新興ニュースサイト「フュージョン」のグロースハック術:1年でユーザー数が2倍以上の伸び

ミレニアル世代向けニュースサイト「フュージョン(Fusion)」は、大魚がひしめく池のなかで、まだ小魚のような存在だ。

しかし、ユニビジョン所有(アメリカのスペイン語テレビネットワーク)のデジタルパブリッシャーであり、テレビチャンネルも所有する同社は、自身の基盤を構築しつつある。インターネット調査企業コムスコア(comScore)によると、「フュージョン」のオーディエンス数は1年間で2倍以上となり、2016年7月には1150万人に達した。成長の要因は主にモバイルで、昨年比で155%伸びている。一方、デスクトップの成長率は31%であった。

成人のなかでも、とりわけミレニアル世代がニュースを読む場合、彼らが手に取るのはスマートフォンであり、ソーシャルメディアだ。それゆえ、モバイル上で「フュージョン」のオーディエンス数が伸びているのは当然だと話すのは、コムスコアのマーケティングインサイト部門のシニアアナリスト、アダム・レラ氏だ。

「フュージョン」はオーディエンス数の増加について、その大部分がオーガニックによるものだと主張しているが、具体的な内容については明言を避けている。

より認知度の高いミレニアル向けパブリッシャーと比較すれば、「フュージョン」のオーディエンス数はまだ小規模だ。参考例をあげると、「Buzzfeed」のユニークビジター数は7200万人、「Vice.com」は3370万人、「ミック(Mic)」は1910万人となっている。

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「フュージョン」のデジタルプラットフォーム上での成長(100万単位) 情報元:コムスコア

エッジの効いたコンテンツ

2013年にローンチした「フュージョン」はもともと、ヒスパニック系の若者をターゲットにしたテレビチャンネルだった。そこからすべてのミレニアル世代へとターゲットオーディエンスを広げ、2015年には新たにWebサイトを立ち上げた。しかし、こうした変革によって、同メディアはそのコンテンツ内容よりも、組織内の編集者のリクルートに注目を集めるようになってしまった。

アレキス・マドリガル編集長は、「フュージョン」は人種や社会問題、人権問題、個性について、そしてLGBTQ(セクシャルマイノリティ)に焦点を当て、メディアとしての論調を磨いてきたと話す。その例が「カンザスのおばあちゃんが人種差別主義的な手紙を受けとる」や「リオオリンピックにおける性差別」といった記事だ。「我々は、サブカルチャーに関するストーリーを経緯と理解をもって伝える方法を見出した」と、かつてニュースサイト「アトランティック(The Atlantic)」で働いていたマドリガル氏は語った。

また、動画の配信本数も積極的に増やしてきた。特にFacebook上での配信を増やしており、クロスプラットフォームの動画アナリティクスサービスであるチューブラー・ラボ(Tubular Labs)によると、同メディアはFacebook動画において8010万回の視聴回数を記録し、前年度の同月と比較すると7700万回の増加になった。

長短織り交ぜた動画戦略

「フュージョン」が作る動画は1日あたりおよそ10本。なかには31万4000回の視聴回数を獲得した1時間ほどのドキュメンタリー「プリズン・キッズ」もあれば、もっともも人気の高い動画のひとつで2700万視聴回数を獲得した「人種、そして恐怖の意図」のような短いニュースクリップもある。さらに、動画には専属の人気レポーターが登場する。

動画はWeb向けに作成されたものだが結果的にテレビチャンネルに使われることもよくあり、その逆も然りだ。デジタルオペレーション部門のバイスプレジデント、ジガル・メータ氏は「我々はインスタグラムからテレビまで、さまざまな場所に適応するコンテンツを考えなければならない」と話す。

たとえば、「セックス・ライト・ナウ(Sex.Right.Now,)」というデジタル動画集は、アダルトグッズや「海藻が寝室で発揮するパワー」といったトピックを探求するシリーズだ。この動画はデジタルプロデューサーのクレオ・スティラー氏が中心となり、30分のテレビ番組向けに制作された。

さらに、フュージョンはデジタルからテレビというアプローチを風刺報道機関のジ・オニオン(The Onion)、オンライマガジンのザ・ルート(The Root)、そしてゴーカー・メディア(Gawker Media)でも採用していく方針だという。この3社は最近ユニビジョンが買収した企業だ。

多様な文化をもったオーディエンス

フュージョンはまだ小さな企業だが、多様な文化をもったオーディエンスがライバルパブリッシャーとの違いを生んでいる。「これは当社独自のものだ」と話すのは同社のエグゼクティブ・バイスプレジデントであり、ホライゾン・メディアでマネージングパートナーを務めるサラ・ベーハー氏。

しかし、ミレニアル世代にリーチするのはむずかしく、オーディエンスがメディアにエンゲージしていることを証明していかなければならないとベーハー氏は話した。「『フュージョン』はオーディエンスとの関係は作っているが、いかにして自らを表現していくかという点が今後の課題だ」。

Jemma Brackebush(原文 / 訳:Conyac