スペイン企業クエンデ(Cuende)は、米国で「メトリックOOH(MetricOOH)」というプラットフォームをリリース。これは、衛星画像を利用して、特定の地域における全交通量を計測し、特定の看板を通過する車両の数をカウントする。最終的には、車両の傾向に基づいて、もっとも価値のある広告看板の場所が決定される。
衛星を使って広告ビルボードの横を通過する自動車を数えるという、屋外メディアのトラフィック測定における新規参入者が登場した。
屋外(OOH:Out Of House)メディアの計測を専門とするスペイン企業クエンデ(Cuende)は先日、米国で「メトリックOOH(MetricOOH)」というプラットフォームをリリースした。このツールは、衛星画像を利用して、最大3500平方マイル(約9064平方キロメートル)の特定のゾーンにおけるすべての交通量を計測し、機械学習技術に入力して、特定の看板を通過する車両の数をカウントする。最終的には、通過する車両の傾向に基づいて、もっとも価値のある広告看板の場所が決定される。
米国における最初のクライアント
メトリックOOHのマネージャー、ダニエル・クエンデ氏によると、同社最初のアメリカのクライアントとして、インデペンデント・ビルボード・オペレーターズ(Independent Billboard Operators:略称IBOUSA)を本日発表するとのことだ。IBO(USA)は、9万箇所におよぶ、さまざまな地方における広告看板(デジタルと静止看板の両方)を全国170の市場に持つ、小さなOOH企業の協同組合だ。
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クエンデ氏にとって幸いなことに、IBOのゼネラルマネージャーであるクリス・カウルベック氏は、基準を満たす測定システムの認定を行う業界団体であるメディア・レーティング評議会(Media Rating Council:MRC)の役員を務めている。クエンデ氏は、同団体による認定プロセスの事前評価フェーズをすでに完了しており、その彼らの認定を得たいと考えている。
クエンデ氏は、「私たちの技術は洗練されたものだが、(技術に関する)方法論は理解しやすいものにしている」と述べ、同社はスペイン、南アフリカ、ルーマニア、メキシコなどの国々でも、メトリックOOHの機能の一部を運営していると付け加えた。「私たちは、どこでも、何もないところであれ、ニューヨークやロサンゼルスのど真ん中であれ機能するような、非常に基本的でシンプルで信頼できるものを作りたいと考えている。どのような町、都市、地域でも、さらに重要なことに、国を超えて共通の基準を持っている」。
「標準化をもたらすことができる」
クエンデ氏は、米国で最初に契約したクライアントが、たまたま洗練された測定ツールをあまり利用していないIBOだったと語る。
オクラホマ州に拠点を置き、IBOに所属するOOH企業のひとつを経営するカウルベック氏は、IBOはOOH業界の3大企業(クリアチャンネル[Clear Channel]、アウトフロント[Outfront]、ラマー[Lamar])が抱えるトラフィックと肩を並べると述べた。「私にとって重要なことは、(会員企業に)収益をもたらす方法を見つけることだ」と彼は言った。
IBOはリスト・データベースと、約5万の広告看板に使われているIBO共同スピードウェイ(IBO Coop Speedway)というクラウドベースのツール群を運用している。IBOのメンバー企業を横断して、「デフォルトで標準化をもたらすことができる」ことは、IBOがクエンデ氏のクライアントとして契約することを選んだ理由のひとつだ。「オーディエンスに関係なく、最高のOOH広告ロケーションを選ぶことができる情報を代理店に提供することができるようになるだろう」とカウルベック氏は述べ、業界が認める確実な認証を得るためにMRCの認証を取得するようクエンデ氏に促した。
MRCの認証を取得するということ
「(MRCの認証を取得することが)ビジネスの成功と失敗の分水嶺だとまでは言わないが、MRC認定は黄金のスタンダードであり、取得してしまえば、(測定の信頼性を)誰も疑ったりはしなくなるだろう」と語るのは、ニューヨークのインテグレーション・メディア(Integration Media)のテリー・カーモディー社長だ。同社はIBOの国内事業の確保と、大手OOHエージェンシーとの連絡役を務めている。
[原文:A Spanish ad company wants to standardize OOH traffic metrics using satellites]
MICHAEL BÜRGI(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)