Facebook動画ではマネタイズを見込めない? Apple TVに関心を寄せるメディアたち

ほかのパブリッシャーと同様、食をテーマにしたバーティカルメディア「テイスティングテーブル(Tasting Table)」は、Facebook動画で成長してきた。しかし、現在は動画オーディエンスの収益化を図っており、方針転換を計画している。同社がこの計画を推進させるならば、新たにApple TV用のアプリなど、独自運営するプラットフォームにてコンテンツ配信を行うために多額の投資が必要となる。

「我々はFacebookの動画オーディエンスを収益化できていない。Facebook自身は利益を上げているが、我々はそうではない」と、テイスティングテーブル社のCEO、ジェフ・バルタコヴィックス氏は話している。「これは、自らが所有・運営をしていないプラットフォームで、コンテンツビジネスを行うときに生じる問題である。そのプラットフォームの慈悲で、生きているようなものだからだ」。

テイスティングテーブル社は小さなパブリッシャーだ。ネット調査企業コムスコア(comScore)によると、「テイスティングテーブル」は、2016年1月に370万人のユニークユーザーにリーチしている。一方で、そのFacebookページには90万人の登録者がおり、アナリティクス企業チューブラー・ラボ(Tubular Labs)によると、同月には1360万人がこのページの動画を視聴したという。

しかし、現時点においてFacebookは、パブリッシャーが広告収入を得られる方法を提供していない。大きなパブリッシャーならば、Facebookが動画広告の提案をしてくるまで待てば良い話だが、小さなパブリッシャーは収益化できる、ほかの方法を探さなくてはならないのだ。そこで、テイスティングテーブル社は、動画の視聴や広告に対するユーザーエクスペリエンスを管理することができる、独自のプラットフォームに注力しようとしている。

動画広告が売れている

テイスティングテーブル社のCEO、ジェフ・バルタコヴィックス氏によると、2015年の2月頃までの広告収入は150万ドル(約1億7000万円)だったという。しかし、これは「テイスティングテーブル」が動画に本腰を入れていた去年の秋までの話だ。

現在では動画を中心としたコンテンツキャンペーンを多く実施していて、マスターカード、スターバックス、日用品や家具の小売チェーンクレイト&バレル(Crate & Barrel)などが顧客となっている。バルタコヴィックス氏は、2016年に入り、すでに600万ドル(約6.8億円)もの広告収入を得たと話している。

次なる狙いはApple TV

テイスティングテーブル社にとって、次の大きなステップはApple TV用のアプリだ。これは「テイスティングテーブル」のオーディエンスの88%が、Webサイト、ソーシャルメディアやメールマガジンなどでiOSを使用しているため、当然の選択だ。

また、同社のApple TV用のアプリとレストラン検索アプリ「ダイン(Dine)」をセットにすることをAppleが許可した。そのため、今後、「ダイン」をダウンロードすると自動的に「テイスティングテーブル」アプリもセットとして付いてくるようになる。

2015年の11月までは、「テイスティングテーブル」は数週間で1回か2回ほどしか動画を投稿していなかった。だが、11月以降は、毎月30本以上の動画をアップするまでに成長している。動画の内容は多岐にわたり、簡単なレシピから、少し長めの有名シェフのプロフィール動画などもある。最近ではスウェーデン人シェフのマグナス・ニルソン氏の動画を作成した。

これらの動画は「TastingTable.com」とFacebookページの両方で視聴できる。バルタコヴィックス氏によると、自社サイトにおける動画1本あたりの閲覧数は、平均して7万5000回から10万回だという。Facebookページの動画と比べると、約半分の数字だ。

より長尺の動画を作成

多くのパブリッシャーにとって、Apple TVが新たなる配信先として関心が高まっている。「皆が使いたがるため、多くの需要がある」と、パブリッシャーにアプリ製作の技術提供を行う企業JWプレイヤー(JW Player)の商品戦略部長、ジョン・ルーサー氏はコメント。「いままではAppleが許可しなかったためできたなかったが、これからはできるようになった」。

のんびりと視聴できるApple TVの特性を生かし、「テイスティングテーブル」はより長尺の動画を作成することを検討している。

「Apple TVはリビングなどにあるため、ユーザーはリラックスして、心地良い状況で利用しているはずだ」と、バルタコヴィックス氏。「もしそのような状態で動画を視聴してくれるならば、私たちが長編動画で成功する機会につながるだろう」。

Sahil Patel(原文 / 訳:BIG ROMAN)