「テレビ風コンテンツ」制作に傾倒する BuzzFeedの思惑:需要高騰する動画コンテンツ

BuzzFeedが3月12日、FacebookとYouTubeに、食を中心に扱うネット動画シリーズ「Worth It」の第2シーズンを配信開始した。この番組では、司会者3人が3種類の価格帯(低価格、中程度の価格、高価格)の料理を試食し、どれが一番価格に見合っていたかを評価する。BuzzFeedのweb番組のなかでも最大級の成功を誇り、3月12日のエピソードは、配信開始から24時間で350万回視聴された。

BuzzFeed幹部のマシュー・ヘニック氏によると、同社は現在、「Worth It」を含め31番組のコンテンツ開発または制作を進めているという。同氏は、動画部門となるBuzzFeed Motion Picturesで番組開発を率いている。

無料・有料問わず人気もの

番組の配信パートナーは多岐に渡る。たとえば、「BuzzFeed Unsolved」のような一部の番組は、Facebookのほか、BuzzFeedのサイトとアプリでも配信される。そうした無料の番組に含まれるBuzzFeedの人気フードブランド「テイスティ(Tasty)」は、「テイスティ・デート・ナイト(Tasty Date Night)」や「テイスティ・ストーリー(Tasty Story)」などを制作している。

ほかの番組は、ストリーミング配信パートナーから配信料を受け取る。たとえば、キンタ・ブランソン氏の「Broke」やザ・トライ・ガイズ(The Try Guys)の「Squad Wars」は、YouTube Redで配信。また、ケルシー・ダラー氏の「Am I Doing This Right?」はコムキャスト(Comcast)のウォッチャブル(Watchable)で、ブランソン氏の「Up for Adoption」はベライゾン(Verizon)のゴー90(Go90)で、それぞれ配信されている。BuzzFeedは出資者のNBCユニバーサルとの関係を通じて、ミシシッピ州の10代の若者が死亡した未解決事件に関して、BuzzFeed Newsの調査に基づく犯罪ドキュメンタリーシリーズのようなテレビ番組も展開中だ。

FacebookやSnapchat(スナップチャット)、OTTサービスがテレビ風の番組を求めるなか、BuzzFeedはほかのコンテンツパートナーと同様に、プラットフォーム各社と独占番組の制作に向けた交渉を重ねていると、ヘニック氏は明かす。「プラットフォームを所有する企業と、そのオーディエンスの両方が、コンテンツを求めている」と、ヘニック氏は指摘する。「我々はそのおかげで、デジタルシリーズがどれほどの大ヒットになり得るかを示すことにおいて、市場をリードすることが可能だ」。

動画部門が行っていること

BuzzFeedの番組を制作するBuzzFeed Motion Picturesは、BuzzFeed Entertainment内の40人編成ユニットだ。BuzzFeedの事業再編により、編集長のベン・スミス氏が率いるBuzzFeed Newsと、プレジデントのゼィー・フランク氏が率いるBuzzFeed Entertainmentの主要2部門に分けられた。

オリジナルの番組や映画の制作を担当するBuzzFeed Motion Picturesは、プロジェクトごとにフリーランスのプロデューサーやほかのスタッフと頻繁に仕事をしている。典型的なのは、ハリウッドの制作チームを起用するケースだ。

「我々の動画部門が編成された目的は、社内でアイデアを生み出すこと。そして、そのアイデアをプラットフォームやほかのパートナーとの協業により発展させることだ」と、ヘニック氏は説明する。「どのプロジェクトの場合も我々はあらかじめ内製する部分と、ハリウッドなどの既存の組織に外注する部分の割り振りを決めている」。

 

 

「Worth It」は、BuzzFeed Motion Picturesがソーシャルプラットフォームで成功するデジタル番組を開発する方法を示すお手本かもしれない。ひとつのアイデアを採用し、それに沿って限られたエピソード数のシリーズを進めるのではなく、絶えず微調整を行っている。

たとえば「Worth It」では、番組中でもっとも評価が高い料理を配信するタイミングや、シェフにインタビューするのが効果的かどうかを、エピソードごとに判断。理想的な尺についても同様で、最初は7~8分だったが、第2シーズンを開始する前に12~13分に落ち着いた。

コンテンツ消費時間が狙い

こうした微調整は実際に役立っている。FacebookとYouTubeにおける第1シーズンの視聴回数は、1億5000万回近くだった。第2シーズンは、週1回ペースの全10エピソードで構成され、引き続きこれらのプラットフォームで配信される。BuzzFeedは今後も微調整を続け、フード以外のジャンルで対決するエピソードも模索する。具体的には、散髪やホテルの部屋(50ドル[約5500円]のホテル対3万5000ドル[約390万円]のホテル)などだ。

「ホテルのアイデアは、視聴者からの提案だった」と、ヘニック氏は明かす。「これがデジタルの利点。オーディエンスに対して反応できる」。

BuzzFeedはテレビ風の動画シリーズに投資することで、視聴者のコンテンツ消費時間を増やすことも狙っている。たとえば、「Worth It」の視聴者の約75%はエピソードを最後まで再生しており、BuzzFeedの調べではほかの番組も同程度のリテンション率だと、ヘニック氏は語る。これはまた、FacebookSnapchatが、自社プラットフォームにおけるユーザーの滞在時間を延ばすため、エピソード式コンテンツを優先している大きな理由でもある。

「プラットフォーム各社は、テレビとその広告予算を追い求めている。テレビには、コンテンツに時間を費やす視聴者がいるからだ」と、ヘニック氏。「我々が望んでいるのは、そうした視聴者の意向に沿う番組を作ること。つまり、オーディエンスの視聴時間を延ばし、病みつきになる番組コンテンツだ。BuzzFeedによるその手の番組は、今後ますます増えるだろう」。

SAHIL PATEL(原文 / 訳:ガリレオ)
Image: BuzzFeed’s “Squad Wars” for YouTube Red