Shopify(ショッピファイ)を利用する世界中の販売店たちにとって、顧客のチェックアウト体験をカスタマイズするための選択肢は、さらに増えつつある。先日のディベロッパー向けカンファレンスである Shopifyユナイト(Shopify Unite)では、決済プロダクトに関するアップデートがいくつか追加された。
Shopify(ショッピファイ)を利用する世界中の販売店たちにとって、顧客のチェックアウト体験をカスタマイズするための選択肢は、さらに増えつつある。
先日行われた、ディベロッパー向けカンファレンスである Shopifyユナイト(Shopify Unite)では、決済プロダクトに関するアップデートがいくつか追加された。ひとつは、「Amazonペイ(Amazon Pay)」「ビットペイ(BitPay)」「アファーム(Affirm)」などのサードパーティーが同アプリに決済ゲートウェイを構築することを可能にする新しい「決済プラットフォーム(Payment Platform)」と呼ばれる機能だ。
各販売業者はこれらの決済オプションを追加できるようになる。
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重要ポイント:
- 決済プラットフォーム機能は、同アプリがこれまで採用していた統合システムに置き換わるものであり、サードパーティの決済パートナーが同アプリの機能として決済ゲートウェイを構築できるようになる。
- Shopifyは「チェックアウト拡張(Checkout Extensions)」を追加し、ディベロッパーたちが「Shopifyチェックアウト(Shopify Checkout)」や「ショップペイ(Shop Pay)」に決済画面でさらに追加のプロダクト購入を促したり、寄付をリクエストするといったアプリを構築できるようにする。
- 同社によると、彼らのグローバル決済パートナー群は昨年、合計で650億ドル(約7.1兆円)以上の商品総額を処理した。参考までにペイパル(PayPal)は、2021年第1四半期の処理額が2850億ドル(約31.3兆円)だったと報告している。
誰でもパートナーに
同社は、決済オプションに関しては「誰でも歓迎する」アプローチをとっているようだ。新しい決済プラットフォーム機能は、サードパーティのパートナーが独自の決済ゲートウェイをアプリとして構築できるようにするもので、これはShopifyによるショップペイと直接競合することになる。
「我々は競争関係よりも、販売者たちが必要とする重要なツールにアクセスできるようにすることを重視している」と、同社のプロダクトおよびマーチャントサービス担当バイスプレジデントであるカズ・ネジャティアン氏は語る。「起業への障壁を減らすものは、販売者にとっても消費者にとってもShopifyにとっても良いことだ」。
こうしたサードパーティーの決済プロバイダーをアプリとしてインストールすることで、販売者たちはより広範な決済システムにアクセスできるようになり、理論的には顧客の選択した決済方法に基づいて販売を拡大することができる。
現在、Shopifyの加盟店が利用できる決済プロバイダーは世界中に何百もある。これには、ペイパルやAmazonペイのような世界最大の決済プロバイダーや、コインベースコマース(Coinbase Commerce)やビットペイのような人気の暗号通貨ゲートウェイが含まれる。
より簡単な決済展開へ
Shopifyユナイトでの発表の前までは、同社は今年、ショップペイをより多くのプラットフォームで利用できるようにするための展開を見せていた。
ショップペイは2月にFacebookとインスタグラムショップス(Instagram Shops)で利用できるようになった。さらに4月には、Shopifyはピンタレスト(Pinterest)との提携を27カ国に拡大し、170万のShopify参加販売業者がピンタレストに商品を掲載し、ショップペイを介した決済を増やすことができるようになった。ショップペイの直近の拡大は、5月にGoogleの決済機能と統合されるというものだった。
彼らが決済へ投資することは、同社が新たな収入源を得たり、決済ユーザーにほかのプロダクトを見てもらうことに繋がるかもしれない。
フォレスター・リサーチ(Forrester Research)のシニアアナリスト、リリー・ヴァロン氏はeメールで「Shopifyはアディエン(Adyen)、ストライプ(Stripe)、ワールドペイ(WorldPay)に対抗することはないだろう。しかし彼らは決済がデータの宝庫であり複雑さの地雷であることを知っている」と述べた。「彼らは鍵(ビジネスをコントロールする力)を持ちたいと考えている一方で、小売業者の参入障壁を減らし、Shopifyを長く使いたくなるような存在にしたいと考えている」。
決済分野の動向を把握することは、同社がオンラインショッピングの長期的な変化の波に乗るのにも役立つだろう。ピットニー・ボウズ(Pitney Bowes)が2021年6月に実施した、オンラインショッピング利用者2000人を対象とした調査によると、回答者の17%が、マスク着用義務が解除され始めるなかであっても、オンラインショッピングを増やすと答えている。
インサイダー・インテリジェンス(Insider Intelligence)の主任アナリストであるスージー・デーヴィッドハニアン氏は、「パンデミックによって、買い物プロセスにおいて、あらゆる場所(やプラットフォーム)で買い物をすることが加速的に普及した」とeメールで述べている。「そしてShopifyは、これまで築いてきたさまざまな提携関係を活用して、クライアントのために(消費者の購買行動を)簡単にできるよう、確かな助けを提供している」。
[原文:
Cheat Sheet: Shopify’s new Payment Platform opens up more third-party payment methods]
ERIKA WHELESS(翻訳:塚本 紺、編集:長田真)
Illustration by IVY LIU