「サーバーサイド広告挿入」は、動画広告の救世主なのか?:事前結合でアドブロックを回避

ネットの動画化は著しく、さまざまな媒体が動画を制作するようになってきた。

配信の大半はYouTube、Facebookなどのプラットフォームに依存したものだが、自社で動画配信をする場合はアドブロックが問題になることも多い。このアドブロックはネット広告への警鐘であり、パブリッシャーと広告主には発想の転換が必要になると考える人もいる。

その一方、これもテクノロジーで解決する問題のひとつだと考える人たちも出てきた。そんなテクノロジー解決派は「サーバーサイド広告挿入(サーバー側での広告の挿入)」を使うことを推奨している。

「ダイナミック広告挿入」「アドスティッチング」とも呼ばれる、この技術。米国ではテレビや大きなオーディエンスを抱える大手メディアを中心に導入事例が出てきた。

アドブロックが広告配信を変える

「サーバーサイド広告挿入」は、動画コンテンツと動画広告を、ブラウザのレベルではなくCMS(コンテンツ管理システム)のレベルで縫い合わせる(スティッチする)技術のことだ。何年も前からある技術だが、パブリッシャーの間でアドブロックへの懸念が高まったことで、注目が集まっている。それを提供するアンヴァト(Anvato)のチーフ・エバンジェリスト、マット・スミス氏は「要するに、テレビ・コマーシャルのストリーミング版」だと説明した。

広告挿入が重要な理由を知るには、まず、多くの動画広告が提供されている仕組みを理解する必要がある。通常は別々のサーバーから配信されている、動画コンテンツと動画広告。動画コンテンツはコンテンツ配信ネットワーク(CDN)から、動画広告はDoubleclick(ダブルクリック)をはじめとするサードパーティアド(広告)サーバーから配信されるのが一般的だ。動画の視聴が始まると、動画コンテンツと動画広告がブラウザでひとつに結合される。

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サーバサイド広告挿入の一連の流れ(出典:the platform

しかし、サーバーサイドのアドスティッチでは、この動画と広告の結合が、動画が配信される前になされるようになる(上図)。ビデオプレイヤーを再生する(①②)と、動画管理システム(mpx)がアドサーバーから動画広告を取得(⑤⑥)すると同時に、CDNから動画コンテンツを取得(⑦⑧)し、両方を縫い合わせてからプレイヤーに送る(⑨⑩)。

アドブロックの仕組みは、Webページをスキャンして、フィルターリストを使い、サードパーティーのアドサーバーにつながるドメインをブロックするというものだ。そうすることで、アドブロックは、パブリッシャーの動画コンテンツを表示させつつ、アドサーバーから配信された動画広告を読み込ませない。しかし、「サーバーサイド広告挿入」では、コンテンツをアドサーバーから受け取らないので、アドブロックの網にかからない。

より滑らかな動画配信のために

この技術のメリットは、アドブロックを防ぐだけではない。実は「サーバーサイド広告挿入」は、動画広告が内包するさまざまな問題を解決するために開発されたものだ。たとえば、動画コンテンツと広告コンテンツを結合して1つのストリーミングにすると、動画広告はロードされるが目的の動画コンテンツはロードされないという問題はなくなる。

また、構成要素の品質が安定するので、バッファーも小さくなる。用途は広告に限らない。パブリッシャー側が、ある種の動画コンテンツをその場で差し込むこともできるのだ。たとえば、ウェザーチャンネルなどの全国的なネットワークは、この技術を使うことで、オーディエンスの位置情報に合わせて、その地方の天気予報を届けることができる。

動画制作者向けテクノロジーを提供するザ・プラットフォーム(thePlatform)のアラン・ラマレイCTOは、「こうした変更を可能にする技術は、非常に強力。これによって何が可能になるかが、やっと見え始めた段階だ」と語っている。

Ricardo Bilton(原文 / 訳:ガリレオ)※[日本版]編集部で加筆・編集しました。
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