新「フリーランス規制」、対応を迫られる米エージェンシー

DIGIDAY無料メルマガに登録しませんか?

平日朝9時にマーケティング業界の最新情報をお届けします。利用規約を確認


エージェンシーは長らくフリーランスに頼って仕事をしてきた。だが今後、カリフォルニア州では難しくなりそうだ。

カリフォルニア州最高裁は今年4月、個人事業者との単発の雇用契約は、業務内容が企業の「通常業務外」の場合のみ認められるとの判断を下した。したがって、たとえばエージェンシーがフリーランスの動画プロデューサーを採用できるのは、インハウスの動画担当部署がない場合だけだ。相当する部署がある場合は、そこの従業員として採用し、同じ雇用条件や福利厚生を保証しなければならない。

フリーランサーはエージェンシーにとって日常の一部であり、彼らにはプロジェクトを選び、必要なメンバーを集める自由が与えられていて、柔軟なコスト管理とリソース活用にひと役買っている。フリーランサーの扱いが変われば、エージェンシーにとっては、大打撃につながる恐れがある。

「大量の解雇者が出る」

「損益のぎりぎりで操業している企業にとっては一大事だ。莫大な投資が必要になる」と、あるエージェンシー幹部は匿名を条件に語った。別のエージェンシー幹部は、同じく匿名を条件に、「大量の解雇者が出るだろう」と述べた。

新規採用は大きな負担だが、小規模な独立エージェンシーにとって、それ以上の悩みの種がある。独立を保ちたい、才能あるフリーランサーに案件を担当してもらえなくなることだ。そのため、一部のエージェンシーは中庸のやり方を積極的に模索している。どうすれば、フリーランサーを遠ざけることなく、規制を遵守できるのか? 米DIGIDAYがこの記事のために取材したエージェンシー幹部5人のうち3人は、今後の対応をフリーランサーと協議中だと述べた。

「我々が恐れているのは規制を順守できるかどうかではない。もちろん遵守するつもりだ。懸念しているのは、社員が州の規制を無視し、結果的に採用が困難になるという状況だ」と、ある小規模独立エージェンシーの幹部は匿名を条件に語った。

「規制を破る会社が有利」

同社が契約するフリーランサーは17人。10人しかいないフルタイム社員の2倍近い人数だ。これは単に経営上の理由からではないと、同社のオーナーはいう。

「この業界には、ひとつの会社に属して常勤するのを嫌がる人間が多い。彼らは自由を愛し、複数案件を同時進行したり、旅行しながら、あるいは在宅で仕事をするというように、自分のペースで働きたいと思っている。そのため、短期的には、規制を守る会社より破る会社の方が有利になるだろう」と、彼はいう。

実際、エージェンシーと契約するフリーランサーの暮らしは悪くない。

正社員になるか迷っているという、あるフリーランサーは、「好きな相手と好きなときに仕事できる自由が気に入っている」と話す。

「プロジェクトの利益を圧迫」

一部のエージェンシーは、正社員雇用の真のコストに正面から向き合う道を選んだ。正社員にかかるコストは、給与だけではない。

「我々はフリーランサーと面談し、『我々は福利厚生を提供し、源泉徴収を行い、社会保険料を負担し、確定拠出年金やヘルスケアを保障する。ワークフローの自主管理や、労働時間の自由はいまのままだ。この条件でどうだろう?』といった形で提案している。たいていはとても喜んでもらえる」と、あるエージェンシー幹部はいう。

別のエージェンシー幹部は、フリーランサーを斡旋するクリエイティブグループ(The Creative Group)のような企業を通じた契約を増やすことを検討している。この場合、フリーランサーは形式上はこうした企業の正社員であり、税務処理は企業が行う。ブランディングエージェンシーのリキッド(Liquid)は、フリーランサー紹介業者を通じた契約に切り替えたことで、コストが10%増加したと明かす。「プロジェクトの利益を圧迫しているという不満が出ている」と、リキッドのCEO、スコット・ガードナー氏はいう。

「人事戦略に不可欠の要素」

フリーランサーのままでいたいという希望があったとしても、聞くつもりはないというエージェンシーもある。

「フリーランサーとして扱うことで、福利厚生を与えず不公平になってしまうくらいなら、安全策をとって社員と認めてしまった方がいい」と述べるのは、ロサンゼルスに拠点をおくクリエイティブエージェンシーRPAの人事担当バイスプレジデント、ローラ・スモール氏だ。同社は725人の正社員に加え、常時20~40人のフリーランサーを雇用している。RPAのフリーランサーは主としてクリエイティブ職であり、同社のビジネスの中核を担うため、当然ながらカリフォルニア州の新たな法律の対象だ。

「フリーランサーは我々の人事戦略に不可欠の要素だ。ビジネスにおける大きな課題を解決するにあたっては、彼らの専門性が頼りなのだ」と、スモール氏は語った。

Ilyse Liffreing(原文 / 訳:ガリレオ)