「役に立たないデータを最適化しても、役に立たない」:データの課題に取り組むエージェンシー

いまはどのメディアエージェンシーもデータの重要性を強調する。

だが、データ・ドリブン・マーケティングの拍動を完全につかんでいるエージェンシーは少ない。広告会社の幹部たちは2月7日(米国時間)、「4A’s Data Summit」に参加し、自社をデータ・ドリブンな組織に変えるうえでの最大の課題について議論した。

主な話題として取り上げられたのは、データの質、クライアント側の組織のサイロ化(タコツボ化)に加え、才能ある人材を見つけることの難しさだった。

「役立たずのデータを最適化してもムダ」

ピュブリシスグループ(Publicis Groupe)の戦略および成長担当オフィサーであるリシャド・トバコワラ氏は、広告会社幹部たちが数百人いる部屋で基調講演を行い、「我々がデータについて思っていることはすべて間違いだ」と指摘した。

大手企業はいまだにあらゆるデータを集めればいいと考えているが、現実は、FacebookとGoogle以外に、まともなデータをもっている企業はない。問題はデータの量ではない。問題を解決に導くのは、現実の人間が、数字から探り当てたインサイトだ。

「我々はデータに取り憑かれ過ぎていて、デジタルマーケティング全体が機能しなくなっている。役に立たないデータを最適化しても、役に立たないのだ」と、トバコワラ氏は熱弁を振るう。「データが新しい油だと思っているなら、あなたたちは間違っている。油を精製するという発想が大切なのだ」。

クライアント組織内のサイロ化も課題

データの質はさておき、クライアント組織内のサイロ化(タコツボ化)もまた、メディアエージェンシーが直面するもうひとつの大きな課題だ。大企業は特に、それぞれが違うデータの断片を持ちながら互いのコミュニケーションが取れていない社内チームをいくつも抱えている。その一方で、パートナーになるエージェンシーに対しては、データ全体を見て、データセットをひとつにまとめてくれることを期待する。

しかし、こうした組織構造はクライアントの戦略に害をもたらす。そう語ったのは、グローバル広告代理店BBDOのエグゼクティブ・バイスプレジデントでマーケティング科学部門を率いるシャロナ・サンカー・キング氏だ。「これは、技術というよりは社内文化に関わる事柄だ。各チーム間の障壁を壊すことが非常に重要だ」と同氏は述べる。

データマーケティング会社マークル(Merkle)のデータ・ソリューション販売担当バイスプレジデント、トム・ミラー氏も、同じ考えを示した。「難しいのは、人々を同じ部屋に集めて、データを中心に置き、それを組織にいる全員にとって有益なものにすることだ」とミラー氏。「すべてはクライアントの考え方次第だ。クライアントのところへ行って、データを出してくれれば成功の可能性があるといっても、クライアントはそれをしたがらないかもしれない。情報が外に漏れると感じるからだ」。

インサイトを見つけられる人材

世の中にあるデータはすべてそうだが、たとえ最高のデータであっても、そこから価値を引き出せる人間がいなければ、大した価値はない。

消費者の80%が自社製品を1~2個購入し、20%が4~5個購入しているという販売データがあるとしよう。このデータの解釈は2通りある。広告という視点から考えずに数だけを分析し「過半数は2個以上は購入しない」というか、あるいは、数字を広告に生かすかたちで利用し、「たくさん購入している20%をターゲットにしよう」と考え、製品ポートフォリオを分けようと考えるかだ。

「データから広告に役立つインサイトを引き出せる人を見つけることが重要だ。単に数字を分析する人ではダメだ」と、マッチ・マーケティング・グループ(Match Marketing Group)の戦略およびインサイト担当バイスプレジデントのエリザベス・クローフォード氏は述べた。

Yuyu Chen(原文 / 訳:ガリレオ)
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