「プログラマティックに依存しては 心躍る記事を作れない」:ブランドセーフティ問題に直面するパブリッシャーの告白

オンライン上の過激なコンテンツに対する厳しい取り締まりへの要望が高まっている。だが、パブリッシャーのなかには、不適切な場所への広告表示を防ごうとするブランドの取り組みの意図とは反して、不当な扱いを受けている者もいるという。

今回のDIGIDAYの「告白」シリーズでは、女性のライフスタイルに関する記事を取り扱う、あるWebサイトのパブリッシャーに話を聞いた。彼女によると、この厳しい取り締まりによって、編集面での戦略の変更を余儀なくされているという。

要点を編集したものを以下に紹介する。

――ブランドセーフティに対する意識が高まっていることに、最初に気づいたのは?

2016年にはこの意識の高まりを感じていた。適切なコンテンツと言葉とは何か、ということについてのガイドラインが厳しくなったように思う。私たちが協働するデマンドパートナーの厳しい取り締まりによって、深刻な状況になっている。アドエクスチェンジやブランドは単に、コンテンツに含まれる繊細なテーマに対して以前よりも過敏に反応しすぎてしまっているように感じている。

――編集における、あなたのポジションは?

私たちは女性向けの大きなコンテンツサイトだ。また、コスモ(Cosmo)、グラマー(Glamour)、ウーマンズ・ヘルス(Women’s Health)、バッスル(Bustle)、そしてリファイナリー29(Refinery29)などのサイトで見るような、人間関係に関するコンテンツも多く掲載している。性的なコンテンツは全体の10%以下だが、現在は、そのカテゴリに分類される記事は2%ほどだ。いま私たちは、事実上、性的なコンテンツをターゲティングに使えない状態だ。つまり、そのようなコンテンツからマネタイズする手段がまったくないのだ。

――フラグされる禁止ワードは?

以前は、「ファック」のような明らかなもの、「ブロージョブ」のようなオーラルセックスを連想させる言葉など、誰もがそうだとわかる言葉が対象だった。現在は、「ペニス」「ヴァギナ」「クリトリス」「オーガズム」といった医学用語、さらには、「ダム」や「クラップ」のような、汚いが子供の前でも使われることのある言葉も含まれている。

――そのプロセスは?

エクスチェンジにもよるが、そのコンテンツをターゲットから外すように、という旨の通知が来る。そうした通知がGoogleから来ることはほとんどない。そのほかのエクスチェンジでは、つい先日掲載した広告をターゲットから外して欲しい、というeメールが届くこともある。

――こうしたコンテンツをすべてやめると決断した理由は?

これは、どれだけ効率的にマネタイズできるか、という問題だ。私たちは、収益をページ単位で注視している。もしターゲティングを行うことができないならば、マネタイズの観点からはそのページを掲載し続ける価値がなくなってしまう可能性がある。これは、編集上の決断において相当大きな影響を及ぼすことになる。もっと話し合うべきことは、(コンテンツが)不愉快なものであるべきではない、ということなのではないかと思う。女性の健康に関する記事で、「ヴァギナ」という言葉が使えないのはなぜなのだろうか?

――こうした動きに合わせて編集を変えざるを得なくなったことで変化は?

利益率を高める手段を使えない、というのは非常に残念だ。私たちはエクスチェンジには大きな恩恵を受けていて、収益のほとんどすべてがそこからのものだ。つまりこれは、私たちのブランドが大きく変わったことを意味していて、非常に難しい状況だ。私たちは月に約5万ドル(約562万円)の予算を投じて、何百万人ものオーディエンスを築いてきた。誠実であることが功を奏した面も多く、感情的な繋がりを築くことができた。進んできた道は正しかったと思う。だが、いま私たちが直面している状況では、その誠実さや真正さを少しトーンダウンする必要に迫られている。私たちのWebサイトは本当にたくさんのコンテンツがあり、収益を上げるという観点で、ほかのサイトとの差別化において大きな力になっている。ブランドセーフティの問題によって、競争が激しくなっているのだ。

――読者はそれに気づいているか?

もちろん、「あの話題に関するコンテンツが大好きだった」というようなフィードバックはあった。ライターがもっと自由に書けていた当時は、エンゲージメントは格段に高かった。

――読者にすべてを知らせるか、またはビジネスモデルを根本から変えることを考えたか?

そうだ。プログラマティックを使い続けるか、または原点回帰するかどうかは、私たちにとって大きな焦点となるだろう。読者に直接影響があることで唯一できることとして、もちろん定期購読のモデルを検討しているし、eコマースもビジネスに加えた。大規模なパブリッシャーでない限りは、プログラマティックに依存するのは良い道ではないことは明らかになってきている。それをマネタイズのモデルにしているようなパブリッシャーでは、ワクワクと心が踊るようなことはないだろう。

Lucia Moses(原文 / 訳:Conyac