あえてタブーに切り込む、英ハフポス 動画チームの挑戦

「ハフィントン・ポスト(Huffington Post)英国版」の7人からなる動画チームは、オリジナル動画の制作本数を増やす取り組みを続けており、その一環として11月、男性のメンタルヘルスをテーマにした特集シリーズをはじめた。

「現代の男性を作る(Building Modern Men)」と題されたこのプロジェクトは、動画ブログや連続もののオリジナル動画、記事で構成され、「ハフィントン・ポスト」ならではの動きとして、テニスの4大国際大会のひとつ、ウィンブルドン選手権の2016年チャンピオンであるアンディ・マレー氏をゲスト編集者に招いている。「現代の男性を作る」プロジェクトは昨年からはじまったシリーズで、そのときは主に、若い男性向けのカルチャーや父親になるための資格などを取り上げた記事を掲載した。これまでに5本のオリジナル動画が撮影されたが、今後はさらに本数を増やし、そのうちの何本かはニュースで取り上げた出来事に対する反応を扱った内容になるという。

ハフィントン・ポストの編集長、ステファン・ハル氏は「このプロジェクトで特に野心的な点は、作られる動画の本数と扱うテーマ、そして外部から招いた支援者にある」と話す。

タブーを意欲的にコンテンツ化

最初に作られた動画「男も泣いている(Boys Do Cry)」では、俳優のマッヅ・ミケルセン氏、政治家のアリステア・キャンベル氏やチュカ・アマナ氏、コラムニストのオーウェン・ジョーンズ氏などの男性有名人に、最後に泣いたときのことを尋ねている。ハル氏は、「男性が泣くことは、もっともタブー視されることだ」とも述べる。

 

男性有名人というテーマに沿って、サッカー選手たちが親友を前に、自分たちの友情について話をするオリジナル動画も公開している。そのうちの4本は、長さが2~5分ほどで、1カ月のあいだに一定の間隔をあけながらライブ配信されるという。国際男性デーにあたる11月19日には、男性のメンタルヘルスに関する調査結果と連動して、グラフ主体の動画も流す予定だ。

「ハフィントン・ポスト」はサイト上でライブ配信を行う動画ブログも制作していて、Facebookやインスタグラムには短縮版の予告編を投稿。ハル氏は、「これがリファラーをもたらしてくれないことはわかっている。分散型モデルは、さまざまな場所でストーリーが語られることが重要なのだ」と述べ、たとえば、自殺を図ったが生き残った男の、その後の人生がどう変わったかを語るストーリーが動画ブログで公開されている。

こうしたストーリーは扱いが難しい話題だが、「ハフィントン・ポスト」は不幸なニュースや危機的な自殺の実態だけを取り上げて伝えているわけではない。むしろ、前向きで、気持ちが高揚するようなコンテンツが得意分野だ。

問題提起と解決を促す視点を忘れない

「ハフィントン・ポスト英国版」サイトで一番よく読まれているコンテンツとして、「成功の秘訣(What’s Working)」がある。人々が直面した問題をどのように解決したかを紹介する内容で、「ハフィントン・ポスト」ではこれを「ソリューションベースのジャーナリズム」と呼んでいる。同メディアによると、ある慈善事業が1万1000人のホームレスを支援した話の記事や臭いをかぎ分けてガンを検知する犬の話の記事などは、訪問数が平均より70%多く、ソーシャルメディア経由のトラフィックも86%増えたという(ただし、この場合の基準値が何かは明らかにされていない)。

「問題を伝えるのが半分、その解決方法を伝えるのが残りの半分だ。パンチの効いた内容が人々にインパクトを与えるとは限らない。そこには少しのユーモアが必要だ。感情というものがインターネットにも流れている」とハル氏は語る。

「ハフィントン・ポスト英国版」のFacebookアカウントには過去6カ月間で15本の動画をアップロードしており、そのフォロワー数は約100万人、視聴回数も100万回を超えている。動画の大半はポジティブな内容だ。動画分析企業チューブラー・ラボ(Tubular Labs)のデータによると、もっとも大きな成功を収めたのは掃除機で遊ぶ犬の動画で、900万回以上視聴されているという。これは、人生の大問題に対する答えを提供してはくれないだろうが、見ていて気持ちがいいコンテンツであり、Facebookでの受けもよかったようだ。

Lucinda Southern(原文 / 訳:ガリレオ)
Images: Courtesy of the Huffington Post U.K.