Amazon対抗策を模索する、消費財メーカーたちの戦い:「EC=Amazonではない」

消費財(CPG)各社は、いま岐路にさしかかっている。Amazonという脅威にどう対処するか。Amazonを無視すれば、きわめて重要な販売チャネルを失うリスクがある。一方、Amazonと組んだ場合、Amazonが自社でもっと安い代わりの商品を扱いはじめた際に、ブランド価値が損なわれる危険がある。そのため一部のCPG企業は、Amazon以外の選択肢に目を向けようとしている。

ロンドンで10月10~11日(現地時間)に開催された「IGD Online and Digital Summit 2017」に参加した小売業者によれば、Amazonの力が大きくなっているために、小売業者のあいだでは、型破りな提携先を模索したり、スーパーマーケットとの提携をeコマースに拡大したり、簡単に注文できるAmazonの特徴を模倣する動きが起こっているという。

たとえばケロッグ(Kellogg)は、オンラインサイトでシリアルを販売するより、Airbnb(エアビーアンドビー)と提携して朝食を販売する方がうまくいくかもしれないと、同社でeコマース担当グローバル・バイスプレジデントを務めるオスカー・カシューブスキー氏は話す。同氏によると、同社の菓子部門では「EC=Amazonを意味するわけではない。もっと違うパートナーシップを考えるべきだ」と、チームを鼓舞しているという。

カシューブスキー氏の構想は次のようなものだ。「Airbnbと提携すれば、我々にとってシリアルを販売するプラットフォームとして活用することができる。知らない街に滞在するとき、シリアルがどこで売ってるか知らない人も多いし、レストランやホテルの朝食は高くつくこともある。(中略)我々は、『eコマース=Amazon』という考えをくつがえそうとしてるのだ」。

適切なパートナーが重要

一方、コカ・コーラ(Coca-Cola)は、急成長している食材宅配サービスが広まることで、顧客の日常的な買い物がオンラインを活用した定期購入へ移行していくと見ている。同事業には、ブルー・エプロン(Blue Apron)やハローフレッシュ(HelloFresh)のようなスタートアップから、英国老舗スーパーのセインズブリーズ(Sainsbury’s)などが参入している。

コカ・コーラでグローバル・カスタマーディレクターを務めるサイモン・マイルズ氏は、「(食材宅配サービスなどを利用した買い物の自動化が)人々が買い物をしたい方法になりつつある」と話す。eコマースは同社の将来にとって極めて重要な戦略と位置付けられており、最近の投資家会議でも時間をかけて説明された。一方で、同社のEC戦略はいまのところ、既存のプラットフォームで現行のパートナーとの販売を拡大することに留まっている。

マイルズ氏は、「単一のブランドはもちろん、単一の企業だけで買い物客を増やそうとしても、いまの時代は難しくなってきている」と指摘する。「適切なパートナーを見つけることが重要だ。それは、ブランドと小売かもしれないし、ブランド同士の提携かもしれない。いずれにしても、自社の市場で自社のブランドに合った提携先を見つけなければならない」。

見つけてもらうための戦略

同じくCPG事業で、コカ・コーラの先を行くのがネスレ(Nestlé)だ。ネスレでは、eコマースが全売上高に占める割合は約5%で、2012年の2.9%から伸びている。業界全体で見たとき、オンライン販売がもっとも増えているカテゴリーはペットフードであり、ネスレはまさに主要ペットフードブランド「ピュリナ(Purina)」により、その成長を牽引している。

ペット関連ビジネスでは、新製品のオンラインでの売り方に特に注意を払っている。いまやオンラインで食品を買うことは珍しくないにもかかわらず、ほとんどの業界では、消費者がいかに自社製品を見つけているのか、十分に時間をかけて検討していない。英国では、食料品を買う人の5人に2人(42%)が毎月オンラインショッピングを利用して商品を買っていると、食品業界の調査会社IGDは、1700人以上の英国の消費者を対象に行った調査で報告している。

ネスレ・ピュリナ・ペットケア(Nestlé Purina Petcare)でeコマースチャネル責任者を務めるビシャル・クリシュナ氏によれば、同社は新製品の発売にあたって、製品を見つけてもらうための戦略に細心の注意を払っているという。同社では、リスティング広告で大きめの画像を活用して製品を目立たせたり、異なるリテールパートナーのリスティングでも同じように表示されるなどの工夫をしている。

「規模の経済が存在することはわかっている。だが、各社でテクノロジーが違うのにテスコ(Tesco)とAmazonのサイトで同じコンテンツを掲載しても、商品の見え方がサイトごとに大きく異なってしまい、その結果、たいした効果を上げられなくなる」と、クリシュナ氏は話す。「我々は、市場へのルートとそれぞれの違いについて、きわめて慎重に検討することを心がけている」。

酒類メーカーのディアジオ(Diageo)も、オンラインでの食料品販売の成長に合わせて、利益を確保しようと密かに計画を立てている広告主のひとつだ。たとえば同社は現在、「スミノフ(Smirnoff)」ブランドで小売業者と提携してワンクリック販売を開始。しかし、同社ではこの5年間に複数のテストを実施したものの、消費者への直接販売がまだうまくいっていないことを認めている。1月には、高級ブランド酒を扱う自社のオンラインストアが閉鎖された。

Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)