マネキンチャレンジは人が静かに佇んでいる風景を捉えた現象のことだ。複数の人々がまるでマネキンのようにリアルなポーズをして固まり、ズームでディテールを捉えながらその様子を撮影した動画が、次々にインターネットに投稿されている。各エージェンシーも遅れを取らずオフィスで撮影した動画を投稿している。
アイスバケツチャレンジの再来か? ハーレムシェイク以上の騒ぎになる可能性もある。
ここ1〜2週間、ソーシャルメディア上で「#MannequinChallenge(マネキンチャレンジ)」というハッシュダグが盛り上がっている。これは、ある生活のワンシーンを表現するために、複数の人間がマネキンのように静止しているところを動画撮影するという、新しいインターネットミームだ。すでに、そのブームは日本の一部にも上陸しており「#マネキンチャレンジ」という日本語のハッシュタグも賑わいを見せている。
ブームの発端は、2週間ほど前。米フロリダ州・ジャクソンビルのエドワード・H・ホワイト高校の学生数人が、テーブルの上でポーズをとった、Twitterの動画投稿がメディアに取り上げられたところからはじまった。
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ブランドウォッチのデータによると、#MannesuinChallengeのハッシュタグは、先週1週間で62万8000回使われたという。その広まりはスポーツ界やブランドにも及び、アスリートのステファン・カリー氏やニューヨーク・ジャイアンツ、米大手量販店のターゲット、レストランチェーン大手のデニーズ・ディナー(Denny’s Diner)もTwitter上で#MannequinChallengeの動画を投稿してインターネットを賑わせている。日本でもプロサッカーの香川真司選手のインスタグラム投稿が11月14日時点で17万回再生された。
ブランドウォッチのシニア・データアナリストのキーラン・テリー氏は「ソーシャルで人気が出た理由は、ビデオを取り入れてあるからだ。ビデオはソーシャルを利用するオーディエンスから長く愛されており、エンゲージメントを上げやすい」と話す。「#MannequinChallengeは動画の利点を上手く活用し、そして多くの人を参加させつつも意図したシーンを作り出せるという点が、ソーシャルに受け入れられた」。
この現象は11月8日に40万6000回ソーシャルで「いいね」等の言及をされ、すでにピークを迎えている。ちなみに、ヒラリー・クリントン氏まで#MannequinChallengeを行った。彼女のTwitterアカウントでの#MannequinChallenge投稿は、11月14日の時点で9万5000回以上の「いいね」を獲得している。
エージェンシーもこの瞬間を逃すまいと、それぞれのオフィスで#MannequinChallengeを試みている。以下に米DIGIDAYが集めたお気に入りのビデオを紹介する。
レッド・テットマー・オコーネル+パートナーズ
フィラデルフィアを拠点とするエージェンシー、レッド・テットマー・オコーネル+パートナーズ(Red Tettemer O’Connell+Partners)は、エレベーターのシーンからはじまり、その先に多数の社員がフロアで固まっている様子を撮影している。テーブル・フットボールで遊んでいる社員たちやハイファイブをしようとしている社員。この動画は5000回程観られた。
トライバルワールドワイド
トライバルワールドワイド(Tribal Worldwide)の動画は、マネキンチャレンジの非公式のミュージックとして、レイ・シュリマー(Rae Sremmurd)の「ブラック・ビートルズ(Black Beatles)」の曲を利用。この動画はオフィスで社員がさまざまなポーズをとって静止しているところを引きで撮りはじめ、同社のクライアントである3マスケット(3 Musketeers:三銃士)のチョコレートバーをさりげなく登場させている。
エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターのキニー・エドワード氏は、「我々は世の中で起こっている現象について常に興味をもち、関連した事柄に俊敏に反応しなければならない」と語る。「ただ楽しみたかったというのもある。自分たちがどれだけ愉快でクリエイティブで変わっているのかを体現することは大切だからね」。
Just another day in the #adlife #MannequinChallenge pic.twitter.com/DrOcJmmuMt
— TribalWorldwide (@TribalWorldwide) 2016年11月9日
サピエント・ニトロ
サピエント・ニトロ・ソーシャル・スタジオ(Sapient Nitro Social Studio)の北米ソーシャルディレクターのスティビー・ダブ氏は、この現象が世間に広まりつつあるなか、社員全体が参加して一体感のあるものを作りたかったと話す。まず、マイアミのオフィスで#MannequinChallengeを実行し、続いてニューヨーク市のオフィスでも行なう予定だという。
グリーンライト
ダラスを拠点とするエージェンシー、グリーンライト(Greenlight)は、ちょうどインターネットミームが沸き起こった先週の11月8日に動画を投稿し、既存クライアントや潜在的なクライアントに向けて、同エージェンシーがトレンドに遅れることがないことをアピールしようとした。
ブランドストラテジストのクレア・ヒギンズ氏は「たとえランダムなインターネットのトレンドだとしても、我々は素早くそれに反応し、かつそれに自社のクリエイティビティー要素を入れることが出来ることを証明した。それに、我々の新しいチームやオフィスを自慢するいい機会だったと思う」と話した。
BBDOアトランタ
BBDOアトランタ(BBDO Atlanta)は、大統領選挙の日にこのトレンドに参加した。大統領選挙戦を見守る社員たちの不安や緊張感を捉えた#MannequinChallengeを行った。約30人がボランティアとして参加し、アイデアのブレインストーミングから撮影、音響まで、2時間で完成させたという。この動画はFacebookとインスタグラムに投稿された。
CCOのロビン・フィッツジェラルド氏は「私は文化的でタイムリーな現象を見逃さない作り手の一番のサポーターである」と自負している。「私にこの話を相談されたとき、社員に対して直ぐに取りかかるようにと促したよ」と同氏は語った。
なお、日本の代理店で、#マネキンチャレンジに挑戦したところがあれば、ぜひDIGIDAY[日本版]にTwitter、Facebookに知らせて欲しい。数が集まれば記事にするが、少なくともメディアのアカウントでシェアさせていただく。
Tanya Dua(原文 / 訳:中島未知代)