eコマース連携、パブリッシャーが見出した 3つの活路

10月下旬、「ニューヨークタイムズ(The New York Times:NYT)」がガジェット系ニュースサイトの「ワイヤカッター(The Wirecutter)」とその姉妹サイトの「スイートホーム(The Sweethome)」を3000万米ドル(約31億円)超で買収したと発表した。「グレイレディ」の異名をもつNYTは、この取引で新たな収入源を獲得し、また自社にとって初となるアフィリエイトマーケティングの手段を手にしたことになる。

ただ、このような動きに出たパブリッシャーはNYTが先駆けというわけではない。ここ数年、パブリッシャーは自社ページやサイトで商品を推奨し、購買につながった際に何らかの恩恵を受けられるよう働きかけてきた。「ニューヨークマガジン(New York magazine)」のショップ-A-マティック(Shop-A-Matic)やショップボーグ(Shop Vogue)のように、とん挫した企画も数々あったが、新しいものもまた絶え間なく飛び出している。この2カ月でスタイルドットコム(Style.com)はコマース部門を再ローンチし、また「ニューヨークマガジン」も商品紹介サイトの「ストラテジスト(The Strategist)」を発表した。

しかし、現代のパブリッシャーは、ただ実験的にeコマースをはじめているわけではない。数々のeコマース事例は洗練されてきている。ここではパブリッシャーがいかにeコマースを本格的なビジネスとしているか、3つの手法を紹介する。

ロイヤリティを支払う

2年前、B2BとB2Cブランド向けのパブリッシャーである「パーチ(Purch)」はその収益の半分以上をeコマースから得ており、時代をけん引する存在だった。しかし、同メディアは自社が検索トラフィックに頼りすぎているため、より多くの人をサイトに呼び戻す方法を模索する必要があると考えた。

そこで、「パーチ」は「パークス(Perks)」というロイヤリティサイトを立ち上げた。これは同社が買収したアクティブジャンキー(Active Junkie)を模したものだ。「パークス」を「パーチ」に合わせた外観や雰囲気にカスタマイズし、その場で買い物をした顧客には現金還元するというロイヤリティプログラムを実践している。

「パークス」の運営開始からわずか1カ月しかたっていないが、デイリーユーザーの数はアクティブジャンキーと同数になっている。「1回に5ドル安くするくらいなら、3ドル引きを3回やるほうがいい」というのはパーチのシニアバイスプレジデントにしてショッパーサービスのゼネラルマネジャーを務めるフィル・バレット(Phil Barrett)氏。「損して信頼をとれ、そうすれば報われる、ということだ」。

読者との関係構築

ほとんどの場合、eコマースで儲けようとするパブリッシャーはアフィリエイトマーケティングに頼っている。

現在、その例外といえるのが「フード52(Food52)」だ。収益の3分の2は実際の商品販売によるもので、その内容はキッチン小物からイベントチケットまで幅広い。そしてCOOのブリジット・ウィリアムズ氏によると、売上につなげるカギになっているのはコミュニティを育てることだという。それは、数あるコンテンツの内容が読者レシピ、または読者のニーズへのレスポンスのいずれかになっており、読者の商品に関する疑問やレシピの質問へのホットラインということだ。

商品にも同様の戦略が使われている。同社が販売する商品の3分の1は限定販売商品で、サイト上で売り出す前に、製品の色を何色にすればよいか、といった内容の読者投票を行っている。「コマースが成功するためにはPOV(ポイントオブビュー、主観)やコミュニティ、また信ぴょう性を併せもつ必要がある」とウィリアムス氏。

エバーグリーンコンテンツを再利用する

新たな収益化戦略が生まれれば、新たな道具も必要になる。「リファイナリー29(Refinery29)」や「タイム(Time Inc.)」をはじめ多くのパブリッシャーとアフィリエイトマーケティングで提携する、スキムリンクス(Skimlinks)の共同創設者アリシア・ナバロ氏は、大手パブリッシャーが繰り返し何度も使えるものに戻ってきていると見る。新製品を紹介するコンテンツページに対して、溢れるほどアフィリエイトリンクをつけて成功した場合、そのパブリッシャーは同じコンテンツページの紹介製品の部分だけを読者向けに入れ替えて再掲載すれば、より多くの収入を得ることができる。

「ひとつのコンテンツがもつ生涯価値を大いに高めることができる」とナバロ氏は語った。

Max Willens(原文 / 訳:Conyac
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