Snapchatを「速報チャンネル」に利用するスカイニュース:いかに重大ニュースへ即時対応するか?

英ニュース専門局のスカイニュース(Sky News)は1年半にわたり、Snapchat(スナップチャット)の「ディスカバー(Discover)」を、ニュース速報に柔軟に対応できる独立した記事チャンネルとして開拓してきた。2015年2月のリリース時にいち早く提携パブリッシャーになったスカイニュースのSnapchat戦略は、急速に進化している。

スカイニュースのアウトプットエディターとしてSnapchatを担当するアラン・ストレンジ氏は、「我々は、制作会議や編集会議の話し合いで、Snapchatの「ディスカバー」をテレビのニュース番組と同じように扱っている」と語る。「大きなニュースについて検討するとき、Snapchat上ではどのように見えるかを考える。Snapchatは、ニュース編集室に組み込まれたチャンネルなのだ」。

ストレンジ氏は数字を明かさなかったが、Snapchat自身によって、スカイニュースのSnapchat戦略がとりわけ先進的であることが示されている。「ディスカバー」の各パブリッシャーが1日に獲得するビュー数は通常、20万から300万の範囲だ。

「Snapchat上のスカイニュースは、英国のミレニアル世代向けとしては、最大ではないにしても最大級のニュースデスクだと言える」と、ストレンジ氏は語る。「数字の点で、スカイニュースのほかのプラットフォームに十分匹敵する」。

ニュース編集室に組み込む

テレビで伝統を築いてきたスカイニュースだが、現在はSnapchatの「ディスカバー」をメインのプラットフォームと同等に扱っている。ストレンジ氏によると、エディターたちは毎日のニュース会議で、テレビチャンネル、Webサイト、アプリと並んで、Snapchat向けの記事作りを議論するという。

スカイニュースは当初、Snapchatのコンテンツ制作に、ストレンジ氏、デザイナー、プロデューサー2人の計4人を専従させていた。その4人は引き続きチームの中核だが、いまや10人がSnapchatコンテンツの制作に専従している。特別編集版のニュースには、4人が制作にあたる体制だ。さらにストレンジ氏は、必要に応じて、コミッション(業務委託)制の記者にSnapchat専用コンテンツを依頼することもある。

ストレンジ氏は、各部門がアジェンダを並べる、午前中のありがちなリソース確保合戦を回避できている。Snapchatの場合、デザイナーたちのワークフローの順番待ちをしなくても、専属のデザイナーがいるので、コンテンツ内の画像をすぐに変更できるからだ。

それではここから、スカイニュースによるSnapchatのアプローチを具体的に見ていこう。

「身近さの価値」

スカイニュースは、オリジナルコンテンツと再利用コンテンツを組み合わせている。ストレンジ氏によると、制作するほぼすべての動画について、横長と縦長の2通りを作るよう努めているという。

紛争地域に派遣された記者たちは、Snapchat専用のコンテンツを送ってくる。彼らは、Snapchat上で伝わりやすい現地レポートを提供することができる。たとえば、外交問題担当エディターのサム・カイリー氏は、自身がシリア国境を越える印象的な映像を送ってきた。これがとりわけ好評だったと、ストレンジ氏は振り返る。

「身近さの価値だ。テレビが使うような、広く見渡す映像や、セットのたぐいは必要ない。Snapchat上では、車の映像を流し、『あの車に3分前、10人が乗っていた』という語りを添える方が、ありふれたショットを使うよりも強力だ」とストレンジ氏。「いまでは我々の主要特派員が全員、素材を送ってくる」。

Snapchatで好評なのは、政治や経済などの硬いニュースだけではない。もっと軽い、単体の動画もある。とりわけパフォーマンスがよかったのは、動物園でジャガーにつきまとわれた男性の動画だ。「ニュースではなかったが、必ずしもニュースである必要はない。未加工の動画にも適所がある」と、ストレンジ氏は話す。

いずれにせよ、スカイニュースはメインのテレビ報道と同じくらいSnapchatを真剣に扱っている。「Snapchatは、重みと深みのあるプラットフォームではないかもしれない。若者のコミュニケーションに適していて、ライフスタイルのチャンネルが常にもっとも人気が高い」と、ストレンジ氏。「しかし、我々は非常に真剣に取り組んでいる。ニュースは楽しくすることもできる。だが、我々が、人々を動揺させる重いニュースを避けることはない」。

重大事件向けの特別編集版

スカイニュースは、縦長の動画、テキスト、画像を組み合わせた記事約10本で構成されるSnapchat「ディスカバー」の通常版を制作している。しかし、1セットの通常版では、重大ニュースの際、スカイニュースが自前のチャンネルでやっているように、Snapchatの巨大なオーディエンスを引き込むには不十分だ。そこでスカイニュースは、重大ニュースがあるときは、「ディスカバー」の特別編集版を制作する。これまでのところ、パリ襲撃、ブリュッセル襲撃、デヴィッド・ボウイ死去、ヒルズボロの悲劇の評決、そして6月12日のオーランドの銃撃事件など、十数件の特別編集版が制作されている。

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「ブリュッセル襲撃:英国でもこんな光景は起こりうるのか?」

スナップの数はさまざまだ。「特集で作るコンテンツの数や、動画主体かテキスト主体かなどについて、厳格なルールは設けていない。記事が20枚のスナップに値するならそのようにする。オーランドの銃撃事件でスナップがわずか6枚だったのは、時差のためだ」と、ストレンジ氏は説明する。見出しのほかに、銃撃犯が何者か、犠牲者についてわかっていることなどの詳細がスナップになった。「オーランドについては、我々が得たすべての動画と詳細情報を配信した」。

事態の進展にあわせて、事実と数字を終日更新し続け、最新の内容にした。

ストレンジ氏によると、これまで特別編集が出たときはいつも、Snapchatのオーディエンスが増加し、最大で250%増えたこともあったという。

「ディスカバー」の特別編集版は、ほかのパブリッシャーと差別化するうえでも重要だと、ストレンジ氏は付け加えた。「特別編集版は目立つ。大きな事件が起きると、我々はSnapchatでの配信に本気で取り組んできた。ちょうど、ほかのチャンネルでやっているのと同じように」。

ページ読み込みを高速化

パブリッシャーにとっては、ページ読み込み速度が競争に影響するようになってきた。Snapchatの「ディスカバー」でも、スピードは当然重要だ。スカイニュースは1カ月前、コンテンツのデザインとフローを修正し、動画などの重いコンテンツが、スナップの最初ではなく後半に回るようにした。現在、最初の部分は軽めのスナップに確保されている。

Snapchat自体も最近、「ディスカバー」のデザインを刷新し、パブリッシャーの固定アイコンを、その日のコンテンツを反映したタイルに置き換えた。ストレンジ氏によると、確定した数字を出すにはまだ早いが、すでに違いが現れているという。

「デザイン刷新で大きく変わった」と、ストレンジ氏は語る。「以前は、各チャンネルを見つけるのが少し難しかった。いまは、記事が目を引くので、それぞれの編集版が伝えようとする内容がユーザーを呼び込んでいる」。

Jessica Davies (原文 / 訳:ガリレオ)