セレブの死亡説、ネットユーザーを弄ぶ「いたずら者」たち

ウェブトラフィックを刺激するためのトリックは、現れては消えていくものだ。ただ、恒久的に人を惹きつけるものがあるとすれば、それはセレブリティの死亡説だろう。

インターネット上のいたずら者たちは、ここ最近のものを少し羅列するだけでも、エリザベエス女王、トニー・ホーク、マイリー・サイラスやヒュー・ヘフナーを「殺して」しまった。そして、ゴシップの真偽を判定するサイト「ゴシップ・コップ (Gossip Cop)」で、その虚偽を暴かれている。またいくつかの記事は、ウェブ企業家のリッチ・フーバーが冗談ではじめたという、偽ニュースの見出しジェネレーターサイト「グローバル・アソシエイテッド・ニュース(Global Associated News)」でトラフィックのピークを記録した。

それ以来、模倣者たちもセレブレティの死亡説がアクセスを伸ばす確かな手段だと気づき、広告で収益を得ている。こうした作り話はある共通のパターンをもつ。話の多くはMsmbc.coやNbctoday.coといった信憑性の高そうな名前のサイトが出どころとなり、ファンがその早すぎる死にショックを受けるであろう、若くて有名なセレブリティが取りあげられることが多い。結果としてトラフィックが急激にそのサイトに集中し、プログラムコードによって生成された広告の料金が支払われるのだ。

死亡説が流布する背景

「ゴシップ・コップ」の創設者であるマイケル・ルーウィッツ氏によると、1週間で2〜3本の死亡説を発見したこともあるという。「おそらく、エディ・マーフィーやアダム・サンドラーはインターネット上で合計15回から20回は死んでいるよ」と、同氏は語る。

プラットフォームやアドテクの台頭により、さまざまな種類の偽ニュース(フェイクニュース)とともにセレブレティの死亡説が広まるようになった。いたずら者たちの何人かは、Twitter上であたかも実際の報道機関のように見せかけたアカウントを使い、セレブレティの死で人々を弄んでいる。

Facebookの広大なネットワーク力やGoogleの予測技術により、ありとある偽ニュースを広めることが可能になった。広く伝わった例としては、下記のように「Facebookは偽ニュースに対して断固たる処置を取る」というマーク・ザッカーバーグの書き込みの真横に、タイガー・ウッズの死を伝える広告が現れた。

fake-espn-and-cnn-labeled-stories主要なパブリッシャーが自身のサイトでホストしている第三者コンテンツを勧めるエンジンも、おそらく気づかないうちに食い物にされている。偽りであり、かつクリックすることで、まったく関連のないいかがわしい健康関連商品のダイレクトレスポンス広告に飛ばすための見出しがばらまかれている。

シェア欲求を刺激

「こうした広告を提供しているベンダーは、クリックベイト(釣りタイトル)を使ってアドコンテンツを自身のサイト内コンテンツに混ぜ込んでいて、ユーザーはすべてがサイト内のコンテンツであるかのような錯覚に陥る」「歴史的に見てもセレブリティの画像の使用は、広告のレスポンスレートを劇的に向上させるひとつの手だ。こういうものは誰でもクリックしたいし、誰よりも先にシェアしたくなる」と、アドブロックアプリを提供しているオプティマルドットコム(optimal.com)の創設者ロブ・ラザーン氏は語った。

BuzzFeedで偽ニュースに関する記事を書いているクレイグ・シルバーマン氏は、セレブリティの死亡説が機能する理由について、「そもそも記事をシェアしたいという人々の感情に入り込んでくるからだ」と語った。シルバーマン氏の調査によると、ウィリー・ネルソンの死に関する書き込みは40万以上、またヒュー・ヘフナーの死に関する書き込みは20万近くシェアされたという。

「偽ニュースは口コミに依存している」と彼は語る。「なぜここまで多くのスターたちの死亡説が流れるかを考えてみると、彼らは大衆文化の一部であり、人々の感情と深く繋がっているからだ。これこそが、偽ニュースが有効に機能するうえで核となる要素だ」。

周辺を取り巻く状況

すべての偽ニュースと同じように、死亡説を根絶することは複雑な問題をはらんでいる。コミュニケーションツールとしてのインターネットの台頭は、逆説的には、セレブリティの死亡説が拡散する動きに対しても、またそれに反する動きに対しても一役買っている、と「ハリウッドライフ(HollywoodlLife)」のプレジデント兼編集長であるボニー・フューラー氏は語った。

噂が広まる早さと同じように、コミュニケーションは一瞬で済むため、セレブリティたちはそれが嘘であることを証明することができる。一方、インターネットはファンとのより深い対話を可能にし、ファンの彼らに対する感情面での結びつきを強める。フューラー氏は「こうしてファンたちはお気に入りのセレブリティに費やす時間が増え、よりいっそう噂が広まりやすくなってるのだ」と語った。

FacebookとGoogleは偽ニュースを配信するサイトに対し、それぞれのプラットフォーム上でアドツールを利用して拡散することを抑止する措置に踏み切ることを発表した。コンテンツレコメンドエンジン大手のアウトブレイン(Outbrain)によると、システム内から扇情的なコンテンツを排除する取り組みの一環として、「セレブ X 破産」または「あなたの知らなかった今年死んだセレブ Y」といったキーワードの組み合わせの使用をブロックした。しかし、偽ニュースの提供者の適応性は証明され、事実確認のプロジェクトは偏見だとしてすでに批判を受けている。

いたずらではすまない

大統領選挙期間中の重大な偽ニュースによって生じる不安と比べれば、セレブリティの死に関わる偽ニュースの拡散が選挙結果を揺るがすようなことはないかも知れない。また、擁護者たちは、それがスターにとって悪いプロモーションになることなどない、というかも知れない。しかし、自らを「改心したゴシップコラムニスト」と呼ぶルーウィッツ氏によると、こうした作り話は感情面に危害を与えたり、キャリアを傷つけたりするような変化として受けとめられる恐れがある。

「それをやっている人は、誰も傷つけることなくウェブトラフィックや収入を得られるいたずらだと考えている一方、非常に大きなマイナス面がある」「身内がそれを見て信じてしまったらどうなる? それは実際、背筋がぞっとするようないたずらだ」と、彼は語った。

Lucia Moses(原文 / 訳:Conyac)
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