来年モバイル動画広告費がデスクトップ動画を超える:今週のデジタルサマリー

今週のトピックは伸びるモバイル動画の動向だ。

人々は広告を観ながら、あるいは定額を払いながら、モバイル動画を利用することを拡大させている。VR(仮想現実)のトレンドがいつ追いかけてくるかは不透明で、現状はモバイル動画がメディア接触のなかでとても重要なポジションを取っている。

ピュブリシスグループのエージェンシーであるゼニス(Zenith)は来年、グローバルのモバイル動画広告費がデスクトップ動画広告費を超えると今週発表した。オンライン動画広告費は2017年に23%増の272億ドル(約3兆円)に達し、その内訳が2018年に「モバイルファースト」に変わると予測されている。デスクトップ動画広告費は2017年がピーク。2018年以降は微減する見通し。

さまざまな動画配信プラットフォームでモバイル利用がマジョリティであると言われている。予算計上のタイミングや広告主がトレンドを見た後で意思決定したなどの要因のため、広告費の上昇が遅れて追いかけてきたと見るのが妥当。

今週発表されたNetflixの第2四半期決算(Q2)では有料会員が1億人を超えた。AppAnnieによると、Netflixは2017年のアプリストア収益ランキング(米)で首位を獲得している。これはタブレット、モバイルでNetflixに月10ドルを支払う人がパンドラ(Pandora)、スポティファイ(Spotify)、ティンダー(Tinder)などモバイルにフォーカスしたアプリより多いことを示している。米国のユーザーはモバイルでも長尺の動画を視聴している。

同じく第2四半期決算が今週発表されたAlphabet。Google CEOのサンダー・ピチャイ氏はYouTubeの月間ユーザー数が15億人に達したと語っている。ピチャイ氏は5月に開始したスキップできない6秒動画広告「バンパー(Bumper)」が成功を収めていると指摘した。ロレアル、Xboxを含む多数のブランドがバンパーのキャンペーンで効果を得たという。YouTubeは過激派動画への広告挿入で、英米ブランドの出稿停止を受けたが、影響は軽微だった。

Facebookは昨年から広告枠数が最大限の状態に達しつつあり、広告を単価の高い動画に転換していく方針を示してきた。月間アクティブユーザー数(MAU)は20億を超えるが、ユーザー数の伸びは1ユーザーあたりの平均収益の低い新興国で起きているため、広告枠数の飽和状態を早期に解決するものではなさそうだ。広告収益の9割をモバイルが占めるFacebookだが、Q2でCFOのデイビッド・ウェフナー氏はこの部分が効いて今年後半にかけて広告収益の伸びが鈍化していく見通しを示している。

今度は日本の状況を見てみよう。

2017年1月に発表されたニールセンの調査によると、スマートフォンにおける無料動画アプリ利用者は2016年12月時点で前年同月から23%増の3338万人に達した。有料動画アプリは50%増え481万人。

20170131_Chart_01

1人あたりの月間利用回数をみると、無料動画は月平均21回で、有料動画の14回の1.5倍多く利用。一方、1回あたりの利用時間では、有料動画は平均して1回あたり25分視聴されており、無料動画の15分よりも10分長くなっていた。

20170131_Chart_03

ニールセン・シニアアナリストの高木史朗氏は以下のように指摘している。

NHK放送文化研究所による国民生活時間調査で近年テレビ視聴の減少が指摘されている若年層で、動画アプリのリーチが高くなっている点です。すでに多くの企業が無料動画を活用していますが、動画アプリはテレビCMではリーチできない若い世代とコミュニケーションをとるのに適したメディアであると言えます。

「AbemaTV」では藤井聡太四段の番組(7月2日放送)が延べ視聴数1242.5万、亀田興毅の番組(5月7日放送)が延べ視聴数1420万に達している。クリティカルマスを叩いたと言える状況だ。

▼ニールセン、Huluなどの測定採用へ

ニールセンはHulu Live TVとGoogle YouTube TVの視聴を同社が提供するテレビ視聴指標に追加すると発表した。

▼米若年層はアプリで送金する

PayPal傘下の個人間送金アプリ「Venmo」の第2四半期の送金額が80億ドル(約8800億円)に達した。2013年第3四半期の4倍。

▼Airbnbが今年1億宿泊超えの予測

Airbnbは宿泊数を毎年堅調に伸ばしている。2015年が4000万宿泊、2016年が8000万宿泊。

▼Flashのサポート2020年末まで

アドビがFlashのサポート中止を2020年末にすると表明。HTML5などへの乗り換えを促すという。

▼Slackが2億5000万ドルを調達

ソフトバンクなどが50億ドル(約5500億円)の評価額で投資。最近大ぶりの投資案件でソフトバンクの名前がよく聞かれる。

Written by 吉田拓史 / Takushi Yoshida