ダヴが浮き彫りにした、インフルエンサー施策の危険性:「我々だって生身の人間だ」

かつてMTVのホストだったコルトレーン・カーティス氏(TOP画像右)は、ソーシャルのスターたちとブランド向けプロモーションコンテンツを制作するエージェンシー、チーム・エピファニー(Team Epiphany)を設立した。インスタグラムでフォロワー2万4000人を抱えるカーティス氏だが、自らがインフルエンサーとなってコマーシャル契約を交わすことには関心がない。それも、自社の競合相手からの依頼ならなおさらだ。

カーティス氏は、5歳になる息子のエリントン君の写真に「#thelayup」というハッシュタグを付けて、たびたびインスタグラムに投稿している。6月12日、#thelayupをつけた投稿のひとつに、父の日に向けたダヴの「Men+Care(メンプラスケア)」のプロモーションに関心がないかと尋ねるヴェイナーメディア(VaynerMedia)からのコメントがあることに気づいた。ヴェイナーメディアは、業界の風雲児ギャリー・ヴェイナーチャック氏(TOP画像左)が経営するソーシャルメディアエージェンシーだ。

カーティス氏によると、ヴェイナーメディアからはこの1週間のうちに、同じ文面で複数のリクエストが届いていたという。ただ今回のメッセージは、最後に「時間が迫っている」というラベルがある点が異なっていた。

「魂胆が本当に嫌だ」

「ヴェイナーメディアは同じインフルエンサーリクエストを、息子を取り上げた複数の投稿に対して3日連続で送信してきた。これはトロール(荒らし)だ」と、カーティス氏は非難する。「私はブランド相手の仕事をしていて、懸命に働いて稼いだ金で息子を育てている。息子との関係を売り物にするという魂胆が本当に嫌だった」。

ヴェイナーメディアから依頼のコメントを連投されたカーティス氏は6月13日、ヴェイナーメディアへの返信をスクリーンショットに撮り、インスタグラムのアカウントに投稿した。

コルトレーン・カーティス氏:「荒らしをやめてくれ」

コルトレーン・カーティス氏:「荒らしをやめてくれ」

「私が返信した最初の文面はこれよりもはるかに威勢がよかった。これは、自分が言いたいことに、編集に編集を重ねたバージョンだ」と、カーティス氏は明かす。「私はインフルエンサーマーケティングのエージェンシーを経営している。だからおそらく、ブランドの宣伝のために接触したい人間としては一番最後になるはずだ。それに実際のところ、スキンケア製品は好きだが、使っているのは非常に高級な男性用スキンケア製品だ」。

ヴェイナーメディアにメールでコメントを求めたが、返信はなかった。

「我々は生身の人間」

カーティス氏が考えるインフルエンサーマーケティングの問題の核心は、ブランドとインフルエンサーが取引関係にある「ペイ・トゥー・プレイ(pay-to-play)」のモデルだ。もちろん、ソーシャルのスターたちは商品やサービスを宣伝することで何らかの報酬を得るが、対価を伴うこの関係にはふたつの見方がある。

ブランドがインフルエンサーに報酬を出すのは、第1に、インフルエンサーが自らの意志で広める商品を選び、共同でプロモーションを手がけてくれるから、というもの。第2に、インフルエンサーがプロモーションに適任かどうかにかかわらず、メッセージを広めてくれるから、というものだ。第1の見方なら正しい、とカーティス氏は語る。

「インフルエンサーは生身の人間なのに、メディアの一端だと見なされるケースが多い」と、カーティス氏は嘆く。「フォロワー数で品定めをするような態度は問題だ」。

Yuyu Chen (原文 / 訳:ガリレオ)