ヘッダー入札の現状:パブリッシャー向けの要点まとめ

ヘッダー入札は当初、短期目標を達成するためのテクニックとして生み出された。ウォーターフォールプロセスの非効率性を回避するために導入されたのだが、いまではパブリッシャーの今後の収益モデルを左右する、大きな切り札として見られている。

クライアントサイドかサーバーサイドかを問わず、ヘッダー入札の導入を検討しているパブリッシャーは多い。ページの読み込み遅延を恐れてヘッダー入札に二の足を踏んでいるパブリッシャーにとっては、サーバーサイドでの入札がスケールを獲得するひとつの手立てとなっている。これならば、ページ読み込み時間に関するリスクも回避できるからだ。少なくとも理論上はそうなる。

パブリッシャーにとって、ヘッダー入札に関する現況は、以下のようになっている。

知っておくべき重要なポイント

  • ヘッダー入札は、パブリッシャーのオークションに、より透明性をもたらし、パブリッシャーは技術スタックに対するコントロールを、より得ることができる。
  • サーバーサイドの入札は、クライアント側で行われる入札と原理上は同じであるが、オークションの負担をパブリッシャーのブラウザ/ヘッダーからサードパーティのサーバーへと移行してくれる。
  • ヘッダー入札(サーバーサイドを含む)は、より広範なゴールを達成するためのツールともなっている。それは統合されたオークションの達成だ。これによってダイレクトデマンドとオークションベースのデマンドのあいだの競争が、より上手く行われる。
  • ヘッダー入札の主要な欠点は、ページの遅延問題だ。パートナーが取り入れるデマンドが一定を越えると、ページ読み込みの遅延問題を引き起こす。
  • ヘッダー入札の台頭以来、Googleはダイナミックアロケーション(Dynamic Allocation)におけるエクスチェンジ入札を導入してきた。これを試験的に運用しているパブリッシャーもいる。
  • パブリッシャーたちは、サーバー側での入札を用いてより多くのデマンドパートナーを取り込むことができる。これによって遅延問題のリスクをもたずにすむ。しかし、ユーザーマッチングはまだ完璧なものにはなっていない点が欠点だ。

重要な数字

  • eマーケター(eMarketer)によると、2018年までにアメリカでプログラマティック広告に使われる費用は379億ドル(約4兆1000億円)に達成する。
  • 英国におけるデジタル広告の費用は2016年に103億ポンド(約1兆4600億円)まで増加した。このうち27.1億ポンド(約3800億円)はプログラマティックに取引が行われたものである(PWC報告/インターネット広告局)。
  • アップネクサス(AppNexus)によると、アメリカのパブリッシャーの70%以上が現在ヘッダー入札を利用している。
  • テレグラフ(The Telegraph)は、去年に比べて今年の収益が70%増加している原因をヘッダー入札にある、としている。
  • 6つのテックパートナーがFacebookのオーディエンスネットワーク(Audience Network)をヘッダー入札目的に取り込んでいる。
  • ソフトウェア企業パブマティック(PubMatic)のネットワークにおいて、去年と比べて今年の最初の3カ月はモバイルヘッダー入札のeCPMが55%も成長を見せた。

パブリッシャー側の考え

ヘッダー入札は依然として、熱い話題だ。しかし、ある一定数のデマンドパートナーを越えるとページ読み込み速度を遅くしてしまうため、万能薬とはいえない。それはまたサーバーサイドの入札がより多い取引を獲得している理由にもなっている。このことから、将来はハイブリッドなものが解決策として普及するだろうと予測している人もいる。ガーディアン(Guardian)のようなパブリッシャーは、完全にサーバーサイドの入札に移行しようとしている。

収益だけの問題ではなく、ヘッダー入札はパブリッシャーにデジタル取引における透明性を与えている。サーバーサイドの統合を通じて、パブリッシャーたちは複数のエクスチェンジにおける入札プロセスを直接的に見れるようになった。誰が入札に成功し失敗しているのかを正確に観察できることから、新しい種類の商材パッケージを提供することも可能になった。

バイヤー側の考え

「ヘッダー入札で在庫へのアクセスが良くなると誤解している広告主がほとんどだ。その考えは幾分か誤っている」と語るのは、インフェクシャスメディア(Infectious Media)のグローバルパートナーシップ責任者であるダン・ローデン氏だ。同氏は「ヘッダー入札が実際に広告主に提供するのは、すでに市場にいることを知っているユーザーと、知らないユーザーを把握する機会が増えたということ。こうしたデータが増えることで、広告主や彼らが活用するデマンドサイドプラットフォームは、いつ、どこで、何を、という判断をするためのアルゴリズムをさらに賢くすることができる」という。

Jessica Schiffer (原文 / 訳:塚本 紺)
Photo by Rafael Matsunaga(CreativeCommons)