P&G、予告通りに「広告掲載サイト数」を削減

P&Gのマーケティングチーフを務めるマーク・プリチャード氏は今年、ブランドセーフティについて声高に訴えている。そして、大手消費財メーカーである同社が予告通りに、広告掲載サイトの数を減らしている、と複数の広告追跡会社が報告している。

どのくらい減ったのか?

オンライン広告プラットフォームのパスマティックス(Pathmatics)によると、以前、P&Gが広告掲載していたサイトは、アメリカ国内で月間約2000件にも上っていたという。2016年末にプリチャード氏がIAB(インタラクティブ・アドバタイジング・ビューロー)のカンファレンスで「メディアのサプライチェーンなどくだらない」と発言する前の話だ。その数字が今年8月には、900まで減少しているという。

トラフィックを測定するヒットワイズ(Hitwise)社もまた、P&GのWebサイトにトラフィックを送信するサイト運営者が少なくなったことに気がついた。これはつまり、P&Gが広告掲載する場を減らしている、ということだ。今年8月、P&Gが抱える10億ドル(約1000億円)規模の超人気ブランドのWebサイトにリンクするサイト数は、前年比15%減の3500件だった。

このようなベンダーは、情報が足りない場合、不足分を補うため、あらゆる要因を測定し、またさまざまなプロキシを使用するため、生の数値データにはかなり幅がある。しかし、データの絶対値よりも意味深いのは、P&Gが広告の掲載場所を吟味する傾向にある、という、その方向性だ。P&Gおよび提携する広告エージェンシーにコメントを求めたが、いずれも回答を得られなかった。

P&Gに限らないトレンド

P&Gのほかにも、JPモルガン・チェース(Morgan Chase)ユニリーバ(Unilever)もまた、広告掲載サイトの数を削減している。メディアバイイングによるロングテールのWebサイトを削減することは、不正行為やドメインのなりすまし対策として部分的に実施されることもあるが、ブランドが広告のプレイスメントに関心を高めている別の理由は、攻撃的なコンテンツのそばに広告掲載されるのを防ぐためだ。過激派サイトへの広告掲載はいま、政治的に受け入れられないからである。

2017年、プリチャード氏は多くのことを訴えてきた。その中身は、アドテクの価格設定や料金の透明性改善やビューアビリティ(視認性)の向上、そしてアドフラウド(広告詐欺)対策のため警戒を高めることだ。その手段として、ブランドの広告掲載サイト数を減らしたということになる。広告プラットフォームのメディアレーダー(MediaRadar)によると、1月から8月までの期間にP&Gが広告掲載したサイト数は約1300件。前年の同時期と比べて20%少ないという。

P&Gはバイイングプラットフォームのオーディエンスサイエンス(AudienceScience)との提携を解消し、デジタルアドの予算を1億ドル(約113億円)以上削減したが、その結果、同アドテク会社の崩壊につながったことも注目を浴びている。パスマティックスによると、P&Gは昨年末以降、デマンドサイドプラットフォームの利用数を8社から4社に減らしたという。

P&Gは、デマンドサイドプラットフォーム(DSP)の数を半減させたのは、広告主が料金や管理コストを削減するためにバイイングプラットフォームの利用件数を削減していった時期だ。独自のインベントリにアクセスするDSPもあるため、DSP削減によってP&Gは広告を配置するサイトの数を制限できたと、パスマティックスのCMO、ケン・ロバーツ氏は述べた。

ホワイトリストを活用か

ある広告バイヤー(匿名希望)によると、P&Gは広告掲載サイトの数を大幅に減らすため、ブラックリストではなくホワイトリストを展開した可能性が高いという。ホワイトリストは、対象のサイトにのみ広告を表示するため、より制限が厳しい。一方のブラックリストでは、特定のサイトのみをブロックする分、リーチは多いが不適切なサイトが入り込むすきがある。広告コンサル企業のアドバタイザー・パーセプションズ(Advertiser Perceptions)によると、ホワイトリストはより限定的であるため、キャンペーンでこれを利用するマーケターは全体のわずか14%に過ぎないという。

P&Gの予算規模なら、ホワイトリストは慎重に利用すべきであり、また生身の人間によって監視する必要があると前述の広告バイヤーは語った。

「確かなのは、一朝一夕でできることではない、ということだ」と、彼女はいった。

Ross Benes(原文 / 訳:Conyac