米ヤフー動画サイト「Yahoo Screen」が失敗した5つの理由

米ヤフー(Yahoo!)による一連の大失敗に、新たに「ヤフースクリーン(Yahoo Screen)」が加わった。

米ヤフーはこのほど、ローンチから5年になる同社の動画ストリーミングハブ「ヤフースクリーン」の運営を終了。NBCのホームコメディ「コミ・カレ!!(原題:Community)」のリバイバルや、10月のNFL中継などの取り組みの拠点となっていたものだ。すでに「ヤフースクリーン」のWebサイトは閉鎖され、アプリはiTunesとGoogle Playから削除されている。

米ヤフーは動画配信戦略において、スポーツ、エンターテインメント、音楽に関するメディアに焦点を当てており、再熟考することになるようだ。以下において、「ヤフースクリーン」が失敗した理由を5つ挙げていこう。

1. 規模が小さかった

米ヤフーは、Web最大のサイトのひとつなのに、その強大な影響力を駆使して動画視聴数を増やすことができなかった。インターネット調査企業のコムスコア(comScore)によると、「ヤフースクリーン」の2015年11月のユニークビジター数は1500万人で、これは前年比で34%の減少だった。さらにこのとき、デスクトップからの視聴はわずか3400万回だった。

ユーザー数は10億人を誇り、1日あたりの視聴回数が数十億回というYouTubeと比較すると、「ヤフースクリーン」は明らかに戦えるような結果を出していなかった。

2. 動画のために米ヤフーを使わない

「米ヤフーをどのように使っているのか」はユーザーによって違う。メールだったり、検索だったり、ファンタジーフットボールだったりする。しかし、多くの人にとって「米ヤフーといえば動画」ではなかった。動画を観ようという時に、米ヤフーを利用するユーザーはほとんどいなかったのだ。

「すべてはマインドシェア(ライバル企業と比較した時の、コンシューマーのブランドに対する認知)が足りなかったのだ」と、米ヤフーの元幹部は、匿名を条件に語ってくれた。「製品や体験を求めてやってくるユーザーには、何かしらの意図がある。動画を観たい人は『ヤフースクリーン』は利用しない。YouTubeやHuluやNetflixを利用する」。

3. 独自番組に十分な投資をしなかった

2015年11月、米ヤフーは4200万ドル(約49億円)の損失を出した。オリジナルコンテンツの「Sin City Saints(原題)」と「Other Space(原題)」、そして「コミ・カレ!!(原題:Community)」の再放送が失敗に終わったためだ。この損失の大きさに、米ヤフーのオリジナルコンテンツへの意欲は低下したが、実はこの額は、ほかの動画サービスのメディア投資額に比べると小さい。

たとえばNetflixは2016年にコンテンツに60億ドル(約7055億円)を投じる計画だし、Huluは「となりのサインフェルド(原題:Seinfeld)」の配信権のためだけに1億6000万ドル(約187億円)を投じている。米ヤフーはメディア企業として動画にアプローチしながら、メディア企業なら行うはずの投資をやろうとしなかった(あるいはできなかった)。

4. 動画ハブは大きくするのが難しい

こうして母体が生き残れなかった場合、運営されている動画ハブも、同じ運命をたどるのは明らかだ。大半のパブリッシャーがダイレクトトラフィックの減少という問題に悩んでおり、米ヤフーも「ヤフースクリーン」によって読者を母体の米ヤフーサイトにダイレクトに呼び込みたいと考えていた。

米ヤフーの苦境は、出版社コンデナスト(Cond Nast)の「ザ・シーン(The Scene)」などと通ずるものがある。コンデナストは、動画部門であるコンデナスト・エンターテインメント(Cond Nast Entertainment)によって制作/運営されている「ザ・シーン」が同じようなハードルに直面している。

5. Web動画の競争はあまりに激しい

結局のところ、米ヤフーの最大の課題は、Netflix、YouTube、Huluという巨大な怪物たちが支配する動画市場では小さなプレイヤーであることだった。さらに、HBOをはじめとするケーブルチャンネルなどによる、規模では劣るが的を絞り込んだたくさんのストリーミングサービスともしのぎを削ることになった。これらのサービスはどこも動画を第一としており、番組やサービスのマーケティングに多額の資金を投じる準備ができている。

前出の元米ヤフー幹部はこう語っている。「HuluやNetflixなどが相手となるこの市場に参加するには、自ら制作するコンテンツか、何らかの方法による独占コンテンツで領域を開拓する必要がある。米ヤフーはそれができなかった」

Ricardo Bilton (原文 / 訳:ガリレオ)
Image via 米DIGIDAY