Vice media、エンジニアチームを2年で「5倍以上」に拡大:読み込み遅延の解消をめざして

VRやAI、またボットのようなプロダクトが盛り上がりを見せているなか、「Webページの読み込みを高速化する」ことは過去の問題であり、ローテクだと考える人も多いかもしれない。しかし、実際にはページ読み込みの遅延は、依然として大きな悩みのタネであり、ユーザーが離れないように、パブリッシャーは常に気を配らなければならない状況だ。

Vice Mediaは、この頭痛のタネを取り除くべく、自社の技術を強化し、読み込み時間の妨げとなっているタグを制御・隔離し、遅いベンダーとの契約を差し戻し、オープン取引を行う入札者への依存度を減らした。こうした取り組みによって、Viceはページ読み込み時間の平均値を50%、広告の読み込み時間の平均値を80%削減したという。

「読み込みのスピード向上に関係する要素は複雑なことだらけで、最適化の方法を知るためには本当に深いところまで潜らなければならない」と、プロダクトのバイスプレジデント、ドレイク・マーティネット氏は語る。

多くのバブリッシャーは単に、もっとも大きな遅延を引き起こしている広告を特定・ブロックするために必要十分な技術をもっていない。しかし、企業として成長したViceは、そうした技術を確立するために多額の投資を行った。2年ほど前のViceにはエンジニアは10人もいなかったが、現在は50人以上が在籍している。エンジニアリングチームの規模を拡大することで、Viceは独自のCMS(コンテンツ管理システム)とビデオプレイヤーを開発することができた。

処理システムを細かく切り分ける

自前のシステムを開発したことで、エンジニアはバックエンド側の制御を行うことも容易になったが、これは、スピードの向上を図るうえで多くの選択肢ができたことを意味する。Viceはこの制御にあたり、非常に限定されたタスクの処理に特化した一連の「マイクロサービス(microservice)」をシステムに直接組み込んだ。

たとえば、エンジニアは「間違ったサイズで表示された広告を自動的にリサイズする」というひとつのマイクロサービスを立ち上げ、別のマイクロサービスに特定の広告の読み込み時間を監視させる、といった具合だ。エンジニアがこうしたそれぞれの処理のコード規模を小さく保ち、コードを自社サーバ上にホストすることで、遅延の要因のひとつである「変数の過多」を区分けすることができる。このことにより、エンジニアはより簡単に問題の範囲を切り分け、微調整を行うことができるのだ。

Viceのスポークスマンのひとりによると、Viceがもつバーティカルメディアのひとつで、この一連の技術が導入される前の読み込み時間の平均は1秒ほどであり、この技術を導入したあとは即座に0.5秒ほどに下がったという。Webサイトのスピードテストを行うピンダム(Pingdom)は、ViceのURLのパフォーマンスに対して、ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)と同じ評価の「B」を与えた。Googleのスピードテストの評価では100位中の60位代後半であり、NYTの評価よりも低かった。ただ、GoogleがブラウザをクラッシュさせたCNNの記事に対して87位を付けたことから見ても、この評価は真正直に受けとめる必要はなさそうだ。

アドテク仲介者をできるだけ省く

パブリッシャーのもうひとつの頭痛のタネは、アドテクの仲介者が氾濫していることだ。ベンダーが次々にページ上にタグを置いていくため、読み込み時間が遅くなる。ベンダーによる読み込みスピードへの影響を軽減するため、Viceは「量が少ないサードパーティコード」を探していると、デジタル部門のバイスプレジデント、アンドリュー・スミス氏は語る。

遅延の原因となっているベンダーを発見した場合には、契約を差し戻すという。

「我々はベンダーにこう伝える。『御社のサービスには大きな価値があるが、それが私たちのWebページの読み込みを遅くしていることがわかりました。そのため、事態が収拾するまでのあいだ、(そのベンダーの)サービス利用を停止させていただく』」と、スミス氏は語る。

2017年に行われた遅延に関する分析は、パブリッシャーがどのようにプログラマティックインベントリの販売を取り扱うかについての議論なしには、完結することはないだろう。これには、ヘッダー入札(header bidding)(アドサーバーを呼び出す前にパブリッシャーが複数のアドエクスチェンジにインベントリを同時に提供するプロセス)がページ読み込み時間を大きく悪化させているのではないか、という大きな批判があるためだ。

タグのクラウド管理を行なうラッパータグを活用

Viceはプログラマティックの大きな苦悩をいくつかの方法で軽減している。そのひとつは、アドテクのタグを外部のクラウドサービスに収集し、中央管理する「ラッパー」に入札者を置いている。また、プライベートなマーケットプレイスでの取引を増やし、広告主をパブリッシャーと直接繋げることで仲介者を減らしている。

ページ読み込みの遅延問題と格闘するうえでは、パブリッシャーの技術的な能力と同様に、警戒心が重要だと、マーティネット氏は強調した。

Ross Benes(原文 / 訳:Conyac
Photo via Vice