「動画戦略なきパブリッシャーは生き残れない」:シェアスルー プレジデントの警告

BuzzFeedからマッシャブル(Mashable)まで、パブリッシャーは動画にすべてを賭けようとしている。

ネイティブアドのプラットフォームを手がけるシェアスルー(Sharethrough)のプレジデント、パット・キーン氏は米DIGIDAYのポッドキャストのなかで、傍観を決め込むパブリッシャーは存続の危機に直面するだろうと警告している。「どのパブリッシャーも、堅実でスケーラブルな動画戦略をもたなければ、生き残れないだろう」と同氏は語った。

「高校時代に動画の撮り方を覚えて、これから優秀なビデオグラファーになると主張しているような人物を雇うのでは駄目だ」とキーン氏。「成功するには、放送局レベルの投資を頻繁に実施する必要がある」。

元Google幹部のキーン氏は、デジタルメディアパブリッシャー「リファイナリー29(Refinery29)」を引き合いに出した。リファイナリー29はすでに、売上の30%を動画からあげているという。なおキーン氏は、ベンチャー投資会社ストライプス・グループ(Stripes Group)のオペレーティングパートナーとして、リファイナリー29に出資している。

「必要なのは、意味のある投資をすることと、スケーラブルであること。この2つは不可能なことのように思える」と、キーン氏は付け加える。「動画で成功することの難しさは並大抵ではない」。

キーン氏によるポッドキャストのハイライト部分を編集し、まとめたものを以下に紹介する。

FacebookはかつてのGoogleよりも脅威

Facebookの台頭は、デジタルメディアを取り仕切る一大勢力としてのGoogleの台頭に、いくつかの点で似ている。ただし、キーン氏の見方では、おそらくFacebookのほうがパブリッシャーにとって手ごわい。というのも、Facebookは、パブリッシャーをいきなり無力にするようなやり方でアルゴリズムを変更するからだ。

「コンテンツクリエイターがFacebookに対応するパワーは、Googleの自然検索に対応するパワーよりも弱い」と、キーン氏は指摘する。「リファイナリー29のようなパブリッシャーを例に挙げよう。コンテンツのトラフィックの約半分は、Facebookからもたらされる。それは良いことのように聞こえるが、実際に状況は悪いだろう。端的に説明すると、パブリッシャーが直感的にすべてのコンテンツをFacebookだけに掲載してしまったとき、自社サイトで得られるのと同じ広告売上を達成することはできないはずだ」。

モバイルトラフィックは50%から70%に

大半のパブリッシャーは1年半前、トラフィックの約半分がモバイルからだとキーン氏に話していた。現在、この割合は最大70%に伸びている。これは、デスクトップを中心にビジネスモデルを構築しているパブリッシャーにとって、マネタイズの大きな試練となっている。

「仕事で付き合いがあるパブリッシャーの最高売上責任者(CRO)のうち、過半数はこの問題に苦戦している」と、キーン氏は明かす。「自社プラットフォーム内につぎ込まれた予算に対する売上は100%手にするが、Facebookからはわずかな割合しか得られない。これは時間が経っても変わらないと思う」。

多くのデジタルメディア企業が「1億ドルの壁」にぶつかっている

1億ドル(約100億円)の壁を越えるデジタルメディア企業はほとんどないが、それには理由がある。営業スタッフが広告出稿を受注することを前提とした従来のメディア販売モデルは、限りあるデジタルメディア予算で依然としてパフォーマンスマーケティングを志向するなか、規模を拡大するのが難しいからだ。

「1億ドルに到達するのは大きな難題だ」と、キーン氏は語る。「売上高9桁(1億ドル以上)の企業になるためには、非常に大がかりなプログラムが必要だ。それには、数カ月に渡る取り組みと、CPM(インプレッション単価)が極めて高いコンテンツが欠かせない。リファイナリー29は売上高9桁の企業だ。BuzzFeedも同じだ。Voxも多分そうだろう。ただし、そうしたパブリッシャーの数は非常に少ない。それは本当に難しいからだ」。

Brian Morrissey (原文 / 訳:ガリレオ)