FB投稿をシェアしあう、パブリッシャーたちの新しい関係:いまどきの読者獲得テクニック

現代のパブリッシャーは、新規読者を獲得するためなら何でもする――たとえそれが、競合サイトと手を組むことになるとしても。

ニュースサイトのデイリー・ドット(The Daily Dot)は、自社のFacebookページに他社の記事を定期的に投稿している。ここ1週間おいて、そうした投稿は40本に及んだ。同サイトは、メンタル・フロス(Mental Floss)、マキシム、ワイアードなど約35のパブリッシャーと協力している。そのうち7つのサイトは、代わりに自社のFacebookページにデイリー・ドットの記事を投稿することに同意しているという。

こうした取り組みは、「ソーシャル・シンジケーション」や「トラフィック・エクスチェンジ」などさまざまな呼び名があるが、自社の記事やブランドを新しい読者の目に触れさせようとしているパブリッシャーの間で、ますます流行しているテクニックだ。パブリッシャーは、どれほど多くのユニークユーザーを引き込めるかによって評価されるため、読者層が似通ってはいても完全に重なっているわけではないサイトと協力すれば、コンテンツのリーチを拡大する助けになる。

Facebookが普及した現在では、パブリッシャーがオーガニックな手段を通じて読者へリーチするのが、以前よりも難しくなっている。だからこそ、こうした取り組みは重要なのだ。また、パブリッシャーたちは、自社で書かなかった、あるいは書けなかった内容の他社記事を投稿することで、自分たちのソーシャル運用の不足を補えるとも述べている。つまり、読者にとっても有益といえるだろう。

領土争いの思考はもう古い

デイリー・ドットのニコラス・ホワイト最高経営責任者(CEO)は次のように説明する。「『このオーディエンスは我々が保有しており、我々だけのものだ』といった領土争いのような思考は、非常に古いメディアの考え方だ。まるで『私はウォール・ストリート・ジャーナルやニューヨーク・タイムズしか購読していない』と言っているようなものだろう。もはや適切なモデルではない」。

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ワイアードの投稿をシェアするデイリー・ドットのアカウント

デイリー・ドットだけではない。同社のパートナーの1社であるミック(Mic)はバッスル(Bustle)の記事を掲載しており、バッスルはインスタイル、リアルシンプル、ティーンヴォーグなど30のパブリッシャーと提携している。ハフィントンポストは先ごろ、自社のFacebookページに、トゥデイ・ドットコム、アップワージー(Upworthy)、ポップシュガーなどのサイトの記事を掲載した(これらのサイトは、こういった取り決めを専門に手がけるパブエクスチェンジ[PubExchange]と協力している)。

ある意味で、これは自社のサイトに他社のニュースサイトの記事を掲載するという、パブリッシャーの慣行が変化した形だ。このモデルを応用した別の例として、タイム誌は、改良版プラットフォームを使ったアプローチにより、親会社であるタイム・インク傘下のパブリッシャーやグループ外のパブリッシャーの記事をTIME.comに掲載している

いかに提携関係を構築するか?

本記事のためにインタビューしたパブリッシャーの情報筋によると、提携関係の構築プロセスは極めて非公式だという。契約を結ぶのは非常に稀で、パブリッシャーが取り決めを結びたければ、協力したい相手のパブリッシャーのソーシャルメディア責任者にメールを送るだけでいい場合がほとんどだという。大多数のサイトは、クロスポストしてほしい記事を宣伝するメールを毎週パートナーサイトに送ることになる。

こういった取り決めは、適切に行えば効果を発揮する。ホワイトCEOによると、他社のFacebookページに投稿された記事は、適切なタイミングで適切なオーディエンスからの反響があれば数百万ビューを稼げるという。先ごろハフィントンポスト・ウィメンのFacebookページに掲載されたバッスルの記事は、1800件の「いいね!」が付き、シェア数は2400件に達した。

ただし、こうした試みが常にうまくいくとは限らない。パートナーのページにクロスポストする記事は、不発に終わることもあれば、大好評を博すこともある。

パートナーが競合でも気にしない

パブリッシャーは、協力する相手を慎重に選ばなければならない。たとえば、科学からポップカルチャーやテクノロジーまで幅広い分野を取り扱うメディアサイトのメンタル・フロスは、編集長のジェイソン・イングリッシュ氏によると、同サイトの読者が気に入ると思われるトピックを中心に記事を掲載しているサイトとしか協力していないため、政治や著名人に関するサイトはお呼びでないないという。

同氏はまた、競合サイトのコンテンツを投稿するのが良くないことだとは思わないとも語る。「ほかのサイトが当社のサイトに近すぎることについては、まったく心配していない。もし期待どおりにうまくいけば、我々が取り扱うような分野の記事を喜んでくれる読者を獲得できるからだ」。

Ricardo Bilton(原文 / 訳:ガリレオ)
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