スウェーデンの新興メディア、自社化粧品ブランドを展開:収益の4分の1をeコマースに期待

eコマースに続々と参入するパブリッシャーのなかでも、スウェーデンの新興メディア、ニュヘテル24(Nyheter24)グループは、特に熱を上げている1社だ。同社は、自社の化粧品ブランド、アーバングロス(Urban Gloss)を立ち上げている。

8月以降、アーバングロスではナイトクリームやフェイスセラムを含む6種類の化粧品を販売。価格は80スウェーデンクローナ(約1000円)から350スウェーデンクローナ(約4700円)となっている。ニュヘテル24は、この2年間eコマースに戦略的に取り組んでおり、その第一歩が化粧品だった。

現在、同社では8つのサイトを展開しており、うち若い女性をターゲットとしたモデット(Modette)とイッツガールズ(It Girls)が、美容、ファッション、ライフスタイルに関連。同社のCEO、ダニエル・ワイラー氏によると化粧品の利益率は高い。「新ブランドを立ち上げるのに、メディアとしての力を存分に活用できる。我々は合理的なメディアだが、eコマースでもマーケットで勝てる能力とトラフィックを持っている」。

インフルエンサーの影響力大

ニュヘテル24グループは、すでに美容分野のインフルエンサーと幅広いネットワークがあり、アーバングロスの立ち上げとマーケティングに大いに役立った。さらに、アーバングロスのWebサイト上に、アーバングロス・スクワッド(The #UrbanGloss Squad)という、同ブランド製品を使ったユーザーがインスタグラムに投稿できるセクションを設けてある。ワイラー氏によると、「イントゥ・ザ・グロス(Into the Gloss)」というビューティーブログから生まれた化粧品ブランドのグロッシアー(Glossier)も参考にしているようだ。

現在、ニュヘテル24の従業員数は80人。うちeコマースチームは、この2年間で2人から4人に増員した。また、アーバングロスの広告は、同社のクリエイティブスタジオが制作。同時に、広告運用と収益最適化を管理するチームが、同社のほかのコンテンツサイトから最大のコンバージョンを引き出すために動いている。

eコマースのプラットフォームはインハウスで構築しているが、決済、包装、発送はサードパーティーにアウトソーシングしている。また、化粧品の開発はスイスの研究所で行った。

アーバングロスはまだブランドの構築段階であり、ワイラー氏は売上を公開するつもりはないという。ブランドの立ち上げからわずか2日で、アーバングロスのサイトには5万人が訪れた。また同氏によれば、ニュヘテル24が同社のコンテンツサイトで広告を増やしたり、同社とつながりのある美容ブロガーが商品を好意的に紹介したところ、1日あたりの売上が5倍に達したという。ネイティブアドや、インスタグラムのインフルエンサーの投稿がもっともコンバージョンにつながるそうだ。

ワイラー氏は、来年にはeコマースの収益がニュヘテル24グループ全体の収益の25%に達するだろうと予測している。「今年は投資フェーズだ。2018年に入ればすぐに黒字化するだろう」。クリスマス商戦に備えて、同社ではサイト訪問者を分析し、サイトでの滞在時間やトラフィック元、ランディングページのコンバージョン率の影響などを見ている。

プログラマティック対策にも活用

こうして新たな収益源を得ただけでなく、同社ではデュオポリー(複占)市場のなかで苦戦するプログラマティック広告の収益確保にも、アーバングロスを利用しようとしている。プログラマティック広告のCPMの下落と、世界的なプラットフォームの有する圧倒的なリーチやデータ量、価格競争力を前に、パブリッシャーとしてプログラマティック広告の需要を維持するのは容易ではない。

「マーケットは変えられない。だが需要を引き上げるために、自社のバリューチェーンを増やすことはできる」とワイラー氏は語る。「ブランド構築を正しく行えば、充分なマージンは確保できる」。

ニュヘテル24のサイトのプログラマティックなディスプレイ広告の表示価値は、広告主の種類によりまちまちだ。ブランド広告主にとってのインプレッションの価値は、ネイティブアドやアフィリエイト広告主のそれとは異なる。そこで同社では、インプレッションが最大となる需要数とアーバングロスのインプレッション数を計算し、プログラマティック広告の価格が設定値を下回ると、アーバングロスの広告表示を増やすことで、プログラマティック広告の需要を維持しようとしている。

新ブランドをローンチ

ニュヘテル24は、第2のブランドとして、カスタマイズデザインのシャツを販売するハピチュード(Happitude)を立ち上げた。ニュヘテル24のファウンダーであるダグラス・ルース氏は以前、「eスポーツサイトのフラグバイト(Fragbite)など、同社が運営するサイトとコラボしたeコマースをもっと立ち上げられる」と述べている。

ワイラー氏は、ほかのブログやeコマースサイトのように自社以外のプラットフォームで商品を売ることを嫌っているわけではない。だが、あえてそうする必要もないと話す。「このプロジェクトはニュヘテル24グループが出資しているため、同社に利益をもたらすべきと考えている。いまは自社のチャネルだけで進めていくつもりだ」。

Lucinda Southern(原文 / 訳:SI Japan)
Image courtesy of Urban Gloss