バイラルは、もはや「時代遅れ」:ソーシャルチャンネル「バイラル・スレッド」が「VT」に改名

Webで人気の高い記事」を人々に届けることを目指す設立3年のソーシャルチャネル、「バイラル・スレッド(Viral Thread)」は、ある問題を抱えている。バイラルすることが魅力的なコンテンツではなくなってしまったことだ。

クリック稼ぎの見出しとフェイクニュースのせいで、かつてはソーシャルメディアに取り組むブランドやパブリッシャーが切望した「バイラル」が、いまでは、忘れてもよい質の低いコンテンツという否定的な意味合いをもつようになった。これを受けて、バイラル・スレッドは8月9日にブランド名をVTと改め、オリジナル動画の増産に焦点を移している。

「ブランドは評判の高いところと手を結びたいものだ」と、バイラル・スレッドを提供するメディア企業、ジャングル・クリエーションズ(Jungle Creations)の創設者、ジェイミ・ボールディング氏はいう。「オーディエンス数ではうちに及ばないが、実に明確な、長年かけて構築したブランドアイデンティティをもっている10億ドル企業が存在する。質の高い、明確なブランドアイデンティティの価値はうちもわかっており、バイラル・スレッドという名前では無理だと考えていた」。

無言のままではいられない

ジャングル・クリエーションズは、食べ物とライフスタイルに関して10のチャンネルを運営しているが、なかでももっとも人気があるのが「バイラル・スレッド」だ。普段は、バスケットボールを使った「コネクトフォー(Connect Four)」というゲームの動画や、立体的な金魚を描いていく「魅惑的な」タイムラプス動画などを公開しており、アナリティクス企業のチューブラー・ラボ(Tubular Labs)によると、6月には動画の視聴数が26億回に上ったという。Facebookはいま、多くのパブリッシャーによるこうしたコンテンツであふれている。

「オーディエンスがここまで大きくなると、無言のブランドというわけにはいかず、自分が何者なのかを会社としてオープンにする責任が生じる。我々自身と、我々が作るものを引き受けていくので、重圧は高まり、さらに熱くなるだろう」と、ボールディング氏は語った。

「バイラル・スレッド」は、1日に15~25本の動画を公開している。オリジナルはそのうち40%で、残りは投稿や、コンテンツエージェンシーなどのアグリゲーターからライセンス供与されたものだ。これを一転、社会問題に関する週1回のミニドキュメンタリー制作などで、オリジナルコンテンツを75%にしたいと考えている。心の健康や環境といったテーマを中心に、コンテンツの移行には3カ月かかりそうで、統括する責任者はすでに雇い入れている。

大人になりつつある組織

「いちばんの変化は、まるでティーンエイジャーが周囲を意識しはじめるようになるときのような、責任と成熟による優位性の高まりだ」と、ボールディング氏。

現在、従業員の平均年齢は25歳。世界全体で動画チームを6人から20人近くに、テキスト編集チームを10人から18人に増員しているところで、上級幹部も次々と雇用している。2カ月前に開設したニューヨークオフィスは、先日、タイム社(Time Inc.)とCBSから幹部を招き、現在8人の人員だ。ロンドンオフィスに100人の従業員がいて、10月にはロサンゼルスに8人のオフィスを開設する計画なので、コンテンツは1日中、いつでも公開できるようになる。昨年は、従業員数が世界全体で40人ほどだった。

ボールディング氏によると、昨年、ジャングル・クリエーションズの売上は約900万ポンド(約13億円)で、その前年の250万ポンド(約3億6000万円)からはそれなりに増加した。今月の売上の内訳は、ブランデッドコンテンツが60%(昨年の約20%より増加)、サイトのディスプレイ広告が15%、Facebookが25%となっている。

この5週間は、オリジナル動画の収益の10%がFacebookのミッドロールプログラムを通じたものだった。ボールディング氏によると、視聴数100万回で、150~755ポンド(約2万~10万円)を稼ぐという。Facebookは、動画が少なくとも20秒再生されてから広告が入るので、3秒間でカウントされる視聴数は、広告を見た人の明確な指標にはならない。

パートナーとしての価値

「バイラル・スレッド」は、広告を最後まで見させる方法に通じており、この売上は徐々に増大すると見ている。教師がジャーを使って学生に人生の教訓を教えた動画は、パフォーマンスのよかったバイラル・スレッドの動画のひとつだ。今月は、Facebookからの売上(Facebookの「おすすめの動画」プログラムの動画)が、ディスプレイ広告からの売上をはじめて上回った。ボールディング氏の見積もりでは、それまで、売上の30%がWebサイトのディスプレイ広告で、10%がFacebookだった。

また、ブランデッドコンテンツキャンペーンを実施するクライアントからのリピート予約の獲得が増えていて、モンデリーズ(Mondelz)のブランドであるオレオと組んだ4回目のキャンペーンがまもなくはじまる。ほかにもベビリス(BaByliss)やユニリーバ(Unilever)のような有名どころがクライアントに名を連ねる一方で、自転車用の膨らむヘルメットビアポン用カップのような、ちょっとよくわからない製品もこれまでにブランデッドコンテンツで取り上げている。

ボールディング氏は、パートナーとしての価値をブランドとエージェンシーに証明するのが課題であることを認めている。「資金調達はしなかった。ブランデッドコンテンツを制作できるパートナーとして、組織された扉の向こうに導いてくれるコネのある会長やアドバイザーはいない。そうした組織にいかにして溶け込むかは難しい課題だ」とボールディング氏は語った。

Lucinda Southern (原文 / 訳:ガリレオ)
Image from VT’s Facebook