ブランドとパブリッシャー、両者の対話が導く未来とは?:DBLで学んだ5つのこと

DIGIDAY[日本版]では8月3・4日、ヒルトン福岡シーホークにて、「DIGIDAY BRAND LEADERS(DBL)」というクローズドイベントを開催した。ブランドマーケターとパブリッシャー、そしてパートナー企業、総勢134名が集い、ある意味「踊り場」に行き着いたデジタルマーケティングの今後について語り合った。

参加者の内訳は、ブランド企業55名(46社)、パブリッシャー企業17名(10社)、パートナー企業59名(35社)、その他3名。DIGIDAYイベント特有の15分から20分のピッチがスピーディに繰り広げられるなか、参加者同士がインタラクティブに交流できるさまざまなコンテンツも展開され、大いに議論が白熱した。

今回のテーマは「デジタルマーケティングの新しい地平」。スマートフォンの普及により、インターネット人口が爆発的に増えるなか、ここ数年で顕在化した、さまざまなデジタルマーケティングまわりの問題を解決するために、デマンドサイドとサプライサイドでフラットな対話をもつことが、DBLの狙いだ。

毎回、DIGIDAYイベントでは締めくくりとして、「5 things we’ve learned(私たちが学んだ5つのこと)」というラップアップを行ってる。今回もその内容を、本サイトの記事としてまとめておく。

ちなみに、以下にて言及する5つのポイント以外にも、さまざまな示唆に富んだ意見はあった。また、とてもユニークで新しいアイデアのヒントになる事例もあった。しかし今回は、あえて「デマンドサイドとパブリッシャーサイドの対話」という見方で、この稿をまとめている。ご了承いただきたい。

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1. 業界にとって、いまはむしろチャンスだと捉える

初日のキーノート「アメリカからの視点:プラットフォーム時代のマーケティングとは」で米DIGIDAY副編集長のシャリーン・パサックは、昨年の米大統領選挙で大きな話題となったフェイクニュースやブランドセーフティの問題について、その原因の一端はブランドマーケターにもあると指摘する。「これまでマーケターらは、デジタルに規模だけを追い求め、それをサプライサイドへ要求してきたところもある。だからこそ、このような問題が引き起こされた。だが、問題が顕在化した、いまこのタイミングは、お互いにデジタルマーケティングのあり方を見直す、いいチャンスともいえるはずだ」。

2. データは重要だが、その先にあるものに目を向ける

日本アイ・ビー・エムの山口有希子氏と読売新聞の玉井忠幸氏が登壇したセッション「デジタルメディアのあるべき姿とは? (メディアの視点、広告主の視点)」では、信頼されるデジタルマーケティング活動のあり方について、両方の視点からの話し合いが行われた。そのなかで、山口氏は「ブランド側は、どの場でどういう考えで、デジタルのマーケティング活動を行うべきか重要視している」と強調。だからこそ、ブランドはパブリッシャーとともに、数字だけを追い求めるところから脱して、よりよい環境を作っていくことが大事だと述べた。

3. しっかりと課題を定義し、その解決に尽力する

ライオンの小和田みどり氏が登壇した「デマンドサイドとサプライサイドは、どんなデータで会話をすべきか?」では、デジタル施策を打つことの意味をあらためて考えさせるセッションが展開された。「デマンドサイドは、何が課題でどうなりたいか、きちんと明確にするべき。そのうえで、サプライサイドは他社にない独自の強みを活かし、どのような課題解決ができるか示して欲しい」。そうすることで、より実のある会話を行うことができるはずだと、小和田氏はまとめた。

4. 全体を見通せる人材を育成・獲得する必要がある

コーチ・ジャパンのリサ・レスマン氏が登壇したセッション「広告を超えて:Coachアジアのブランド戦略」では、「Think Global, Act Local(世界規模で考え、地域に合わせて実行する)」というスローガン掲げる、コーチのマーケティングについて話してくれた。そのなかで、人材の話に及んだレスマン氏は、自らのチームに求める人材は、ジェネラリストの背景をもちながら、さらに専門性をもっている人間だと述べる。「いわゆる『コンテンツストラテジスト』と呼ばれる人たちだ。こういう役職は5年前にはなかった。コンテンツを介した、顧客との関係づくりを、フルファネルで戦略的に考えられる人が求められている」。

5. パートナーを尊重し、お互いに会話を深める

また、今回のイベントで、もっとも好評だったコンテンツのひとつに、ワーキンググループディスカッションがある。全参加者が16のチーム分かれて、デマンドサイドとサプライサイドのディスコミュニケーションが引き起こされている理由と、その解決策について話し合った。本イベントの開催に先駆けて、「ブランドとパブリッシャーが話し合うことで、解決できることはあるのか?」という疑問を呈したマーケターもいたが、このディスカッションにおいては「こうした対話は、今後も続けていくべきだ」という結論が、各チームより挙げられていた。

以上が今回、私たちが学んだ5つのことだ。

なお、今回のDBLに先駆けて、DIGIDAY[日本版]では、両日のトリとなる最終セッションを努めていただいた、ネスレ日本の石橋昌文氏資生堂の音部大輔氏の登壇内容の一部を告知記事として、事前に掲載している。こちらも合わせて確認してほしい。

このDBLは、年1回のイベントとして、今後もシリーズ化していく予定だ。次回の詳細は、まだなにも決まっていないが、ぜひとも続報をご期待いただきたい。

Written by 長田真