「僕らはまるで、モンスターのように思われている」:とある媒体社のプログラマティック幹部の告白

巨大メディア組織が常に頭を悩ますのが、部門ごとの方向性を一致させることだろう。

業界人に匿名で本音を語ってもらう「告白」シリーズ。今回はレガシーメディアに勤めるプログラマティック広告の専門家に話を聞いた。この情報提供者の会社では、直販部門とプログラマティック広告部門が衝突することが多いという。営業担当はアドテクノロジーを理解しておらず、プログラマティック広告が自分たちの収益を食い荒らす存在だと感じているらしい。

情報提供者との会話の一部をお伝えしよう。なお、発言の意図を明確にするため、一部に若干の編集を加えている。

――直販部門への不満はあるだろうか?

うちの直販チームは、我々のプログラマティック広告販売について、おおっぴらにしないで欲しいらしい。直販営業担当は、「あなたたちはプログラマティックをCPM2ドルで売っているが、こっちはCPM10ドルで売ろうとしてるんだ。これじゃあうちから直接買ってくれるエージェンシーなんかいなくなる」と言っている。僕らはまるでお金をかすめ取るブギーマン(伝説上の、若しくは民間伝承における幽霊に類似した怪物)扱いだ。当社が広告インベントリーをオープンエクスチェンジで安い価格で販売していることを、エージェンシーに知られたくないらしい。

――営業担当にそう思わせているということは、広告バイヤーの交渉戦術の一貫なのでは?

プログラマティック広告は直販の収益を奪い尽くす存在ではないことを知ってもらう必要がある。だが我々の会社は10以上のWebサイトと、複数の州に拠点を抱えており、全員に周知するのは難しい。

――直販チームがプログラマティック広告を脅威に感じているのはなぜだろうか?

プログラマティック広告への知識の欠如だ。プログラマティック広告は広告インベントリーを購入するひとつの手段にすぎず、唯一絶対の戦略ではないのだから。

――直販の人間がプログラマティック広告戦略を誤解している例にどのようなものがあるだろうか?

CPM1ドルで直販している営業担当がいた。当社がオープンエクスチェンジでインベントリーを安く売っているのに気づいたかららしい。価格がどうであろうと、契約は契約だという考えのようだ。アドテクノロジーの仕組みについてもっと知ってもらう必要がある。

――どういうことだろうか?

直販担当のなかにはアドテクノロジーについて知らない人が大勢いる。紙媒体やテレビで広告を販売してきた人たちだから、インプレッションの低いものがプログラマティック広告にまわされているのが分からないんだ。

――プログラマティック広告に携わる人たちは売れ残り(レムナント)インベントリーを担当するのは避けたがっていると思っていた。

プログラマティック広告の優先順位はメディア企業によって違う。いずれにしても、最底辺のインプレッションはいつも私の担当だよ。うちの会社は大したことのないインベントリーのためにプライベートマーケットプレイス(PMP)を作ったり直販したりは考えていない。

――どういったものを直販すべきだと思うか?

うちの会社は価値の高いインベントリーを直販していて、そのなかでサイトのテイクオーバー広告などの特別契約もおこなっている。これはオープンエクスチェンジではできない。本来は売れ残りにプログラマティック広告を使うのが理想的だ。だが僕の会社では、直販は価値の高いインベントリーの半分も売っていない。だからオープンエクスチェンジマーケットにインベントリーがあふれて、広告レートが低くなってしまっている。

――直販部門とプログラマティック広告部門の溝を埋めるにはどうすれば良いだろうか?

直販部門の営業担当に、選択肢のひとつとして、PMPについて説明している。営業先のエージェンシーにプログラマティック広告の購入を検討していると言われたときに、営業担当はうちの会社のPMP商品について説明でき、かつ立ち上げをサポートできるだけの知識を持っている必要がある。

――オープンエクスチェンジのほうがインベントリーが安い、とバイヤーに指摘されたときは、直販の営業担当はどう返答すれば良いだろうか?

30秒の閲覧時間で8割のビューアビリティ(可視性)が欲しいなら、CPMは最低でも10ドルかかることをバイヤーに示すべきだろう。PMP上で良い広告プレースメントを得るためには、CPMは6~7ドルになる。もし1~2ドルのインベントリーが欲しいならオープンエクスチェンジで購入できること、そして興味を持っていただいて嬉しいが、表示されるのは300×250ピクセルでサイトの下部に表示される広告になることをバイヤーに伝える必要がある。

ROSS BENES(原文 / 訳:SI Japan)