告、疑問視するバイヤーたち:「これは誰が買うのか」

Facebookがトップクラスと称する、新しい動画広告プログラムのパブリッシャーのクオリティは多様だ。ナショナル・ジオグラフィック(National Geographic)の番組もあれば、22万人のFacebookフォロワーを抱えるコメディアンのマックス・ノー・スリーブズ(MaxNoSleeves)による「デュードファッションレビュー(dude fashion reviews)」といったコンテンツも含まれている。これらが同等のパブリッシャーであるかどうかは、バイヤーによるだろう。

Facebookはインストリーム・リザーブ(In-Stream Reserve)という名前のプログラムを通して動画広告の販売を開始している。YouTubeによるGoogleプリファード(Google Preferred)プログラムと同様に、インストリーム・リザーブはFacebookが抱えるトップクラスの動画在庫を特別扱いし、それを独立したパッケージとして販売するわけだ。

バイヤーたちは不満

しかし、Facebookにとってのトップクラスが広告主たちの期待通りというわけではない。特に個別のテレビ番組ごとに広告を購入することに慣れているテレビ広告のバイヤーたちにとって、テレビと比較して知名度が低い、マックス・ノー・スリーブズのようなインフルエンサーやパブリッシャーが制作するFacebook Watch用の番組は馴染みがないかもしれない。

今年はじめにFacebookがテスト版として売り出したとき、広告主たちに求めた金額は3カ月で75万ドル(約8400万円)というものだった。この件に関与している、ふたりのエージェンシー幹部の情報によると、現在ではこの価格は3カ月で約25万ドル(約2800万円)へと落ちているようだ。Facebookの広報担当者は価格に関するコメントを控えた。

Facebookがインストリーム・リザーブとしてまとめたパブリッシャーやインフルエンサーの幅が非常に広いこと、そして広告主に与えられるコントロール権が比較的少ないことに、広告バイヤーたちは不満を持っている。Facebookが行っている通常のプレロールとミッドロール動画広告とは違い、インストリーム・リザーブでは購入時に広告がどのパブリッシャーのコンテンツに出て欲しいか、もしくは出て欲しくないか、といったことを指定できない。

また、オーディエンスの年齢と性別しかターゲット要素としては使えない点も、通常の動画広告と違っている。年齢と性別はニールセン(Nielsen)によって承認されたものだ。インストリーム・リザーブの在庫からコンテンツのカテゴリーを指定して購入するというオプションも提供されている。しかし、現時点で利用可能なカテゴリーは、広報担当者によるとスポーツ、エンターテイメント、ファッション・ビューティのみだ。

ギャンブルの様相

あらためて、今年はじめに広告バイヤーたちにFacebookから渡された在庫リストを見てみると、インストリーム・リザーブに含まれている100以上のパブリッシャーやクリエーターのなかには大手テレビネットワークやスポーツリーグ、そしてレガシーやデジタルのパブリッシャー、個人のインフルエンサー、そしてなかには動物園もいくつか含まれている。これは特定の月の在庫を示す、ふたつのリストのコピーを米DIGIDAYが確認している。

両方のリストに登場した例としては、ビジネス・インサイダー(Business Insider)、CNN、シンシナティ動物園、ボタニカル・ガーデン(Botanical Garden)、コンデナスト(Conde Nast)、フレマントル・メディア(Fremantle Media)、ナショナル・ジオグラフィック、そしてテイストメイド(Tastemade)などが挙げられる。ひとつ目のリストだけで言うと、ビッグ・テン・ネットワーク(Big Ten Network)、ローリング・ストーン(Rolling Stone)、トラベル・プラス・レジャー(Travel + Leisure)がある。ふたつ目のリストにはViceやジューキン・メディア(Jukin Media)が含まれていた。

どちらのリストにもマックス・ノー・スリーブズやジェイ・シェティ(Jay Shetty)、カット(Cut)といった知名度が比較的低いインフルエンサーやパブリッシャーが含まれている。カットはFacebook Watch用の番組「フィヤー・ポン」や「トゥルース・オア・ドリンク」などを制作している新興メディアのひとつだ。広告主たちはこういった番組やその番組が抱えるオーディエンスと馴染みが少ないだろう。これにターゲティング要素の欠如も合わさって、インストリーム・リザーブはギャンブルの様相を呈している。

リストを見たあと、エージェンシー幹部のひとりは「これを誰が購入しているのか検討もつかない」と述べた。

Tim Peterson(原文 / 訳:塚本 紺)