グループ動画Housepartyはネクストスナチャ?:今週のデジタルサマリー

今週のトピックはグループライブ動画アプリ「Houseparty(ハウスパーティ)」が、ジェネレーションZ(2000年−2010年生まれ)中心の若年層でユーザー数を拡大していることだ。

ソーシャルからメッセンジャーへと裾野が広がってきたデジタル上のコミュニケーションの変遷のなかで、Housepartyは新しいトレンドになるだろうか。将来を占うインディケーターとして注目したい。

「ネット上のリビングルーム」

Housepartyアプリを起動すると、即座に友人とのグループライブ動画の状態に入る。極めてシンプルな造りだ。「インターネット上のリビングルーム」。CEOのベン・ルビン氏はそう形容している。「誰か友人と会いたくて、シェアハウスのリビングルームに行く」という感覚だ。この点が類似アプリの「Google Hangouts」などと異なる点かもしれない。

Techcrunchのジョッシュ・コスタイン記者はHousepartyをとても密接な形の「サードプレイス」と見ている

都市生活者には三つの「居場所」が必要だといわれます。第一の場所(ファーストプレイス)が「家」。第二の場所(セカンドプレイス)が「職場」。そしてその二つの中間地点にある第三の場所を「サードプレイス」と呼びます。(中略)代表例として、フランスのカフェやイギリスのパブ(コトバンク

参加したくないときはアプリを起動しなければいい。グループチャットなどで外出の予定を組み立てたとき、参加者全員がチャット内容を読むことを義務付けられた形になり、少し「柔軟性がない友人関係」になる。グループから距離を取るためにいくつかのアカウントをもち、一部を捨てたりすることもある。

生まれたときからリアルとデジタルで人間関係を構築してきたジェネレーションZには、「親密だがより柔軟な人間関係」への欲求があるかもしれない。

ジェネレーションZの好むコミュニケーション

近年はクローストなアプリが勢いをもっている。Snapchat、WhatsApp、LINEなどが台頭し、メッセージングアプリの利用者がソーシャルアプリの利用者を上回ったというリサーチも出た。

米国でジェネレーションZを象徴するアプリがSnapchatだった。Snapchatの運営会社Snapは今春上場予定であり、時価総額が最大で220億ドル(約2兆4000億ドル)になりそうだ。FacebookはSnapchatの機能の多くを自身と傘下のインスタグラムでコピーするほどの熾烈な攻防になっている。一方、Snapは上場で得るであろうキャッシュを、Facebookがデジタル広告で得ている約3兆円のパイなどに食い込むために投資するとみるのが自然だ。

この攻防のさなかに、Housepartyが新しいトレンドを確立できるだろうか。

ライブ動画はスケールする

また、Housepartyにはライブ動画という観点があり、アプリはライブ動画の有効な活用法を見出した可能性がある。

今週公開のC Channel代表取締役 森川亮氏のインタビューで、森川氏は中国のライブ動画プラットフォーム「メイパイ(美拍)」に注目を示していた。美拍はマンスリーアクティブユーザー(MAU)が3億6000万(2016年9月時点)と想像を絶する数字に達しており、若い利用者の熱心なインタラクションがみられる。日本ではライブ動画に懐疑的な見方もあるが、ライブ動画は通信環境とモバイルの質が一定値を超えた国・地域でトレンドになりかけている。

もちろん、大手プラットフォームも黙ってはいない。Facebook MessengerやLINEは昨年12月にグループビデオ機能を追加している。Snapchatが苦しむような「クローン戦略」が、Housepartyにも起きる可能性がある。

以下、今週のその他のトピック

▼LINEとヤフーのニュース対決

LINEはアプリを大幅に刷新し、5つ目のタブである「ニュース」を新設。CNET Japan藤井涼氏がLINE代表取締役社長の出澤剛氏を取材。LINEは各社のニュースを要約して配信するLINE NEWSを2013年7月に公開し、現在は約500媒体と提携している。タブのトップページは「Yahoo!ニュース」のトピックス(ヤフトピ)に近い形式。

LINEの前期決算では広告事業の伸びが突出しており、配信面の拡大を目指しているとみられる。

▼講談社デジタル伸びて好決算

講談社は21日2016年11月期単体業績を発表。日経新聞によると、売上高は前年同期比0.4%増の1172億円で、純利益は86.7%増の27億円。3年ぶりの増収増益。中でもデジタル分野の売上高は44.5%増の175億円で、同社全体の約15%を占める事業の柱に育ったようだ。

▼Verizonの米Yahoo買収額、44億8000万ドルに減額

Verizonの米Yahoo買収で、Verizonは買収額を当初の48億ドル(5400億円)から3億5000万ドル減の44億8000万ドルにした。買収合意後の米Yahooで起きた2回の大規模ユーザーデータ漏えいを勘案した内容。

▼YouTube第三者測定受け入れ

YouTubeは広告測定委のMRC(Media Rating Council)による測定監査を受け入れると発表した。WSJが報じた。Googleは、MRCはモート(Moat)、インテグラル・アド・サイエンス(Integral Ad Science)、ダブルベリファイ(DoubleVerify)の3社の計測を監査するとしている。

発端はFacebookが昨秋から年末にかけて測定で数点誤りがあったことを認めたこと、広告主側が広告測定監査を求め、Facebookが飲んでいた。

▼Facebookが米大リーグとライブ動画放映権を交渉

FacebookはMLB(米大リーグ)と1週間に1試合をライブストリーム放映する権利を交渉している。ロイターが報じた。Facebookは元MTV幹部を雇用、先週はコネクテッドテレビ用のモバイルアップローンチを発表していた。

▼代理店の過重労働問題、テクノロジーはどう貢献できるか?

AOLプラットフォームズ・ジャパン株式会社、小西雄一郎氏は「運用型広告は人的オペレーションに依存しており、最初から細かいターゲティング設計やトラッキングにこだわりすぎるケースがまだまだ多い」とし、「人間が管理する能力には限界があり、許容範囲を超えれば人為的なミスが起こりやすくなるのは、当然の流れ」。機械学習に課題解決の機会があると提言した。

DIGIDAYでは早くからこの「デジタル広告運用の自動化」のテーマを扱ってきた。

関連記事1:『アプリマーケのROAS最適化は機械にお任せ:AppLovin代表取締役 林宣多氏』
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※タイトルを「今週のデジタルマーケティングサマリー」から「今週のデジタルサマリー」に変更しました。

Written by 吉田拓史/ Takushi Yoshida
Photo by GettyImage