広告監査の新秩序、オラクルのモート買収:今週のデジタルサマリー

今週の注目トピックはオラクルによるデジタル広告測定・監査企業モート(Moat)買収だ。モートは主にビューアビリティ、ブランドセーフティ、ボットトラフィックを調べる独立系企業。測定・監査の重要性が高まるなか、ユニークなポジションにより戦略性を帯びており、オラクルが獲得することになった。

オラクルのリリースによると、モートはオラクルデータクラウド内の独立したプラットフォームになる。米Recodeの有名記者ピーター・カフカ氏の記事によると、買収額は8億5000万ドル(約930億円)超と関係者は語っている。モートの顧客はネスレ、P&G、ユニリーバ、ESPN、Facebook、NBCU、Snapchat、YouTubeとバイヤー、セラー双方から高い評価を得ている。

8億5000万ドルという値付けが、デジタル広告がテレビ広告に勝りつつあるなか、測定・監査領域への成長期待を物語っている。特に昨年後半からFacebookの誤計算問題、YouTubeの広告ボイコットなど、「買い手の逆襲」が続いてきており、その結果、GoogleとFacebookはウォールド・ガーデンの測定を一部認めることになっている。測定・監査はいまデジタル広告でもっとも戦略的な分野(関連記事)

オラクル VS ニールセン

オラクルはマーケティングテックにおけるDaaS(データ・アズ・ア・サービス)ビジネスを前進させている。特に測定・監査を提供する機能は、広告セラーのGoogleとFacebookは提供しづらい。

オラクルがモートを獲得したことで、監査の独立性が担保されるか。オラクルは現状広告のバイヤーでもセラーでもない。

狙うはテレビ視聴率測定を一手に握り、各種のマーケティングデータサービスを提供するニールセンのポジションかもしれない。デジタル広告の王様であるGoogleとFacebookと競合するより、はるかに狙いやすいポジションだ。

オラクル買収 - シート1 のコピー

オラクルはデータロジックスや、ブルーカイ、クロスワイズなどの買収により、ニールセンのパネル調査に圧力をかけている格好。マーケティングクラウド、データマネジメントプラットフォーム(DMP)でも両者は競合する。先週もシミュルメディア(Simulmedia)とテレビ広告測定におけるオラクルデータクラウドの購買データとの連携を発表している。データロジックスなどにより、巨大なスケールでリアルの購買を捉えられるのはユニークな強みであり、広告の効果のジャッジで高い存在感をもっている。

モートがオラクルの傘下に入ったいま、残された独立系のインテグラル・アド・サイエンス(Intergral Ad Science)とダブルベリファイ(Double Verify)にはニールセンの傘に入るのではないかという憶測が飛び交っている。

以下、今週のほかのトピック。

▼Facebookがニュース製品部門長の獲得を検討

Facebookはテック、メディアの両業界のベテラン数人と採用活動を進めているという。部門長はインスタント記事のようなニュース製品の開発や、偽ニュースの拡散の防止などを担当する。

▼広告出稿はインスタ>Snap

Snapchat ストーリーズのクローンである「インスタグラムストーリーズ」の導入から8カ月。日間アクティブユーザー数(DAU)で上回るインスタグラムストーリーズが広告費獲得も優位に進めている。

▼Amazon フレッシュ日本上陸

アマゾンジャパンは4月21日、野菜や精肉などの生鮮食品を、最短4時間で配送するサービス「Amazon フレッシュ」をAmazon プライム会員向けに開始した。

▼GoogleがChromeのアドブロッカーを開発か

Googleはブラウザ最大シェアのChrome向けアドブロッカーを開発しており、数週間以内に発表しそうだとWSJが報じた。フォーマットの基準を満たさない広告をブロックする仕様の可能性があるという。Googleは通所のブロッカーが対象とするディスプレイ広告市場の首位。

▼Facebook「脳でタイピング」を開発

Facebookは脳から出るシグナルを使いタイピングができるシステム開発に取り組んでいる。具体的には、脳からの指令で100語/分(通常のスマートフォンに入力する5倍の速さ)の入力が可能なサイレント音声システムを開発するという目標を掲げている。

Written by 吉田拓史
Photograph by WikimediaCommons