Facebook動画、エンゲージメント狙うなら「シリーズ化」:WATCHタブに幸先の良い兆候

人々は単発の動画よりも、シリーズもののプログラムを好んで見ることを、パブリッシャーたちは認めている。このことは、まるでテレビのように機能する、Facebookの新しい「Watch」タブにとって幸先が良い。

たとえば、マッシャブル(Mashable)の有名な映画シーンに注目する番組「アートオブザシーン(Art Of The Scene)」のエピソードは、10分かそれ以上。マッシャブルによると、Facebook上で同シリーズは、同社のシリーズものではない単発動画の平均視聴時間の2倍を達成しているという。マッシャブルが手がける、ほかの3つのシリーズ「シャープサイエンス(Sharp Science)」「バッドデイズ(Bad Days)」「スカムアロット(Scamalot)」の平均視聴時間も、同社の単発動画より2〜3倍長い。

これらの数値から、マッシャブルは単発の動画について、テーマ別にプレイリストを作成するようにしている。たとえば、人々の生活に役立つテクノロジーやサービスに関する動画は、現在では「オペレートユアセルフ(Operate Yourself)」というプレイリストでグループ化されている。マッシャブル・スタジオ(Mashable Studios)のプレジデントを務めるエリック・コーシュ氏は、Facebook用に毎日制作しているショートクリップでいっぱいになったテーマ別のプレイリストを、もっと作成していく予定だと語った。

連載で高エンゲージメント

また、ニュースパブリッシャーのAttnは、アメリカの政策を他国のそれと比較した月1回の動画シリーズ「アメリカバーサス(America Versus)」でも同様の結果を得ている。「アメリカバーサス」の視聴回数とシェアは、同社の単発のFacebook動画に対して平均して30倍だと同社はいう。

「アメリカバーサスを月1で配信するようになってから1年以上。我々は大きなリターンを得ている。Facebookでシリーズ化された番組制作は成功しているし、これからも上手くいくと信じることができる」と、Attnの共同設立者、マシュー・セガール氏は述べている。

シリーズものの番組制作は、Facebookの最大の課題のひとつである、人々がFacebook上で時間を費やす時間が短くなっているという問題への解答になるかもしれない。特に若者はインスタグラムとSnapchatにより長い時間を費やしており、Facebookはライブ動画やWatchなどの製品を導入して、より長尺の動画を提供している。チューブラー・ラボ(Tubular Labs)によると、Facebookライブ動画の平均視聴時間は投稿動画の3倍になるという。

パブリッシャーのなかには、シリーズ化された複数のエピソードから構成される番組制作によってFacebookのエンゲージメントが上昇すると、主張しているところもある。

若年層へのリーチも実証

タブ・メディア(Tab Media)が運営する女性に焦点をあてたメディア、ベイブ(Babe)のアニメーション動画シリーズ「イズイットジャストミー?(Is It Just Me?)」は、複数の登場人物がテキスト形式でトークを繰り広げる番組だ。この番組の平均的なエピソードは、ベイブの単発動画の平均エンゲージメント数の8倍、12万9000エンゲージメント(いいね、コメント、シェアする)以上を獲得している。さらに、Facebookにおける同番組視聴者の60%は、最初のシーズンでは30秒以上継続視聴していた(「イズイットジャストミー?」のエピソードは1〜2分の長さ)。

タブ・メディアの編集長ジョシ・ハーマン氏は、ベイブはいくつかのエピソードからなる動画シリーズに注力しており、うまくいっていると述べる。これまでの2週間、ベイブファン1000人当たりのエンゲージメント数は、バッスル(Bustle)、リファイナリー29(Refinery29)、コスモポリタン(Cosmopolitan)、グラマー(Glamour)、ティーンヴォーグ(Teen Vogue)、セブンティーン(Seventeen)を含む、11の競合を合わせた平均エンゲージメント数の10倍以上になるという(この記事で引用されているベイブのデータはすべて、タブ・メディアによりFacebookのAPIから引き出されたもの)。

「ベイブは、基本的に1回限りのバイラル形式ではなく、シリーズ形式のオリジナル動画を制作しているだけだ」と、ハーマン氏は述べる。「インスタグラムとSnapchatに参入しなければ、特に若いユーザーにエンゲージすることはできないというのが、この業界の出した答えだ。だが、我々のデータは、Facebookでも驚くほどのエンゲージメント数を獲得することが、まだ可能であることを示している」。

動画の次の大きな試みとして複数のエピソードシリーズに賭けるFacebookにとって、これは最良のシナリオだ。Watchは最近Facebookに導入された機能であり、メディア企業や動画制作者の動画シリーズを呼び物にしている。Facebookはこちらの番組制作の一部に資金提供しており、そこにはAttn、マッシャブルが制作する、それぞれ2つの番組が含まれている。

新しい行動を生めるか?

Watchが成功するという保証はまだない。Facebookユーザーは、ニュースフィード上で自動再生の無音動画を見ることに慣れてきた可能性がある。そして、彼らはYouTubeで動画を見るときのように、Facebookで積極的に動画を見に行こうという明確な意思はない。シリーズ化された番組制作は、ニュースフィード上の動画シリーズへのエンゲージメント数や視聴時間を押し上げるかもしれない。だが、「アメリカバーサス」やそのほかのシリーズの新しいエピソードを見る目的で、Facebookにログインするようになるとは必ずしもいえない。多くの場合、彼らは前回のエピソードを見て楽しんだことを覚えており、新しいエピソードをはじめから終わりまで見る可能性は高いと、セーガル氏はいう。

しかし、現在その兆しが認められているようにFacebookユーザーが、いくつかのエピソードで構成される動画番組をさらに長い時間喜んで視聴するようになるなら、人々が積極的に動画を見に行っているそのプラットフォームで、ユーザーの新しい行動パターンを生み出すチャンスがあることが示唆される。

「ニュースフィードはシリーズという意味ではなく、個々のコンテンツ単位で大成功をしているビジネスだ。その環境では、番組に対するロイヤルティを生み出すのは難しいが、FacebookはWatchでそれをやり遂げることができると思う。だからこそ、彼らはこうしたさまざまな経験を提供しているのだ」と、コーシュ氏は述べた。

Sahil Patel(原文 / 訳:Conyac)