再生開始から3秒で、7割がスキップ? 「動画広告」の課題を浮き彫りにした、Snapchatの事例

「Snapchat」に動画広告を出稿する広告主たちは、「一発ギャグ」のようなクリエイティブを用意すべきである。データによると、同アプリを利用するミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭に生まれた若年層)の若いオーディエンスたちは、動画広告と認識した瞬間、スキップするのに間髪を入れないという。

瞬時に動画広告をスキップする若年層

先日、あるエージェンシーが米DIGIDAYに、「Snapchat」の動画広告がいかに成功しているかを示す資料を提供してくれた。だが、その資料を読み解くと「約70%のユーザーは3秒で動画広告をスキップしている」という側面も見えてくる。

「現在ブランド企業は、とても急で険しい坂道に差しかかっている。マーケターたちは10秒の広告枠を買ったつもりでも、最初の2秒ですべてを伝えなければ残りは見てもらえない」と、資料提供者であるエージェンシー役員は話した(以下の表は、米DIGIDAYによって再現されたものである)。

Snapchat-snapstats
4本のクリエイティブにおける、視聴者数(縦軸)と再生時間(横軸)の推移。
10秒の動画広告において、再生開始から2秒後に離脱するユーザーが多い。

しかし、これは1つの企業の見解である。クリエイティブの閲覧のされ方は、すべてのキャンペーンで異なり、いかにオーディエンスを注目させるかによって左右される。

「Snapchat」内で提供される動画広告枠は10秒間で、スキップすることが可能だ。この「動画広告をスキップできる」という点は、ユーザーにとって、「Snapchat」における最大のセールスポイントのひとつとなっている。YouTubeのプレロール広告のように、待たされる思いをしなくて済むためだ。

このように広告を即座にスキップする視聴者に、いかにして動画広告を見てもらうかという問題は、「Snapchat」に限ったものではない。それを回避するために、Twitterでは本編前に流される6秒間の広告枠を提供。逆にFacebookは、企業に対して3秒で注目を集める方法を教えている。ただし、Facebookの動画広告は音が消された状態で自動再生されるが、ユーザーはスクロールさえすれば、視聴を強制されることはない。

「『Snapchat』の視聴完了率は、広告のクリエイティブによって異なる」と、「Snapchat」の緊密なパートナーで、MTVなどを運営するバイアコムメディアネットワークの営業・マーケティング部長ジェフ・ルーカス氏は語る。「プラットフォームに適合したクリエイティブを制作するブランド企業の方が、高い視聴完了率を得られる」。

1秒以下の視聴も、カウント

より好ましい「ビューアビリティ(Viewability:表示された広告が実際に目視可能であった回数または割合)」の基準を求める企業もいるが、「Snapchat」は、いまのところすべての視聴について、広告主に広告費を請求している。たとえ、再生されたのが、わずかゼロコンマ数秒であったとしてもだ。

「広告枠を買う理由によっては、(ビューアビリティは)とても大きな懸念だ」と、デジタルエージェンシー360iの戦略・ソーシャルマーケティング部門のバイスプレジデントであるオルリ・ルウィンター氏は語った。「私たちは動画の視聴回数やクリック数よりも、視聴完了率を重要な指数として注目している。なぜならエンゲージと関心の度合いがわかるからだ」。

それに対して、「Snapchat」は自身が特別な広告商品を持っていると周囲を納得させている。「Snapchat」の動画広告は、つかみどころのない若いオーディエンスを捕まえる力を持ち、市場で目立つ商品となっているというのだ。

「Snapchat」に広告出稿するパートナー企業は、ビデオゲーム企業、飲料メーカー、映画スタジオや小売企業など。「Snapchat」は、そうした企業に対して、自身のプラットフォームに適した広告の開発に協力を惜しまない。

まず何よりも大事なものは、「Snapchat」が強調する「タテ型動画」だ。スマートフォンを垂直に構えられたとき、モニターいっぱいに広告が映し出されるようになる。また、「Snapchat」にはガイドラインがあり、企業に広告を制作するクリエイターたちを頻繁に交代させるよう推奨している。そうすることによってユーザーが何度も同じ広告を見て飽きてしまうことを防ごうとしているのだ。

3割台の視聴完了、効果は「高い」

「Snapchat」を高く評価する広告主もいる。匿名を条件に取材に応じてくれた広告主によると、広告主が出稿した動画広告の平均視聴時間は4秒で、視聴完了率は34%であったという。「Snapchat」から広告主に提供される数値に詳しい情報筋によると、「MTVビデオ・ミュージック・アワード」の「Snapchat Live Story」で出稿された動画広告の視聴完了率も28%と、同様の水準だ。一部の企業では「Snapchat」でキャンペーンを行った後、消費者のブランドへの関心が確実に増加した。

「素晴らしいクリエイターたちが考案したキャンペーンのなかでも、大手広告代理店ミルウォード・ブラウンによれば、広告を掲出しなかった企業に比べ、ブランドリフト効果(認知度・購買意欲向上を測る指標)が、50%以上も上昇した事例もある」と、情報筋は話した。この数字は、「Snapchat」で最大の成功を収めたキャンペーンの部類だが、ほかのモバイル・マーケティングが課すノルマの2倍を達成していることになる。

バイアコムのルーカス氏は、「Snapchat」でブランドの広告を売ることに問題はないと話した。バイアコムは「Snapchat」のコンテンツ配信セクション「Discover」で「コメディセントラル」チャンネルを管理しており、MTVアワードライブストーリーで「Snapchat」とタイアップを実施した経験がある。

Garett Sloane(原文 / 訳:小嶋太一郎)
Photo by DIGIDAY US