2021年のパブリッシャーやマーケティング業界がどうなるのか? 米DIGIDAYが2020年の締めくくりとしてお届けするポッドキャストでは、米国の編集チームが来年の業界予測を行った。特に、「Zoom疲れ」がバーチャル会議におよぼす影響や、職場が自宅になったことにおけるメリットなどがテーマだ。
2021年のパブリッシャーやマーケティング業界がどうなるのか?
米DIGIDAYが2020年の締めくくりとしてお届けするポッドキャストでは、米国の編集チームが来年の業界予測を行った。特に、「Zoom疲れ」がバーチャル会議におよぼす影響や、職場が自宅になったことにおけるメリットなどがテーマだ。
この記事では、同番組のハイライトをお伝えする。
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なお、発言の意図を明確にするため一部に若干の編集を加えている。
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総じて厳しい1年
マネージングエディター、サラ・ジャード氏:「米国では、3月中旬から新型コロナウイルスの本格的な感染拡大が始まった。パブリッシャーはビジネスモデルの転換を余儀なくされ、第2四半期の広告市場にも大きな影響を及ぼした。だが年末までに、損益面である程度の帳尻を合わせられた企業も少なくない。そんななか、来年に向けてパブリッシャーにとって非常に気になるのが、キャッシュフローが実際にどうなるかだろう。パンデミックが近いうちに終息する予兆は見当たらない。2021年に向けて、どのような収益機会があるか見極めることが大変重要になってくる」。
Zoomかビーチか
シニアエディター兼リサーチ・フィーチャー担当、マックス・ウィレンス氏:「非常に興味深い疑問がある。これからのイベントがどうなっていくか、何のイベントが継続して開催されるかだ。たとえばB2B業界に身を置けば、業務のために参加したほうが良いカンファレンスがある。だが会社が航空券の経費を出し渋ったり、単純に非常に多忙で参加が難しかったりする。パジャマ姿でも、あるいはデスクからでも参加できるバーチャルカンファレンスが非常に容易に想像できる世界になった。だが一方でB2C業界では、実際のところ、バーチャルイベントの普及は可能性として非常に低いのではないか。今年はB2Cのバーチャルイベントの実施に踏み切ったパブリッシャーもあり、いずれの企業も参加者の多さに手応えを感じ、Zoomでイベントに参加したいという需要が今後も続くのではないかと考えているようだ。もちろん実情については各社のほうが詳しいわけだが、単純に個人的な感想として、ワクチンの接種が進み、今より安全な状況になって、春、夏と暖かくなっていくなかで、パソコンの前に座っているのは私ならもう嫌になるだろう」。
ただ金だけ
シニアマーケティングエディター、クリスティーナ・モンロス氏:「誰もがテレワークをしている今、『クールな文化』、あるいはかつてクールだと考えられていたものの価値が大きく下がった。パソコンの前に座ってただ仕事をしている環境。そんななかでは、辛い仕事をすることの辛さは、以前よりも浮き彫りになる。気の合う同僚とつるむこともできない。本音を言えば、誰もZoomのハッピーアワーになど参加したくない。もし参加したい人がいるなら、是非その理由を聞きたいくらいだ。以前であれば、社員が働き続けるモチベーションとなっていたものがなくなった。今、社員を引きとどめているのはただ金だけだ。ホームオフィスのための支援金? それも金。手厚い福利厚生? それも金だ。これはエージェンシー社員から聞いている、彼らが望んでいることだ」。
良い意味での、短期計画
シニアニュースエディター、セブ・ジョセフ氏:「年間計画、長期計画といった計画サイクルが重視されてきたが、これについて見直す時期に来ているのではないか。計画を立て、その後はただ1年が過ぎ去っていく。もはやそのような決まった流れに甘んずることはできない。この5年間、ブランド各社の即応性は大きく向上し、それに伴い計画期間もどんどん短くなってきた。あるバイヤーによれば、チーム内では『3カ月は、もはや長期計画だ』という感覚が浸透しているそうだ。ビジネスサイクルは常に進化しており、常に評価していく必要がある。パンデミックによって大きな混乱が起きたのは確かだが、実際の計画サイクルに大きな影響が出ていないケースもある。業種や広告主によって変わるだろうが、エージェンシーや広告主は今後も四半期ごと、あるいは少なくとも(ある程度は)キャンペーンごとに計画を立てていくことになるだろう」。
[原文:Coronavirus-induced change and accelerations Digiday’s top trends for 2021]
PIERRE BIENAIMÉ(翻訳:SI Japan、編集:長田真)