読売新聞、デジタル企業4社と「ブランドスタジオ」を設立:コンソーシアム形式で強みを発揮

読売新聞東京本社は12月14日、企業のコンテンツマーケティングを支援する新たな組織「YOMIURI BRAND STUDIO(YBS)」を、2018年1月に設立することを発表した。昨今、国内外で散見されるようになった、新旧パブリッシャーにおけるブランドスタジオ。世界一の新聞発行部数を誇る同社も、ついにその流れに乗る。

ほかにはない、YBSならではの特徴として、デジタルコンテンツ制作会社4社(ワン・トゥー・テン・デザインエートゥジェイグルーバーナディア)と連携したコンソーシアムであることが挙げられる。各社の得意領域をそれぞれ補い合うことで、新聞広告だけでなく、動画やAR/VRを活用したデジタル広告、またオウンドメディアの制作サービスを、企業や自治体向けに幅広く提供していくという。

読売新聞東京本社は同日、よみうり大手町ホールにて、本件に関する記者会見を開催。同社執行役員広告局長の安部順一氏は、YBSについて「読売新聞の信頼性を基盤に、(デジタルコンテンツ制作の)クリエイティブ力を掛け合わせたことが強みだ」と語った。

読売がいま参入する理由

YBSのチーフ・プロデューサーである池上吉典氏は、同コンソーシアムの設立背景について、「新聞社の機能を活かしきった需要を掘り起こしきれていない」と説明。ここ数年、コンテンツマーケティングや動画などの需要が増えていくなか、新旧パブリッシャーがブランドスタジオを設立する動きを見せる一方、フェイクニュースといった記事の信用性を欠く問題も広まってきた。そんな、いまだからこそ、「読売新聞がやる意義がある」と、池上氏は強調した。

読売新聞では、昨年広告局内にクリエイティブチームを設立。記者経験者が所属する同チームが制作するネイティブ広告は、長年の経験に裏付けられる、質の高いクリエイティブが好評だという。

この新聞社としての信頼性、記者経験者のコンテンツ執筆力に、デジタル先進企業のクリエイティビティを融合する。その掛け合わせを強みとして、企業・消費者の両方に有益な情報やサービスを提供。また、コンテンツ開発のみにとどまらず、同社の人気女性サイト「OTEKOMACHI(旧「大手小町」)」やソーシャルメディアを通して、ターゲットオーディエンスに届けるデリバリーまで一貫して展開していく。

yomiuri-dec2017-2

YOMIURI BRAND STUDIOの構想

デジタルコンテンツの可能性

池上氏は、YBSのコンセプトを構想するにあたり、海外新聞社によるコンテンツ制作スタジオの事例を研究したという。その最たる例は、ニューヨーク・タイムズ(New York Times:NYT)が2014年に立ち上げたTブランドスタジオ(T Brand Studio)だ。ネイティブアド制作の専門部署として設立されたが、エージェンシー機能を拡大しており、設立から3年で100人以上の規模、売上としてもデジタル広告収益の20%から30%を占めるまでに成長している

さらに、ワシントン・ポストも2016年にブランデッドコンテンツ部門であるWPブランドスタジオ(WP Brand Studio)を設立。NYTに後れはとるが、GEやロッキード・マーティンなど大手広告主からの引き合いが多く、2017年のクライアント数は前年比で2倍、直近2年間の売上も3倍に成長する見通しだ。ヨーロッパでも、仏フィガロや英ガーディアンがそれぞれブランドスタジオを立ち上げている。

そうした研究のなかで池上氏は、広告とはいえ、しっかりした取材に基づいた編集の調査報道に近いコンテンツが数多くあることに気づいたという。「海外のスタジオを見て、新聞社としての信頼性と記事執筆力の可能性を見出せた。そこに、(コンソーシアム各社の)クリエイティブ力を掛け合わせることで、これまでにないデジタルコンテンツを生み出せる」。

コンソーシアム形式の理由

コンソーシアム形式のブランドスタジオについて安部氏は、「日本では例のないやり方だが、ぜひ成功させたい」と語る。この形式を選んだ理由として、1社のみと提携した場合、その会社が強みとする事業領域にサービスが限定される可能性があるからだ。

「お互い得意とする領域で強みを出しあい、クライアントが求める多様なニーズに応えていきたい。ブランド企業から見たときの魅力を重視した結果、コンソーシアムという形をとった」。現在はコンテンツマーケディングやオウンドメディア、Web制作を強みとする4社だが、今後異なる領域の企業にも参加してほしいという。

今後1年での売上目標への言及はなかったが、「来年の3月までに倍の10人体制にしたい」と安部氏は成長への意気込みを語った。

写真中央左が安倍氏、中央右が池上氏

写真中央左が安部氏、中央右が池上氏

Written by 亀山愛
Photo courtesy of 読売新聞