健康サイト「ベリーウェル」が創刊1年目に学んだこと:バーティカルメディア戦略の最前線

ドットダッシュ(Dotdash)――当時はアバウトドットコム(About.com)と呼ばれていた――は、バーティカルごとのブランド分割を決定したときから、「健康」からはじめる必要があることを知っていた。「もっとも大きくてもっとも難しく、もっとも重要なものからはじめる必要があることはわかっていた」と、ドットダッシュの最高経営責任者(CEO)ニール・ボーゲル氏は語った。

ドットダッシュが最初に分離することにした「ベリーウェル(Verywell)」は、ローンチから1年と少し経った現在、調査企業コムスコア(comScore)によると、月に800万人の読者を集めている。デイリー・バーン(Daily Burn)とクリーブランド・クリニック(Cleveland Clinic)からのトラフィックを含めて、ベリーウェルのマルチプラットフォームの合計オーディエンス数は、コムスコアの健康情報カテゴリーでは第8位。MSNヘルス(MSN Health)とほぼ互角だが、ウェブMDヘルス(WebMD Health、7400万)やエブリデイ・ヘルス(Everyday Health、4200万)のような、この市場の長年のリーダーにはまだ大きく後れを取っている。

しかし、より重要なのは、メディアバイヤーから見て、ベリーウェルが依然として賢明な選択である点だ。「喜ばしい変化だったと思う」と語ったのは、ピュブリシス・ヘルス・メディア(Publicis Health Media)でメディア担当シニアバイスプレジデントを務めるグレッグ・レイリー氏だ。「賢明で戦略的な一手だった。(中略)パフォーマンスの点で現状にはとても満足している」。

ロイヤルユーザー

健康情報に注力しているサイトはどこもそうだと思われているように、ベリーウェルはまだ検索に依存しており、トラフィック解析サービスのシミラーウェブ(SimilarWeb)によれば、デスクトップからの月間トラフィックは70%が検索結果からのものだ。

それでも、ドットダッシュのCEOであるニール・ボーゲル氏による新ブランドへの賭けは、その成果が現れてきているようで、ベリーウェルは自らの意思でサイトにやってくる読者の割合が増えてきている。同氏によると、現在、ベリーウェルは15%がダイレクトトラフィックで、サイトがアバウト・ヘルス(About Health)だった当時の8%からすると2倍近くになっているという。

「ブックマークされるようになってきているということだ。もう一度訪問すべきサイトだという理解が広がっている」と同氏は語った。

ユーザー体験

健康のような、きちんと理解すべき情報がたくさんあるカテゴリーでは、最前線のあらゆることを全員に提供したくなりがちだ。しかし、ベリーウェルは、ページを意図的に簡素化し、広告を減らして読みやすい表示にした。

「ユーザー体験の向上に積極的に取り組んでいる」とレイリー氏は言う。

検索主導のパブリッシャーの場合、コンテンツを絶えず更新するインセンティブが常にあるわけではない。しかし、ボーゲル氏は、新しい、それもヘルスケアに焦点を置いたブランドということで、コンテンツは可能な限り最新のものにする必要があると判断した。ベリーウェルは、この1年間でサイトのコンテンツをすべて刷新し、新しく生まれ変わった。それにより、ベリーウェルはコンテンツの平均寿命が3年間から1年未満に縮まったという。

Facebook

Facebookの参照トラフィック頼みで命脈を保っているバーティカルパブリッシャーも多い。だが、ベリーウェルはその恩恵にあずかっていない。「当サイトの記事は、フィードに流れてくるようなものではない」と、ボーゲル氏は述べる。

「ベリーウェルのコンテンツは半数近くがある症状に的を絞ったもので、2型糖尿病や胃がんといった特定の病気に関心のある人にのみ価値を持つ記事なのだ」。

かといって、ベリーウェルはFacebookからのトラフィックを諦めたわけではない。ベリーウェルは特定の症状をテーマとするFacebookグループに、その症状に関連する記事を供給している。ファン数が20万人を超えるStay Calm MomやVerywell Fedのようなベリーウェルが自ら作ったグループもあれば、以前から存在しているグループもある。そうしたグループを、トラフィックの増大やベリーウェルのブランド認知の向上に活用している。

インフルエンサー

ボーゲル氏は今年、「Digiday+」の登録者たちとの対話の場で、ドットダッシュがオーディエンスを増やすため、ナタリー・ウーリン氏のようなフィットネスの権威など、インフルエンサーを試しに使ってみたことを明らかにした。

しかし、インフルエンサーではうまくいかなかった。「うちの規模を考えれば、実際に影響を与え、トラフィックを動かすような人はこの分野で見つからなかった」とボーゲル氏。健康中心のパブリッシャーの場合、サイトの執筆者たち――大多数が医者かナース――が十分に権威なのだという。

Max Willens (原文 / 訳:ガリレオ)